ピンクの頁(非エロ)
番外編


 午後11時55分。外は月明かりに照らされて穏やかな夜だった。
エリナ松岡は自宅のマンションでシャワーを浴びていた。

エリナ「三日ぶりの休日。地球の重力下のシャワーは最高ね」

 コンタクトマンの勤務はきつい。日本の労働基準法は宇宙まで利かないので
無茶苦茶なのだ。この前など金星のメイドカフェで強制労働を強いられた。賃
金の代わりに配られたのはタマ出版のUFO本数冊だった。
 降りかかる水は、エリナの肉体を上から下へ、瑞々しい肉体の丘から谷へと
伝い、隅々に貼りついた疲労を流していく。
 柔らかな水流の愛撫で、エリナの両の乳首は自然に勃起していった。

エリナ「鬼形くん、元気にしてるかな…」

 その時、突然シャワールームが真っ暗になった。

エリナ「え…停電?」

ポルターガイスト(しんぶーん!)

 シャワールームに新聞が滑り込んできた。
 真っ暗のはずなのに新聞だけは薄ぼんやりと見て取れる。
 薄気味悪い《つのだロゴ》がエリナの目に飛び込み、

エリナ「何これ?恐怖新聞ですって?!」

ポルターガイスト(フフフ……)

 新聞から、灰色の、人の顔が浮かび上がってきた。

エリナ「あなたまさか…鬼形君の言っていたポルターガイスト?」
ポルターガイスト(ぴったしカンカン!)
エリナ「何で私のところに悪霊界の新聞が?!」
ポルターガイスト(この前のブルマ事件のときお前を助けてやっただろう!
   その見返りとしてお前にも恐怖新聞の読者になってもらう。どうやら
   お前にも恐怖新聞を読む能力があるみたいだしな)
エリナ「いやよ。これを読むと寿命が百日ずつ縮んでいくんでしょう?」
ポルターガイスト(違うね! お前に配達されるのは特別版だよ。鬼形礼から
   奪った寿命百日のうち一日分がエリナ松岡、お前に与えられるのだ)
エリナ「な、何ですって?」
ポルターガイスト(普通の人間は毎日一日ずつ寿命が減っていく。だがお前は
   恐怖新聞を読む毎に寿命が一日付加される。±はゼロだ。つまり、お前
   は死なないんだよ。例え鬼形礼が死んでも他の読者の寿命が加えられる
   のでお前は半永久的に生き続けるんだ!)
エリナ「きゃあ!!」

 悪霊の新聞は、全ページがバラバラになりエリナ松岡の裸身に襲いかかった。
 怯える女体の隅々にピッタリと貼り付き、きつく締め付けてくる。

ポルターガイスト(ヒヒヒ…若い娘の精気はたまんねえなあ!)

 エリナは四つんばいになり、腰を震わせて悶えた。

エリナ「ああ…!やめて、何をするの?」

 迷走するエリナの目前に恐怖新聞一面の記事が飛び込んできた。
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恐怖新聞 深夜刊 ピンクの頁           発行 四ちゃんねる
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『愛しのエリナ松岡さん、この前の事件以来、僕はあなたの虜です。ひととき
もあなたの面影を思わずにはいられません。ぜひ僕とつきあって下さい。僕と
いる限り永遠の若さと快楽を保証しますよ!――ポル』
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