アイスワイン
秋山深一×神崎直


神崎直の胸は高まっていた。
原宿の駅の階段を下りて、改札を抜け、表参道に向かって歩く。
北風がビューっと音を立て、賑わう通りの人々の厚いコートがはためく。
裸になった街路樹の、茶色いシルエットが並ぶ。
直は、白いコートのそでを、無意識のうちにギュッと握っているのに気づいた。

「すっっごく、緊張しちゃってる。。」

そんな風に呟いてみるあたり、それが直にとって緊張というより興奮に近い気持ちであることがわかる。
高いヒールの靴が立てるカツカツという音が、直の気持ちを掻き立てる。
赤い革のリボンが付いた、エナメルの靴。ヨーロッパの有名なブランドらしい。
普段ぺったんこな靴ばかり履いている直にとって、特別な日に履く靴であることは間違いない。
特別な日・・・・恋人の秋山と1ヶ月ぶりの再会の日。

午後18時を少し回っていた。
約束の時間は18時半。
待ち合わせのカフェまではあと5分もあれば着くだろう。
冬の夜気に晒されて、暖かい色彩で溢れるショーウインドーが映える。
きれいだなあ、と眼を奪われ、直が少し歩調を緩めたとき、バッグの中の携帯が震えているのに気付いた。
秋山からの着信を示す表示を目にして、あわてて通話ボタンを押す。

「はっ、はい、神崎ですっ」
「直?俺だけど。今どこ?さっきも電話したんだけど留守電でさ。」
「あっ、すいません。あの、そういえばわたし、電車に乗るときにマナーモードにしてそのまま、あ、今ですか?ええと、あの、どこでしょう」

秋山のクスッという微笑が直の耳に伝わる。

「あいかわらずだな。元気そうで良かった。」
「あ、はい、秋山さんもお元気そうでなによりです!」

場所を伝えることなどもう忘れている。

「おまえ、今日は白いコートか?」
「えっ?!ええ、はい、そうです、白いです!」
「ただいま、直。」

電話越しの秋山の声と重なるように耳に入ってくる声で、直は振り返る。
歩道脇に駐車してあるマセラッティの窓が開き、柔らかい秋山の笑顔があった。

「あの、秋山さん、向こうでお仕事は終わったんですか?」

助手席へエスコートされた直は、予期していなかったドライブににドキドキしながら尋ねる。

「ああ、まあな。」

そんな返事をしながらハンドルを握る秋山は、どこか楽しげだ。
彼の白いドレスシャツは、ビジネスともカジュアルともとれるデザインだ。
秋山さん。。。
直はただ、そのフレーズだけを、心に思う。
素敵、でもなく、好き、でもなく、ただ、男の名前だけを思う。
ゲーム終了後に始まった2人の関係。
直がそれまで抱いていた淡い恋心という薄絹など、即座に取り払われるような男女の関係。
直は、その呪縛に、あらがうことができないのをこの数週間で思い知ったのだった。

秋山はここ1ヶ月、イギリスに行っていた。
ライアーゲームのファイナル終了から半年。現在彼がどんな仕事をしているのか、直は詳しく知らない。
秋山もそこは自分の領域、とばかりに、必要最小限の情報しか語らなかった。
たとえば、「1ヶ月くらい仕事でイギリスに行く。帰国する日が決まったら連絡する」
というように。それ以上は聞いてはいけない気がして、直は心配しつつも最小限の受け答えで返す。

デートに現れる秋山の服装は、モデルのようなスーツのときもあれば、Tシャツにジーンズの時もある。
休みも特に決まっていないようだ。自宅は、青山にある、とても広いワンルームのマンション。
直の想像力では「何かお仕事をしていて、それが上手くいってるんだわ」という結論が精一杯だ。
秋山の身に、危険が及ばなければいい。直は心からそれだけを願っていた。

「あの、秋山さんに頂いたこの靴っ、使わせて、頂いてますっ」

しばらく会わなかったためか、緊張で直の声はうわずっている。

「頂いた、を連発するなよ。」

ハンドルを切りながら、秋山は可笑しさを抑えずに笑う。
真っ赤になってうつむく直のまっすぐな黒髪を、秋山の細くて長い指がすべる。
直の顔は真っ赤になる。
「気に入ってくれて嬉しいよ。」

皇居近くのホテルの正面に車を横付けし、秋山はエンジンを切る。

「秋山さん、ええと、今日はどこへ連れて行って頂けるんですか?」

秋山は、はぁーっ、と芝居じみたため息を吐くと、キーを付けたままでドアに手を掛けた。

「ここ、に連れて来た。ここで夕飯。おまえ、ほんとに。。。ま、いいや。」

真っ暗な夜の中に、ホテルのテラスに飾り付けられているイルミネーションが輝く。
吸い込むと雪の味がするような、真冬の密度を持った空気が、輝きを縁取って揺れる。

「なんだか、久しぶりすぎて緊張しちゃいました。」

直が、純白の皿に盛られた白身の魚に鮮やかな緑のソースを絡めながら言う。
食事とアルコールも入り、いくぶん硬さの取れた声だ。

「秋山さんと、こんなに長い間会わないことなんて今までなかったし、もう、色々心配していたんですよ?私。」
「そう。」

秋山は、すっかりいつものポーカーフェイスに戻って、ワインリストを眺めている。

「秋山さんがいない間に、一度、福永さんから電話があったんです。私が秋山さんの居場所を知っているだろうって。
でも、私、全部は知りませんって言いいました。イギリスって秋山さんは言ってたけれど、イギリスだって広いですし、
詳しい場所まではわからないですし。福永さんたら、ふーん、まあ嘘じゃなさそうねって言って切っちゃったんです。もう、それって、」
「直。」
「え?はっ、はい。」
「今日はデザートなしで、ワインな。」
「・・・・・・・・・・・。」

話を遮られてうつむいた直に満足げな視線を送りながら、秋山はワインリストを給仕に見せながら何か頼んだ。
正方形のテーブルの脇には、薄い赤紫の花が活けられている。

「おまえ、アイスワインって知ってるか?」

秋山が花びらの一枚に人差し指で触れながら聞く。

「えっと、ワインのアイスってことでしょうか?」
「いや、違う。寒さで凍ったブドウから作ったワインのことだよ。とても甘いんだ。」
「そうなんですか!ぶどうは凍ると甘いんですね!」
「うーん、というか、凍ると果汁が濃縮されるからな。それを発酵させると普通のワインより甘くなる。」

給仕がよく冷えた小さなグラスに、澄んだ薄い琥珀の液体を注ぐ。

「まあ、1ヶ月ぶりに、会うんだな。」

さんざんキザな演出のあとに、少しだけ照れがでたのか、グラスを手にした秋山の視線は直の斜め上に泳ぐ。

「・・・・乾杯」

最上階で止まったエレベーターを降りると、秋山は直の少し前を歩いた。
直が黙って着いて行く。
クリーム色のじゅうたんが敷かれたホテルの廊下は長い。
さきほどのワインが、直の口の中に甘い余韻を残している。
しかし、直はそのような余韻を楽しむ余裕などない。
ここ1ヶ月の間、直は自分を持て余していた。
秋山の存在が、自分の心と体に、これほどまでに深く侵食していることを思い知ったのだった。
直は、生まれて初めて、狂おしいほどの欲求にまみれて、自分の体をいじった。
幾度となく登りつめても、どんなに秋山の名を呼んでも、彼に教えられた絶頂とは違うところに行く。
快感で震える腰とせつない呼吸を、ひとりきりの空間で感じながら、切なさだけが増してゆく夜を何度過ごしただろうか?
今、秋山の背中が、目の前にある。秋山は、直が自分の後をついて来ることに、何の疑いも持っていないだろう。

ふと、秋山が振り返り、直のほうへ手を伸ばす。

「おいで」

低く、優しく、甘い声。
直は、吸い寄せられるように秋山の方へ足を踏み出す。
細い腰に腕が回される。頬に秋山の髪が触れる。
秋山は耳元で囁くように言う。

「ちょっと見ない間に、綺麗になったな。直。」

言葉を失った直のカラダは、強い度のアルコールを全身に流し込まれたように、熱く沸き立った。

このホテルで間違いなく最高の部屋だろう。
ここまで来るのがやっとという直をよそに、秋山は部屋に入ると、冷蔵庫を開けてペリエにレモンを絞り、グラスに氷を入れる。

「どうぞ。」

直にグラスを差し出すと、秋山は窓辺に向いたカウチに腰を沈める。
丸の内から新橋方面が一望できる形の大きなガラスには、外を眺める秋山の顔と、グラスを持ったまま立っている直が写る。

「あ、ありがとうございます。」
「直。」

直がびくっと身を硬くする。

「先にシャワーをどうぞ。」

芝居めいたジェントルな口調だが、ガラスに写る秋山の目は鋭く光り、まっすぐに東京の夜を見つめている。
直にはもう、あらゆる意味で選択の余地はなく、急き立てられるようにしてバスルームへ向かった。

暖色系で統一されたパウダールームの奥が、浴室になっていた。
大きな洗面台の前に立つと、直は鏡に映る自分の顔を見る。
大きな潤んだ目と、ほんのり赤くなった頬、くちびるはうっすらひらいて小さな赤いハート型を作っている。
直は鼓動を確かめるように、胸に手を当てる。
ボリュームのある胸。そのぷるぷるした肉感を通して、高鳴る鼓動を感知する。
触れなくとも分かりきっていたことをわざわざ確かめた自分の行動。
直は正気を失いかけている自分が疎ましい。

「し、しっかりしなきゃ。シャワーでもあびて、ね、しっかり!」

うわごとのようにつぶやきながら、服を脱ぐ。
白いパンティーが肌から離れる瞬間、ねっとりとした愛液が糸を引いた。

「あっ」

片足を引き抜こうと体を動かすと、内ももを糸以上の液体がつうーっと伝う。

「んっ」

決して初めてではないその感触。
その時、コンコン、とパウダールームのドアがノックされた。

「直?どうかしたか?」

・・・なかなかシャワーの音がしないから、心配したんだ!
瞬間的に直はそう思い、同時に、

「あのっ、秋山さんっ!シャワーはちゃんと浴びていますから、だっ大丈夫ですっっ!」

と大きな声を出した。
・・・・・・・・しばらくシーンとするドア。
その間の後に、それは静かに開いた。
クックックッとかみ殺した笑いの秋山の姿が直の目に入る。

「嘘と呼べるレベルじゃないな、お前の場合。」

秋山は口角を上げ、射抜くような目で直を見る。
ライアーゲームでは、相手を畳み掛ける時にしていた目だ。
片方だけ足を通したパンティー以外は、何も身に着けていない直。

「み、みないでくださいあきやまさん・・・すみません、わたし・・はずかし・・・」

恥じらいに肌を震わせながら身をよじるが、秋山の視線はそんな直を瞬時に征服してしまう。

「あ き やま さん・・・・」

直はもう、一人の男に完全降伏することの快感を知ってしまっていた。
秋山はドアを開けたまま無言で直に歩み寄り、直を後ろから包むようにして抱くと、そのまま鏡の方に体を向ける。
直の左の胸の上で、秋山の骨ばった手のひらがゆっくり円を描き、乳首だけに触れるような動きを繰り返す。

「ぅくっ、んんっ、っっっ」
「おまえ、自分が今どんなやらしいことしてるか解ってるのか?」

低い声が直の耳に絡みつく。

「んっ、ぁぅ、だめです ぅ、あ、」

鏡から顔を背けようとした直の頭を、秋山の右手が制す。

「ちゃんと見ろ。目、つぶるなよ。」

直の乳首は局所的な刺激を受けてピンと立ち、全身の性感帯と連動しているかのように快感を発信する。
官能的にゆがんだ直の顔からは、あどけなかった少女の面影が完全に消えた。

「おまえのこういう顔、あっちで何度か思い出したぜ?」

秋山は右手の人指しゆびで直のくちびるの輪郭をなぞりながら言う。

「我慢するのが大変だったよ。」

秋山の指はそのまま直の口の中に入る。

ちゅぷ

即座に直の熱い舌が絡みついて、何かをせがむように吸い付く。

「ん・・・・・・・・・・・・・」

直は、とろけそうに潤んだ目で、鏡の中の男女を見る。
秋山の左手は、直のなめらかな腹部をすべり、透明な粘液が溢れ続けている場所へ向かう。

「なあ、おまえは我慢できたの?」

鏡越しに直の目を見て秋山が意地悪そうに言う。
きつく目を閉じる直の反応は、いつも分かりやすい。

「こんなにいやらしい女が、なあ、1か月もほっとかれてさあ。」

薄いヘアをかき分けて、愛液まみれの秘部を割り、秋山は直に中指を突き立てた。
くちゅぅ、という音とともに、直が目を見開く。

「あああああぁぁ」

歓喜の声がこぼれると同時に、咥えていた秋山の指がはずれる。
秋山は中指を全く動かさずに、鏡の中の直の反応を見ている。

「お、ねがい、します、ぅぁあきやまさんん、わたし、もう、おかしぃ・・・んん」

直は涙をにじませながら、全く動かない秋山の指をにゅくぅぅっと締め付ける。

「だめ。」

秋山は直からあっさり指を抜いた。

「見せろよ。」

ゲームの主導権はいつでも秋山が握る。

「おまえのオナニー。してただろ?俺がいない時。」

大きなベッドに横たわった直を、秋山が見下ろす。
部屋の照明は、落ち着いたおだやかな色だ。
すっかりこの策士の術中にはまった直は、羞恥心で秋山の顔を直視できない。

「言っとくが、すぐにイったらだめだぜ?」

冷静な判断ができなくなっている直は、秋山に言われるがまま、自分の体を慰め始める。

「アぁ、んっ、はっ、ああきやま さ ん、ものすごく、は づか しぃ。。。。ふぅん」

言葉とは裏腹に、直の手は動き続ける。
秋山の冷たい視線を受けて、もうずっとずっと待ちきれなかった疼きを開放することを、直の本能が求めている。
直の左手は胸をもみ、揺さぶるような刺激を与え続ける。
右手は、もう我慢できないくらいに膨らんだクリトリスの周りをおずおずと彷徨う。直の足がぴんと伸びてくる。
くちゅっという、粘液の音。

「あっあっ、あきやまさん、ァッあ、みないで・・・ぇ」
「直」

秋山が低い声を出す。

「片足、立てろよ。広げてよく見えるようにして、イけよ。」

その言葉に、迷うことなく右足を立てる直の口から、淫靡な唾液が伝う。
征服欲が強い秋山も、それを押し上げて沸いてくる性欲に、鼓動が早くなってきたのを感じていた。
すぐそこに見える絶頂に、直は無心に手を伸ばす。
秋山と会えない間に何度も行き着いた、自分ひとりの場所。
左手でクリトリスの皮を全部めくると、右手の中指をピンク色に膨らんだその根元にあてる。
ぐぅぅぅんという勢いをつけて、我慢していた快楽の波が直を貫く。
くちゅっ、くちゅぅ、と円を3、4度描く、直の白い指。

「ぃイっひっちゃうぅぅんっ、イクっいくっううううぁはぁあああああああんんんんんんんっ」

秋山は素早く服を脱ぎ捨てた。
ピクンピクンと腰を揺らして切なそうにこちらを見ている直の体を起こし、抱きしめる。
立ち上るような色香を感じ、秋山は自分を抑えられなくなったのを認める。

「直、俺は、おまえが好きだ。」

オスの本能で体は一杯なのに、目の前にいる愛しい女をいつくしみたくて、ゆっくりとキスをする。
くちびるでくちびるを挟み、舌で舌をなぞる。
まるで本来のスタートのように、秋山の手は直の髪をなで、ふくよかな胸に降り、先端をいじる。

「あぁんっ、あきやまさぁん、わたし、もっ、あっだいすきなんですぅぅ、あきやまさ んの こ、とぉ」

2人は歪みない愛情を伝え合う。
俺はただ、この女の全部が欲しいんだ・・・・
秋山は、実はとっくに気付いていたシンプルな気持ちを心の中で言語化してみる。

「あきやま、さ、ん?わたし、ほんとうは、ひとりで気持ちよくても、んっ、なんてゆうか、あのっ、

あきやまさんに、その、あっ し、してもらっているみたいにならなくって、うぅふぅ、さっきも、あの、ちがうんです・・・」
喘ぎながらの直の告白。
秋山は、男の衝動を抑えるのに必死になって、空を仰ぎ見る。
そっと手を止めた秋山の様子に、直が不安げな瞳を投げかける。

「あ、あたし、ごめんなさい・・・おかしいことっていうかへんなことばかり・・」
「おかしくない、へんじゃない、直。俺はおまえみたいな可愛い女には、勝てないってことさ。」
「????」
「あっ」

よく分からないと言った顔の直をベッドに倒し、強引に直の足を開き、秋山は股に顔を埋めた。
先ほど直が自分でいじった場所を、今度は秋山の舌が責める。
直のクリトリスは、先ほどにも増してふくらみ、その下の花園からはとめどなく蜜が溢れる。
秋山は、クリトリスの先端だけを狙って舌を動かし、同時に指を優しく挿入する。

チロッ、ぐちゅうう、チロッ、ぐちゅっ

いやらしい音は、すぐに直の必死な声で掻き消される。

「あんっ、ああああっ、だ、めですうぅ、あきやまさん、あたしぃま、た、イッっっ」

素直に感じていることを表現する直が、秋山は愛しくて、欲しくて、しょうがない。
直の足がぴんっと張ってくるのを肩で感じ、秋山は指をもう1本挿れた。
舌でのクリトリスへの刺激を、根元から先端へのグラインドに替え、中の2本の指をグッと曲げる。

「ううううあああああ・・・んん、あきやまさ、ぁぁんん!!!!」

曲げた指の先をグリグリと動かすと、ぎゅううううっという締め付けとともに直が2度目の絶頂に達した。
気が遠くなるほどの快感の波の中にいるのに、直はまだ、次を欲しがる自分を感じている。
その気持ちを伝えたくて、直は切なげに秋山の顔を見上げる。

「あきやまさん。。。。。」

やっぱり、これしか言葉が見当たらなくて、直は、ただ、男の名を呼ぶ。

秋山ももう限界だった。

「直。」

込みあげる激しさは抑えられない。
熱くなった秋山自身を、正面から、直の中に突き立てる。

ずっぶっっっ

「あああああああああああああっ!!!」

一気に、直が絶頂に達する。
白い液体が女性器から吹き出るのを感じたが、秋山はもう止まれなかった。
秋山は、ガクガクと揺れる直の腰を両腕で押さえ、奥の柔らかい壁を目指して突き続ける。

ぐちゅっぐちゅっぐちゅっ

粘膜同士が、粘液同士がぶつかり合ういやらしい音。

「あっ、あっ、あっっっ、んんんんんんんんんんんんんああああっ!」

直の声は大きく響き、もう余裕を一切残していない。

「だめまたあああああっ!だめ、ああ、なんですうううううっっ、ソコ、奥がんんんっっいいいっ、イッちゃううんん」

直はもう、快楽の波間から出てこられなかった。
次々と達しては、秋山を締め付け、いやらしい液体を飛ばす。

「ナオ、いくぞ・・・・・・」

直の女性器が送り込んでくる刺激で、秋山はもう、今にも出してしまいそうだった。

「き、て。。。。」

直の甘い声が秋山の耳に入った瞬間、男はすべてを解き放った。

ふ、と目覚めると、隣に秋山の寝顔があった。
直は、ぼーっとしている頭をふる。
クリーム色のカーテンの隙間から、柔らかい朝の光が射している。

・・・・・・。
昨夜のいろいろな出来事が、少しずつ直の脳裏によみがえって来た。

「!!!!!」

かぁぁぁっと見事に赤くなった直は、横ですうすうと寝息を立てている秋山をチラッと見る。
もぅ、秋山さんたら。
直はつぶやいて、その安らかな寝顔にそーっと口付ける。
先に、今度こそシャワーを浴びようと、ベッドから出ようとした時、寝ているはずの秋山の腕が伸びた。

「まった。どこ行く?」

手を捉まれ、直は驚いて目を見開く。

「秋山さん、寝ていたんじゃなかったんですか?」
「寝てた、けど、おまえが変なことするから、起きた」
「へんなこと?」
「今しただろ?キス。」
「えっ!?あっ、あれはちが」
「行くなよ」
「え?」
「俺のそばから、勝手に離れるな。」

秋山は直を抱き寄せた。
ぱふっという音を立てて、直がベッドに戻される。

「シャワーなら、一緒にあびようぜ。洗ってやるよ。な?」
「はっ、はずかしいですっ!」

またもや真っ赤になる直。
外は美しい冬晴れで、空の青がまぶしい。

「アイスワインみたいに、」

秋山が言いかける。

「いや、やめた。」
「な、何ですか?気になるじゃないですか?秋山さん、言ってくださいよー。」
「だーめ!今の忘れろよ。」
「そんなのずるいですぅ。。!」

照れ隠しに秋山は直を抱きしめる。

・・・おまえ、アイスワインみたいに濃縮されて、甘くなったな、なんて言えねーよな、おっさんくさくて・・・・・
新しい朝、鳥の声が2人の明るい未来をさえずっている。






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