屋上 続編
矢部淳平×香坂たまき


前回:屋上(進藤一生×香坂たまき)

あの光景を目の当たりにした時
自分の中で何かが音を立てて崩れていく音を聞いた。

手に入らないのならば・・・

どんなに焦がれても、切望しても、決して叶わない想いならば
いっそ、このチャンスを逃さない手はないと思った。

進藤が屋上から降り立ち、たまき1人きりになったのを見計らい
屋上の扉を開いた。
その音に気が付き、たまきは振り返ると
矢部と目が合った。
今までの行為を見られていたのは矢部かもしれない
そう頭に過ぎり、たまきは視線を外し、瞳を揺らす。
それでも、聞かない訳にはいかなかった。

たまきは勇気を振り絞り、しばしの沈黙の後、重い口を開いた。

「矢部君、もしかして・・・」
「はい、見てました」

自分の思い違いだと思いたかった予想は的中し
たまきは困惑の色を浮かべる。

「さっき見たことは・・・」
「勿論、黙ってます。」
「ありがとう!」

その言葉に安堵の表情を浮かべる
が、それは一瞬で消える事となる

「その代わり・・・・」
「・・・何?」
「1回犯らせて下さい」

矢部の信じがたい発言にたまきは言葉を失う。
見開いた目が信じられない、と叫んでいた。
それでも冷静を装い、いつもの口調で必死に言葉を返す。

「駄目に決まってるじゃない。悪い冗談はやめて」
「冗談なんかじゃないですよ?それに香坂先生に拒否権はないんです」

本気だ・・・

身の危険を察知し、たまきは屋上から逃げようとする
も、矢部は逃がさなかった。

扉を勢いよく閉め、出口を塞ぐと
たまきを壁際へと追い込み、細い腕を押さえつける

「やめて!離して!!」

必死に抵抗しようとするも、男の力には敵う筈もなく

「無駄ですよ、僕だってれっきとした男なんです」

そう言って背ける顔を力任せに引き戻し
固く結んだ唇を矢部は無理矢理開いて貪った。
そして身体を組み敷いて、白い肌に舌を這わせていく。

「お願い!他の事なら何でもするから!こんな事やめて!」
「sexの口止め料はsexで、ですよ」

気味悪く笑う矢部の目はすでに正気を失っていた。
狂気に支配されているその目を見て、たまきは絶望感に目の前が真っ暗になる。
恐怖と屈辱と怒りと驚愕とが混ざり合って混沌としているたまきの意識
けれど矢部はそんな事お構いなしに行為を進めていく。

が、かちゃかちゃとベルトを外す音にたまきは反応し、再び激しい抵抗を見せた

「矢部くん、お願い!これ以上はやめて!もう十分でしょ・・・?!」

半狂乱で叫ぶたまきに向かって矢部は薄く笑った。

「やめません」

一言、それだけ言うと矢部はたまきの中心へと己をあてがうと一気に刺し貫いた。

「いや……やぁぁぁぁ―――――っ!!」

逃れようと、自然身体を上へといざるたまきの肩を押さえつけ、更に奥へと突き入れる。
信じたくないこの状況にたまきの瞳から涙が溢れた。

ついさっきまで愛しい人に抱かれていた筈なのに・・・

その涙は矢部が突き上げるたびに頬を伝い落ちて
そしてまたすぐに溢れ、また落ちる。

「い…嫌…、…助けて…いっせ・・・一生・・・」

たまきは進藤に助けを求めるかのように何度もその名を繰り返し呟いた。
すると自分の中から引き抜かれた感覚にたまきは安堵する
正気に戻ってくれたのだろうか?
が、そうではないという事は頬に突如走った鈍い痛みで解った。

「次、その名前口にしたらバラしますよ?」

殴られ、低いトーンでそう言われた後に、再び一気に貫かれ悲鳴を上げる。
何度も突き入れられ、激しく内部で掻き回される
それでも快楽など欠片も無く、苦痛のみのその行為にたまきは消耗していく。
漏れる声も、今では意味の成さない苦しげな呻き声のみ

そんなたまきの姿に奇妙な安堵感に矢部は囚われる。

壊れた、自らの手によって汚されたたまきに、悦びを覚える。
とうに正常な判断など出来なくなっていた。

狂気の愛。
決して相容れることの無い、狂った旋律のエゴイズム。
もう叶う事のない想いと知って、矢部は全てを投げ捨て
このチャンスを、現在のみを選び取った。

たまきの心が進藤のモノで手に入らないのならば、と
その身体を脅迫という力尽くなやり方でたった今、この手に入れた。

が、何度も突き刺し、何度も犯しても充たされなかった。

それは混ざり合う事も、溶け合う事もないからだろう、と
頭では解っている矢部はただ我武者羅にたまきの細い腰を押さえつけ
引き寄せ、己の欲望を叩きつける。
たまきの華奢な身体は、既に矢部に抵抗することも出来ずに
矢部が動くままにただ揺れていた。
涙もすでに枯れ果てたのか、たまきの瞳にもう涙はなかった。
ただ、見開いた虚ろな瞳を宙に漂わせているだけ

きっとこの目にもう2度と進藤の姿を映す事もない
そう思うと嬉しくて仕方がなかった。
決して手に入らぬと知って、自らの手によって破壊したその存在。

もう離さない、こんな形でも手に入れた。
その事には変わりはない。
誰もいない屋上でその瞳に狂気を内包したまま、矢部は一人微笑んだ。






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ