島津編
金田一×蓮沼綾花


金田一一はあの雪影村での殺人事件の出来事を思い出す。
友達の波多野春菜が自殺した事、春菜の友達の社冬美が春菜の恋人の島津匠に殺されてしまった事。
そして、一歩間違えれば今まで初恋でもあり現在の恋人でもある蓮沼綾花が殺されていただろうと言う事。

今、ちょうど少年刑務所にいる島津に会いに行くところである。
ただ、行くのは一だけ無く、幼馴染でもあり姉御肌の七瀬美雪や親友の村上草太も同伴で来ていた。
美雪は事件の事を知っていたが、一が草太に事件の真相を話したのはつい最近だった。
草太も一が今まで言いにくかったのが充分理解ができた。
友達同士のすれ違いがこんな悲劇を起こしてた現実にショックを受けた一に話をさせるのは余りにも重いのは草太でも気がつく。
美雪は優し過ぎた一に労いの言葉をかけたくなっていた。

「一ちゃん、そんな暗い顔しちゃ駄目よ。島津君に会わす顔じゃないわ。もっと元気な顔をしなさいよ。」

美雪の激励の言葉だけでなく、草太も一に労いの言葉を言う。

「そうだぞ金田一。島津に元気付けるのがお前の役目なのに、お前がそんなんでどうするんだ?」

心配する2人の言葉に一は感謝の余り、涙を流してしまう。
友情がここにもあった事に一は2人に素直な態度でありがとうと言う。
どうやら、肩の荷が下りた一に美雪と草太はホッとした。
一達は少年刑務所に辿り着くと、剣持警部と偶然出会う。

「何だ金田一?会いたい奴でもいるのか?」

一は頭を縦に頷くと、理解した剣持の案内で面会室へと移動する。
剣持の話によると島津は何回も自殺未遂や絶食をしようとしていたらしいのだ。
やっぱり、春菜の所に行きたかったのだろうなと一は思う。
一だけ面会室に入ると、以前よりも痩せた島津もちょうど面会室に入ってきた。
苦々しい思いで一は島津に質問してみる。

「なあ、島津。お前はまだ自分や綾花の事が許せないのか?もしそうなら、春菜はお前にそんな事絶対望んでないぜ。」

島津は一の目を背けるように答える。

「俺はもう綾花の事は憎んでいないさ。ただ、生き甲斐ってものが今の俺に無いだけさ。」

一はタイムカプセルから取り出した物で島津の野球のボールを見せた。
懐かしいものを取り出して今更、肩を負傷した自分に何を見せるんだと呆れる島津だったが、一は意外な助言をする。

「お前、出所したらアメリカに行って手術したらどうだ?直る可能性もあるぞ。」

アメリカなら日本よりも医療が進んでおり、気候も怪我しにくいと一は考えていたのだ。
島津の治療の費用は明智警視に頼んであるから心配しないで言って来いと一に言われ、島津は生きる糧が出来た事に喜んでしまう。
「ありがとう金田一。それまで俺はリハビリに励むし、英語が喋れるようにしとくよ。」

一は恥かしい顔で島津に言いづらかった事を話す。

「俺、実は付き合っている彼女がいるんだよ。知っているか?」

島津は呆れた顔で答える。

「お前の顔に書いてあるぜ。綾花だろ?昔からお前、綾花の事が大好きだったしな。」

すぐにバレたのが一は驚いてしまう。
島津は部室で一と綾花の関係を一部始終を見てしまったせいで綾花を殺せなかったのだが、代わりに面白い物が観れたと思っていた。

「綾花とお前があそこまで進むとは夢にも思わなかったぜ。」

茶化すなと言おうとした一だったが、気持ちを切り替えて、冬美のタイムカプセルの中身は知っていたかと島津に質問してみる。

「実は、冬美のタイムカプセルの中身は願い事でお前のお嫁さんになる事だったんだよ。」

あの頃から冬美が自分に好意を持っていたのには、気が付かなかった島津は悪い事をしたなと後悔する。

「もし、俺の為に冬美が綺麗な姿に変わったのなら、自分の好きな男に殺されるなんてこんな皮肉な話はあるか。」

島津の目から涙を流して号泣する姿を見て、一は優しく諭す。

「島津、俺はお前を攻めたりはしない。ただ、冬美も春菜の自殺は後悔していたんだ。それだけは理解してくれ。」

面会時間の終了を告げると、互いに会えて良かったと思っていた。
美雪も草太も窓越しとは言え、ちゃんと一部始終を見てたいたら、2人共重く考え込んでしまう。
些細なズレでこんな悲劇をもたらす事に重みを感じてしまう。
一は美雪と草太を連れて、少年刑務所を出ようとすると偶然綾花に出会ってしまう。
綾花も島津に会おうとしていたのは一でも解っていたが、こんなタイミングで会ってしまったので綾花はビックリする。

「悪い綾花。俺の方が先に島津と面会しちまったから今日はもう会えないぜ。」

カチンと来た綾花はこめかみに青筋が立っているのが見え、笑顔なんだが目は全然笑っていなかった。
綾花はわざわざ遠くから来たのに骨折り損で一日無駄になってしまった。

「なんて事するのよ。これじゃ来た意味がないでしょ?」

そう言いながら往復ビンタを繰り返す綾花に、美雪と草太は仲裁に入ろうとしたが、綾花に睨まれると手を止めた。
助けてくれ〜と言おうとした一だったが、綾花は一にいきなり抱きつきキスをした。

意外な展開に美雪も草太も驚いてしまう。ここまで進んでいるとは思ってもいなかったのである。
大体、綾花が島津に言いたい事は一が全部言ったのだろうと推測できる。

「もう良いわよ。所で久しぶりね。金田一君。それに七瀬さんに村上君。」

そう言うと綾花と美雪は互いに手を取り合って喜んだ。
どうやらこの2人にも友情が芽生えたんだなと一と草太は思った。
考えてみれば、美雪と綾花は誰とでも友達が出来やすいし、性格もしっかりしている点は似ていた。
実際、過去の一のスケベ問題とかで迷惑を掛けた話をすると、言いたい放題言われた一は頭を抱えた。
綾花は思い切って、みんなの前に爆弾発言をする。

「金田一君の所の学校に来週から転校をしようかと思うんだけど…」

衝撃発言に皆、びっくりしてしまい、理由は一が原因だと一致した。
驚きながらも一は何処に住むのか綾花に質問する。

「金田一君の家に住ませて貰おうかなと…」

真っ赤な顔で嬉しそうに綾花はそう答えると、真っ青な顔で一と美雪は慌てる。
一の家は裕福でないので資金的にきついと答えようとすると、笑顔で綾花は胸元から宝くじの封筒を取り出した。
草太は宝くじに興味があったので番号を調べてみると、驚愕の顔をしながら答えた。

「これ、前後賞合わせると2億円だぜ。」

綾花は当選番号を偶然持っていたのである。
綾花の宝くじに使う目的は、半分は親の資金に、もう半分は自分の為である。
美雪と草太は2人で仲良くやるように気を利かせて別れるようにした。
一と綾花に一の家に着くと母親がいたので、彼女が出来た事と居候出来るかという事情を話すと意外な答えが出た。

「一、アンタも隅に置けないわね。綾花ちゃん、お金なんて気にしないで良いから、ずっとここにいなさい!」

呆れた一は母親に学費や制服代はどうするんだと聞くと、母親はにやけた表情で一を見てアンタがバイトすれば良いの一点張りだった。
心配した綾花は、宝くじのお金を使用すると言い出すと母親はそれは使うのは止めなさいと諭した。

「それは一と綾花ちゃんが結婚してから使うべきよ。」

心配しなくても良いと言われ、少し安心した綾花だった。
一の部屋に行くと、これから先、一と綾花の同棲生活が始めるのがお互いに期待を膨らんでいた。

「金田一君とこれから住む環境が楽しみよ。色々教えてね。」

一は照れながらも良いよと答えた。
ただ正直、綾花が自分の高校に通い始めるのに少し不安があった。
綾花が他の男子生徒にモテそうな感覚を覚えてしまうのだ。
綾花は顔も可愛いし、スタイルも良いし、性格も良いのに加え、勉強もそこそこ出来るのだ。
心配する一に綾花の方から意外な発言をする。

「私はどんな事があっても金田一君と別れる気は無いから安心して…だって貴方がいなけりゃ私、死んでたかもしれないし、命の恩人だもん。」

ホッとする一に綾花が要求してきた。

「抱いて欲しいの。いいわよね?」

綾花は一のズボンを脱がすと「バクッ」と口を付けた。
暖かさが下半身から続々と伝わってくる。
一が小さく身震いしたのを綾花は見逃さなかった。

「もう金田一君ったら、ゾクゾクしてる。本当はしたかったんじゃないの?」

一は素直にうんと答えた。

「金田一君って最近受け身なんだから、たまには金田一君が迫ってよ。」

いや、綾花の方が積極的になりすぎているだけなんて一は言えなかった。
綾花が一の感じるところを舐めると、一の腰がピクッと動く。
綾花は一から口を離して、体を預けて甘えてきた。

「金田一君、今度は私の番よ。」

一は綾花の早すぎる交代にはちょっと驚いたが一緒にベッドに倒れこんだ。
綾花の服を全部脱がしたら、綺麗な胸が出てきた。

「綾花、もう乳首が立っているぜ。」

一はそう言いながら、綾花の胸を舐めている。
一の舌が綾花の乳首を弾く度に、綾花の口から「きゃっ」と可愛い声がもれる。
一は舌と手で綾花の両胸をたっぷりと撫でていった。
綾花がもぞもぞと動いている。
何だろうと見てみると、綾花の手が自分の秘部に入れていた。

「金田一君、私我慢できない。」

ほんのり赤くなった顔で熱っぽく言う。
綾花の艶っぽさに押され、固まってしまう一。

「私、もう準備できているから。ねぇ。」

綾花が迫ってきて、いつの間にか攻守が入れ替わっている。
綾花が一の上に乗りかかり、一のモノを手にして自分の中に入れた。

「ああ、もうダメ。」

綾花の腰が動く。
綾花の動きに釣り込まれて、一の腰も動いてしまう。
今度は一の動きに綾花が反応する。
そうして2人は互いに反応して、一気にイってしまった。
綾花が熱い息を吐きながら一にこう言った。

「ハァハァ……金田一君ダメじゃないの。そんなに早くイっちゃたら。」

一も熱い息を吐きながらこう言う。

「綾花だって同じだろ?でも、綾花の中は気持ちいいよ。」
「フフフ…金田一君のも気持ちいいんだもん。」

綾花はそう言って一にキスをし、綾花の柔らかい胸が一の胸に当たる。
熱っぽく絡めてくる舌に、綾花の中に入ったままになっていた一がまた反応し始めた。

「あっ、金田一君のが大きくなっている。またしたいんだ。しょうがないわね。もう一回しましょ!」

綾花が喜んでいる。一も喜んでしまった。

ー翌日、一と綾花だけでなく、美雪や草太も島津のいる少年刑務所に同行した。
あきれた表情で一は美雪達に質問する。

「何でお前らは今回も付いてくるんだよ。」

笑顔で美雪は答える。

「友達である蓮沼さんが心配だからよ。」

草太が一に突っ込みを入れる。

「お前なあ、夕べに蓮沼さんとしたろ?歩き方がおかしいぞ。」

一は動揺した表情をすると、草太は思わず笑ってしまう。
少年刑務所に辿り着くと、綾花は面会室に行って島津に会う。
島津も今はもう綾花の事は恨んでいないし、冬美にも悪い事をしたと後悔していたのを一の話で綾花も理解していた。

「お前等は俺達みたいなことにならない様にしろよ。大丈夫、金田一がいるからな。」

意外な島津の言葉に綾花は心にグッと来てしまった。
島津が一と幸せになれよのエールを出すとは綾花も思わなかったのである。
綾花はありがとうと島津に言うと、島津へのシコリは完全に消えた。
島津も出所したら、新しい恋でも探した方がいいと思った。
それが忌まわしい過去を振り切るチャンスだし、その方が春菜や冬美も安心するだろうと考えていた。

ー来週、綾花は金田一の入っている不動坂高校へと転校する。
テニス部に入り、男子生徒に人気を集まってしまったのは言うまでもない。






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