僅かな期待
横谷ノリヒコ×神崎直


"ソレ"の振動に反応して小さく跳ねる体を押さえつけて、
私は足早に廊下を進んだ。
目的の部屋の前に辿り着き、ドアに手を掛ける。
サッと体を滑り込ませて部屋に入ると、後ろ手に扉を閉め、
深く息をつき後ろに体をもたれた。

「来ましたね」

部屋の奥に目をやると、薄暗がりの中にぼんやりと白い影が浮かんでいるのがみえた。

「っくぅ・・・!」

不意に来た、先ほどよりも強く振動する"ソレ"の与える甘い刺激に、
私は思わず体を強張らせる。

「さぁ、こっちへおいで」

善人のような笑みを浮かべ、男は言った。
私は半ば這うようにして部屋の奥へ進むと、
ソファーに腰掛ける男の膝にすがるようにへたり込んだ。

「よしよし、いい子ですね」

頬をすりすりと撫でられると、体の芯がじんと痺れるのを感じた。
大きく暖かい手に包まれると、自分の意思に反して体から力が抜けていく。
こちらへ身をかがめると、男は私の下腹部を指で撫でさすった。
そこには、男が私の中に埋め込んだ小さな"ソレ"がある。

「ちゃんといい子にしていれば、私のチームのメンバーを悪いようにはしませんよ」

そう脅しの言葉をかけ、男は私に言うことをきかせる。
皆を救いたいという私の気持ちを知ってのことだ。

「ヨコヤさ・・・っ・・・!」
「ん?」
「お・・ねがっ・・・も・・・ゆるしてぇ・・・!」

波のように押し寄せる快感から逃れたくて、私は懇願する。
ヨコヤは手の中の小さなリモコンをちらつかせ、泣きつく私をみて笑った。

膝の上に抱え上げられると、足の間に手が滑り込んでくる。
指でそこを撫で上げられると、そこは自分が思ってたよりもずっと溢れていて、
私は恥ずかしくて顔を背けた。

ヨコヤはゆっくりと指を私の中に埋めると、
中で震えている"ソレ"を内壁にこすりつける。

「っふぅ・・・!やだ、やだぁ・・・!」
「ヤじゃないでしょう?ここ、好きなんですよねぇ。」

執拗にそこを責められると、抑えていた声が漏れてしまう。
ヨコヤは指と一緒に"ソレ"をずるりと抜き取ると、
変わりに熱く脈打つ自身をそこにあてがった。
敏感になったそこに何度も擦り付けられると、
思わず焦れたような声が出てしまう。

ヨコヤはそれにくすくすと笑うと、
自身を一気に入れ込んだ。
不意に来た強い刺激に声も出ず、ぎゅう、としがみつくと、
べろりと首筋をなめられる。
もう抵抗することをあきらめた私は、目の前の胸に体を預けたのであった。


水の国に戻った後も、自分の体からヨコヤの"匂い"がするような気がして、
皆の側に行けずにいる。

皆は気づいているのだろうか。
私のしていることを知ったら、皆は私のことをどう思うだろうか。

まだ自分の中にとどまっている"ソレ"が、またいつ震えだすのかという不安の中に、
僅かに期待が見え隠れしていた。






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