解放(非エロ)
暁美ほむら×鹿目まどか


「こんなの酷すぎるよっ!」

魔法少女うんぬんより私は隣で戦っているほむらちゃんを見ていることが出来なかった。

「QB! 私を……魔法少女にして!!」

願いなど決めてはいない、ただほむらちゃんを守りたい一身で私は魔法少女になった。

「ほむらちゃんを……ほむらちゃんを守れるだけの……力が欲しい!!」

もちろんほむらちゃんが私を止めるほどの余裕がないことだって知っている。

でも後悔だけは絶対にしない!

これは私が決めた道だから……

今はただ、この状況でほむらちゃんのためになってあげたかった。
その瞬間、私の体は光に包まれた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

「サウザントアロー!!」

私の背後から1000本の矢がワルプルギスの夜に襲い掛かる。
グロテスクな音と共に身動きが取れなくなった魔女。

そして私は最後の矢を振り絞った……

こんな大きな魔女を自分で倒すことへの不安はある。

次の瞬間、魔女に食べられてマミさんみたいになってしまうかもしれない
最後の矢を打っても魔女はまだ生きているかもしれない

でも私の後ろには、ほむらちゃんがついていてくれる。
誰よりも大切で、世界で一番私のことを想ってくれるほむらちゃんがいる。

「……負けない」

私は矢を持つ手をはなした

矢はキラキラした光になり、ワルプルギスの夜の核に突き刺さる。

そして、世界は元どうりになって、街の裏道りへと姿を変えた。

「まどか!!」

泣きながら駆け寄るほむらちゃん。
私だって涙が止まらなかった。

全てが終わった喜びと、人としての全てが終わってしまった悲しみ

「ほむらちゃん……ごめん、私……もう傷つくほむらちゃんを見たくないから……一人で戦って欲しくないから……」

そしたらほむらちゃんは私を強く抱きしめてくれた。

「まどかっ!私、本当は怖かったの。冷静な顔して、失敗したらどうしようってずっと不安だった」

全てが終わった今、ほむらちゃんのこんな弱々しい姿を見るなんて想わなかった。

「これからはずっと一緒だよ、ほむらちゃん。一緒にすごして、一緒に魔女を倒して、一緒に年をとっていこう」

私もほむらちゃんを強く抱きしめた。

そして自分の持つ矢に誓った
これからは絶対に一人にしない……と


―――――まどか
―――――ほむらちゃん

その時私たちは始めて唇で愛を確かめ合った。
弱く短いキスだったけど……これが私たちの始まりなんだ。

―――――――――――――――――――――――――――――

「ほむらちゃんも………いつかは魔女になっちゃうんだよね……?」

帰り道に私は立ち止まって訊いた。

これからは現実と向き合っていきたいから………
………もう泣かないでもいいように。

「……………………うん」

消え去りそうな声で応えたほむらちゃんの顔は暗くて今にも泣き出しそうだった。
二人の時間は永遠ではない、いつか魔力が弱まって魔女になってしまうことだって分かっていた。

「そのときは―――――」

私が言いかけた途端だった

「そのときは、まどかが私を殺して」

ほむらちゃんのその目は真剣そのもので、さっきまでの暗い顔とは大違いだった
そうして私も決心した

「わかった。でも、ほむらちゃんに悲しい思いはさせない。絶対だよ」
「ありがとう、まどか」

そうして私はほむらちゃんと手をつなぎ帰った。


それから数年後

高校を卒業し、大学へ通いながらほむらちゃんと同居することにした。
愛する人との生活は輝いていた。
朝から晩まで一緒に居られる。
魔女だって時々現れる。でも二人掛かりなら苦戦することもない
それでもこの頃は少なくなってきたし、そのおかげでほむらちゃんと過ごす時間も自然と増えていった。

(私は今の状況に酔いしれているのかな)

そんなある日のこと

突然ほむらちゃんが居なくなった。
家に帰ってこないし、ココロに呼びかけても応えてくれない
でも私はこの数日間で大方見当はついてしまっていた。

「そっか……意外と早いんだね………」

もう泣かないよ。私がほむらちゃんを解放してあげるんだから

行くべき場所はわかっていた。

二人で誓い合った街の裏通り

そこにほむらちゃんの部屋への扉があった。

部屋の最奥への道はまっすぐで、使い魔も置物もない

ただ暗い道をひたすら歩く

私は千の矢でほむらちゃんを射る気などなかった。
使うのはあの時誓った1本の矢だけ

そう心に決めた私はさらに奥へと進んだ

歩いてく内に1つの扉に到達する

その扉を空けると大きなホールになっていて、中心に魔女が立っていた。
ほむらちゃんは他の魔女みたいにグロテスクではなく、ただ白いシルエットとなって私の前に現れた。

私は嬉しくて声を上げそうになったが、そんな甘えは許されない
即座にこちらに向かってくる魔女を確認して、私は手に持った矢を天高く打ち上げた。
矢は弧を描くことなくまっすぐ上空へと向かっていく。

そして私は時間をとめつつ向かってくるほむらちゃんをつかまえた。

だってずっと一緒に戦ってきたんだもん動きのパターンぐらい読めちゃうよ

こうやって抱きしめたら時間を止める事ができないことも知っている
そして私は白いシルエットの唇へキスをした。

その瞬間

ほむらちゃんは私に触れた所から次々に色付きはじめていった
そうして完全に元の姿になったほむらちゃんは私に"ありがとう"って言ってくれた。

―――――――嬉しさもつかの間、落下した矢が二人の心臓を打ち抜く

意識が遠のく瞬間、ほむらちゃんは嬉しそうに笑った

―――――今までで一番幸せな笑顔で






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