番外編
美雪が失踪して一年が経つ。 一も草太も友人も家族も剣持も明智も警察も必死に彼女を探した。 普段着で母のお使いにちょっと出掛けた美雪はそのまま帰らなかった。 家出などする筈のない彼女に皆が誘拐の可能性を考えたが、いくら待っても身の代金の要求もなく、関係者が焦燥するまま一年という月日が経過していた。 美雪によく似た人物を見たという目撃情報が入るたび、一は剣持らと向かい、そのたびに無駄足になってばかりいた。 その日も微かな望みを託して一と剣持、そして珍しく手の空いていた明智、更に冬休み中の草太が新たな目撃情報があった場所に向かう。 ○○県××市の港の貸し倉庫が並ぶ寂れた一角。 通行人や車はほとんどなく、袋小路にある倉庫の前に黒いバンが数台停まっていた。 「とりあえずあそこから当たってみるか」 剣持が倉庫に入ろうとした時明智が何かに気付く。 「このナンバー…四課が麻薬売買で追っていた暴力団幹部の車両ですね」 「マジかよ、明智さん」 「てことは…中にヤツが…?」 「お、おい…金田一…麻薬って」 「とにかく君たちはここで待っていてください。私と剣持くんが中の様子を見てきます」 「…俺もいくよ」 「おい、金田一」 「なんか感じるんだ…美雪がいるのかは分からないけど…」 折れた明智は「くれぐれも危険な真似だけはしないでください」とだけ告げた。 四人は物音をたてないように倉庫内に入っていく。 一階には誰もいないので二階に様子を見に行く事にする。 階段を上がっていく途中で上から人の声が聞こえてきて四人の足が止まる。 (男の声ですね) (いや…今…?…やっぱり!美雪だ!美雪の声がした!) (ほっ、本当か!?金田一) (落ち着け二人とも…今俺と明智さんが見に…) 剣持の手を擦り抜け一が二階に駆け上がる。 (おいっ) ゴム底のスニーカーを履いていたので足音はそれほどせず二階にいる者には気付かれなかったようだ。 打ちっぱなしの扉のないコンクリの部屋を一がそっと覗くと、遅れてやってきた三人もそれに倣う。 そこで四人は信じられないものを見てしまった。 「あぁん…気持ちいいぃ…」 女の喘ぎ声がする。四人がよく知っている可愛い声だ。 部屋の中央にはベッドがあって、その上に七瀬美雪はいた。 一年前と変わらないあどけない顔と艶やかな長い黒髪。 だが、決定的に違っていたのは彼女の腕に数えきれない注射跡がある事だった。 そして、もうひとつ、彼女の腹は肥満のそれではなく膨らんでいた。 美雪は妊娠していたのだ。 少女は全裸で中年男の上に乗り、後ろからはパンチパーマの男に張り付かれサンドイッチされていた。 「はじめちゃあん…いいっ!いいのぉ…はじめちゃあん…」 「はいはい美雪ちゃん。はじめちゃんが挿れてあげまちたよ〜」 「嬉しい…好き、はじめちゃん」 美雪の瞳は焦点が合っていない。 恐らくはシャブ漬けにされた挙げ句このような事を繰り返され正気を失っているに違いなかった。 「こんな可愛い娘とボテ腹セックスができるとはなあ…いい国になったもんだ…よしよし美雪ちゃん、いい子だいい子だ」 「はじめちゃん…あんっ、あんっ」 「アナルもすっかりほぐれたな…美雪ちゃんはよ」 室内には彼らの他にヤクザ風の男達が十人程いた。 「こいつに何人客を取らせましたっけ?」 「千人くらいじゃねーか?数えてねえな」 「孕んだ時は参りましたけど、顧客も新客も減らなくて何よりでしたね」 「かなりの上物だからな…しかも現役女子高生だ。よくこんな娘見つけてきたな、ヤス」 「恐れ入ります。いえね、学校帰りに見掛けてからずっと目をつけてたんですよ。…あの日さらえたのはラッキーでした」 「処女は五百万で売れたしな…スケベIT社長に恩も売れてコネも出来たしお手柄だな」 「ああ、あの若い社長ですか。大満足して貰えましたからね。私も株で儲けさせてもらいましたし」 「おおお…イキそうだ美雪ちゃんっ!ボテ腹マンコ最高だっ!」 美雪はアヘアヘと身重の身体で腰を振る。 中年男のぶくぶくのメタボ腹と美雪のボテ腹が密着してブルンブルン揺れている。 「はじめちゃあん…イイよぉ…私もイッちゃう…オマンコイカせてぇ…!」 以前より大きく釣り鐘型になった乳房をぷるんぷるん揺らしながら美雪が叫ぶ。 「ほお、もう母乳が出そうだな…エッチな乳しおって」 「はじめちゃん好きい…チンポ好きぃ…」 周囲で遠巻きに見ている男たちがせせら笑う。 「ふっ、とんだ淫乱ガキだぜ。子供の父親もわからないってのに」 「そんなもん、ハジメチャンの子に決まってるだろ?」 外野の下卑た笑い声は美雪の耳には届かない。 男に挟まれている美雪の姿に金田一以上に蒼白になっているのは草太だった。 「…ぐうっ!」 膝をついて草太がうずくまる。嘔吐をもよおしてるようだった。 「大丈夫ですか?村上くん…。…金田一くんも」 明智の呼び掛けに一は反応しない。 かたかたと震えたまま瞳は美雪を凝視し絶望に見開かれたままだった。 室内では二人の男が射精して獣じみた声をあげていた。 「た…たまらん!締めあげてくるっ!」 「後ろもだ…!まだイキ続けてやがる、この女!」 「あは〜ん!はじめちゃあぁぁん」 美雪の絶頂の痙攣がやんでから、ずるりと二本の肉棒が美雪から抜かれた。 体内で射精されたらしく美雪の膣口と肛門からは泡だった精液が垂れ流れていた。 「次、俺いくわ。ボテ腹は期間限定のレア商品だからな」 スーツを着た男がズボンと下着を脱ぎ捨ててベッドに寝る。 「おら、チンポ挿れてやるから乗れ、メス豚。オメーのマンコはハメまくって飽きたんだがなぁ」 「とかいって美雪ちゃんにご執心なクセに…あ、次俺」 「美雪は売れっ子だからな。今日やったらまた当分お預けだ」 「客だけ愉しませておく手はないよな…こんな上等のマブ」 「やっぱ中絶させた方が良かったんじゃないか?」 「次はな。今はせいぜい変態に高値で妊婦マンコ売らせるさ」 「孕んでなくても高値でしたけどね、美雪は。あはは」 「はじめちゃん…また挿れるのぉ?」 「チンポ中毒なんだろうが。早くハメろよ」 美雪に苛立つ男。 「美雪ちゃんはおしゃぶりしたいんだよな?いいよ、俺の貸してやるよ」 その男がベルトのバックルを外すと美雪の目が輝いた。 「ありがとっ、はじめちゃんっ」 「美雪ちゃんはザーメン大好きだからな…いつもみたいに、たんと飲ませてやるからお口で皮ん中掃除してくれる?。恥垢溜まっちゃってさ…」 「はぁい。きて、はじめちゃん」 「ホントいー子だなあ。美雪ちゃん」 「ああ、タマもケツの穴もぺろぺろ舐めてくれるしな」 「待った、その前に美雪とべろちゅーさせろよ。美雪は俺の唾液が大好きなんだ」 「ばーか。美雪は男なら誰とでもぶちゅぶちゅごっくんのヌルヌルのバコバコよ」 「ぎゃははは」 「剣持くん、応援要請はしてくれましたか?」 「はい、十分ほどだそうです」 「こちらは末端価格数億の覚醒剤と…彼らの懐から拳銃が見つかりました」 「それは…何よりでしたな」 あの会話の直後、明智は中にいる男たちを一人残らず射殺した。 「大丈夫ですか?…七瀬さん、これを着てください」 明智はジャケットを脱いで美雪の肩にかけてやった。 「あっ、はじめちゃんっ」 美雪に抱きつかれて明智は戸惑う。 「金田一くんは向こうですよ」 美雪はのろのろとそちらを見る。 と、うずくまって泣いている草太と目があった。 とことこと歩いていくと美雪は、やはり草太に抱きついた。 「っ!?」 「泣かないで、はじめちゃん」 草太は固まったまま助けを求めるように一を仰いだ。 「もう…大丈夫だよ、美雪」 一は膝をついて美雪を見つめ、震える手で何とかして髪を撫でてやった。 「…はじめちゃんっ」 壊れた笑顔のまま美雪は本当の一を抱き締めた。 SS一覧に戻る メインページに戻る |