芽生えた疑惑 不審な影
村上草太×七瀬美雪


―今日も暑いなぁ―

ギラギラと照りつける太陽を、草太は手をかざしながら眩しそうに見やった。
中学まで海のそばに住んでいたせいか、夏のきつい日差しは嫌いじゃない。
苦にならないのはもう一つの理由も関係していた。

「草太くーん」

聞き慣れた可愛い声に振り向く。名字で呼ばれていたのが、最近名前に変わった。

「ごめんね!待った?」
「ちっとも。…走ってきたの?」

その少女は息を弾ませ額にうっすら汗をかいていた。

「早めに出ようとしたのに、はじめちゃんに捕まっちゃって…でも、ごまかせたから」
「そ…そう」
「最近私の出かけるのを見張ってるみたいなの…バレたのかな…私たちのこと」

美雪は小悪魔の微笑を浮かべた。
俺は…いつバレても構わないんだけどな…
相変わらず美雪の真意は見えない。
好きとは云ってもらえたが、所詮ベッドの上での言葉だ。
もっとも今のままの関係でも草太に不服はない。
そっ、と草太が美雪の額の汗を指で拭う。

「あ…ウフ、ありがと」
「…俺ならずっとずっと待ってるから…だから慌てて走って来なくてもいいよ」

草太の切ない笑顔。

「…ウン」

美雪がハンカチを取り出し今度は草太の額を拭った。

その光景を離れた場所から双眼鏡で覗く不審な影があった。
七月だというのにトレンチコートを着込み深く帽子をかぶり、サングラスをかけている。
帽子とサングラスは別として、時折カメラをかまえる姿は問答無用で職務質問行きだろう。

「ママー、あの人なにー?」
「しっ、見ちゃいけません!」

周りがヒソヒソ話す声などその人物の耳には届いていない。

「くっ…苦節一ヵ月…とうとうシッポを掴んだぞ…!!」
「ん…?」

グルリと辺りを見回す美雪。

「どうかした?七瀬さん」
「んー、何でもない…気のせいかナ…行こっ」

草太の手を繋ぎ歩きだす美雪。
遠くの不審者の絶叫は彼女の耳には届かなかった。


「はい七瀬さん、アイスカフェラテ」
「ありがとっ、草太くん」
「夏休みだから混んでると思ったら映画館空いてるね」
「みんな旅行かも」

旅行か…実は計画たててんだよね…。俺の故郷の海に…モチ泊まりで。

今日さりげなく美雪の夏休みの予定を聞き出すつもりの草太であった。
隣の美雪をチラッと見ると、美味しそうにドリンクを飲んでいた。

ほんと…何をしても可愛いなぁ…七瀬さんて…ああ、ドリンクになりたい。

「…カフェラテ飲みたい?」

ジッとみつめる草太に美雪がストローを差し出す。

「あ…えーと」
「私も草太くんのコーラ、ちょうだい?」
「えっ、あっ」

ぷるぷるの唇が近付き草太の飲んでいたストローを吸った。

おおっ、か…間接キッス…!

ずきんっ。

え!?

…あれしきで…何つー純情なムスコだろう…。

美雪は訝しげに草太を見ている。

「…まさかと思うけど、間接キスくらいで興奮してないよね?」

どきーん!!

「ま…まさかぁ〜ハハハ…」

美雪が自嘲気味に笑う。

「そうよね…!いつも部屋で私にあんなコトさせてるのに今更間接キスじゃあね!」

ブッ!!…あやうく人のカフェラテを吹く所だった。

「?」
「えーと…間接キスでも充分ステキだよ。キミになら…俺」

ぽっ、と美雪の頬が赤くなる。

俺…何云ってんの?

つんっ、と美雪が草太のシャツを引っ張る。

「え?」
「……」

知らない人が見たら、ちょっぴり不機嫌に見えるそれは、美雪がおねだりする時の顔だ。

「…」

薄暗くなった映画館で、そっと二人の唇が重なる。
その様子を昏倒寸前で後ろからみつめる者がいた。
二人の待ち合わせを物陰から見ていた人物である。

「ぐぬぬぬ…」

ゾクッ!

草太の背筋に寒気が走る。

「…?」

辺りをキョロキョロする草太。

「あん…集中して」
「あ、ああ…ごめん」

美雪の肩を抱き舌を絡める草太。

「んっ…草太くん…」
「ドリンクは、いいの…?」
「…飲ませて…」

美雪のカフェラテを口に含み草太が美雪の口へ流し込む。

「んっ…」

コクンと美雪の喉が鳴る。

「ふふ…ちょっぴり生ぬるい」
「まだ俺の口に残ってるよ?」
「ん…」

美雪の舌が草太の口腔を一周する。
その舌を草太の舌が捕まえ絡めとる。

「チュパッ…ハアハア…草太クン…」
「!?」

不意に美雪の手が草太の股間に伸びてきた。

「ダッ、ダメだよ…あっ」

美雪にやさしく撫でられ半勃ちだったモノが、すぐにも使える固さになってしまった。

イテテテ…ちょっと…ジーパンの中…あたたた…

「な…七瀬さん…」
「しぃ」

さすがに狭い座席で人目もあるので本番は不可能だ。
だがロマンチックな映画に客はカップルばかりで、他人に注意を向けている者などいない―ひとりを除いて。
肘掛のないカップルシートは美雪にとって好都合であった。
美雪が寝そべり草太の太腿に膝枕する。

「あ…」

悪戯な瞳で草太をみつめる。

うっ…可愛い…でも、膝枕なら俺にさせてほしいなぁ…ん??

ヂーッ。

ジッパーをおろす小さな音が草太にだけかすかに聞こえた。

ちょっと、ちょっと、ちょっと…!!?

美雪はクスッと笑い、ブリーフの窓からナニを取り出す。

こ…こんな場所で…?

「…あっ」

草太の先端が美雪の温かな口に包まれた。

「シーッ、男の子なんだから我慢して…」

何だか矛盾してる気もするが…

美雪は愛撫に専念し始めた。
草太は周囲を気にしながら美雪の頭を撫でてやる。
静かなラブロマンス映画の最中に大きな声は出せない、けど。

「あ…」

俺が声を出すたび彼女の目がたしなめる。

そ…そんなコト云われたって…

でも七瀬さんの顔も赤いみたい…暗くてハッキリとは分からないけど。
そっと手を伸ばし、草太が美雪の尻を撫でる。
美雪が非難の視線を向けた。
おあいこだから、おあいこ…
美雪が尻を向けた方向には客はいない。
ミニタイトを少したくし上げ、草太の手がパンティの上から尻をねっとり撫で回す。

「ふ…ぅん」

こら、声を出すなと云ったのはキミだよ…?

草太に見下ろされ美雪が困った目をする。
草太の手が尻の割れめを滑り美雪の大切な場所に及ぶ。

「あんっ…」
「しぃ、七瀬さん」
「……」

さすがにパンティは脱がせないが、下着の上から陰核を擦ってやる。

くにくに、くにくに。

もうっ草太クン…あぁんっ…

「うっ…」

美雪のバキュームが激しくなる。

ジュポッ、ジュポッ、ズボボッ。

音…大丈夫かな…

美雪の髪を撫でながら自分たちの行為に気付いた者がいないか注意を払う草太。

「み…美雪め〜っ、草太なんかとキ…キスだと〜!?
おまけにイチャイチャ膝枕なんかしやがって…一体どーゆう了見だ…!?」

離れた後ろの席からいまいましげに草太の頭を睨み付ける影。
草太と呼ばれた少年の隣の少女の頭は沈んだまま見えない。
膝枕以上の行為が起こなわれている事は影には分かっていないらしい。
結局あの日押収したギザギザの袋を持ったまま、美雪の足音に驚き、顔を合わせる事なく
慌てて自室に逃げ帰ってしまった。
まさか…あの時の相手は…草太…!?

草太くん…はぁん…直に触ってほしいよ…

人目に触れるかも分からない場所で好きな娘のパンティを脱がせる趣味は草太にはない。
ああ…誰に見られてもいいから…草太クンの、このオチ〇ポを今ここで挿れてほしい…
悠然とそそり勃つ草太のムスコをお口いっぱいに頬張る美雪。
口の中では、めまぐるしく亀頭と竿を舐め回している。

そ、そろそろ…やばいっす…

アイコンタクトされ美雪が頷く。

「だ…出すよ」

小さな声で草太が伝える。
美雪が喉を詰まらせないようにとの配慮だ。
一拍おいて、美雪の口内に草太の熱いものが放たれた。

ドクドクッ!!ドクドクッ!!

「んふ…ゴクッ」

美雪の喉を鳴らす大きな音が草太だけに聞こえた。

ふう…思いもよらないトコでスッキリ出来たよ…。

草太の精液をキレイに舐め取り、美雪がしぼんだムスコをキチンとズボンの中にしまってあげる。
チン位置もバッチリで草太が直す必要はなかった。
むくりと起き上がった美雪の唇を草太がキスで拭ってやる。

「ありがと…七瀬さん」
「ふふ、どういたしまして」

まっ…またキスを…!!

トレンチコートの不審者が思わずカメラをかまえる。
暗いし離れてるので、幸か不幸かディープキスとまでは分からなかったが、キスだけで有罪確定だ。
動かぬ証拠をカメラで撮ろうとした時、肩を叩かれた。

「困りますね、撮影は禁止ですよ」

警備員だった。

「え、いや、あの、俺は」
「話はあちらで」
「〜〜〜!!」

不審者が別室に連れて行かれている間に映画は終わり、何も知らない美雪と草太は盛り上がったまま
映画館をあとにし草太宅へと向かう。
やっと解放された不審者が後を追う。

「ど、どっちへ行った…!?街か!?美雪の家か!?それとも…!?」

野性の鼻が浮気の匂いを嗅ぎつけたらしい。根拠のないまま不審者、金田一は草太の家へと疾走していった。






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ