ヨコヤァァ!!!ネタ9
ヨコヤァァァァァァァァッ


「わ〜、可愛い♪あ、こっちもいいなぁ」

直は、中央広場のショップではしゃいでいた。
秋山は最近忙しかったため、久しぶりのデートである。
選んだコースは遊園地。無邪気に笑う直を見て、秋山の頬は弛みっ放しだった。
ちなみに周囲の男たちは、秋山の殺気で直に近づく事は出来なかった。
頬が弛んでも、そこはしっかりしているらしい。
結局直は、キーホルダーとぬいぐるみを買って戻って来た。

「次、何処行く?」
「え〜っとぉ…」

考え始めた直のお腹がググゥ〜と鳴った。

「くくっ、そういやそろそろお昼だな」
「は、はい…えへへ」

恥ずかしそうにお腹を押える直を、秋山は頭を撫でてやりながら、近くのレストランにエスコートした。

「むぐむぐ…美味しいですねぇ♪」
「あぁ、そうだな」

お前の料理(+体)の方が旨い。その言葉をご飯と一緒に飲み込んだ。
流石にここで言う事でも無いという彼なりの判断だった。

「ふあ〜、ごちそう様でした。…あれ、まだ食べ終わって無いんですか?」
「ん、あぁ、悪い。…お前に見とれてただけだ」

サラッと、直にとってはとんでもない事を言った。

「ああ、秋山さん、ここ、こんな所でそんな大胆な」

顔を真っ赤にして慌てふためく直に、本当だ、と呟いた。
恥ずかしさに耐えられなくなった直は、トイレに行くと言って、立ち上がった。
普段の直には考えられない速度で、女子トイレに駆け込む。
一応本当だが、ちょっとイジワルし過ぎたか。秋山は自嘲気味に口元を歪めた。

直は、手を洗うと廊下に出た。

(秋山さんてば、あんな事をこんな所で…やだもう…)

再び思い出し、顔が火照って来た。

「あれ、神崎直さんじゃありませんか」
「へっ…あ!ヨコヤさん。お久しぶりですねぇ♪」

あのゲーム以来、会って無かった。
本当に久しぶりの会話に、直のテンションは急上昇した。

「お一人ですか?」
「いえ、今日は秋山さんと来てるんですぅ」
「ほう、それはそれは」

調度良かった、とヨコヤは微笑んだ。

「実は、いい物が手に入りましてね。彼に勧めてみようかと…」

そう言うと、鞄の中から小ビンを取り出した。

「何ですか?」

渡された直はしげしげとそれを眺める。

「栄養ドリンクですよ。ただし、市販のものより何倍も効き目がありますがね」
「何倍も?」
「えぇ、仕事で疲れて帰って来ても、これを飲めば直ぐに吹っ飛びます」

ホントですかぁ、直の黄色い叫びが廊下に響いた。
ヨコヤの厚意らしく、お金は要らないとの事。直は嬉々としてそれを持ち帰った。

「ヨコヤが?」
「はい!1週間分貰って来ましたぁ♪」

秋山は、直に渡されたドリンクを観察した。
よ〜く見ると、うっすらと本来のラベルと文字が見えて来る。

「あん?…赤…マ……ム…」

プチッ。

(ヨコヤアアァァァ!)


この後、鏡の迷宮の隅っこで、早速ヨコヤの厚意に甘えた秋山であった…。






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