七瀬美雪に託したもの
金田一一×七瀬美雪


*この話は美雪視点ではじめが死んでおります。あらかじめご了承ください。

高校を卒業をしてから二年が経ち、あたしも立派に国立の大学生院生になった。でも、あたしの心の中は空白のままである。
今日は幼馴染で恋人でも会ったあいつの四十九日でもあった。死んだ原因が事件に巻き込まれたならあたしにも心の整理が出来たのだが急性の病で死んでしまったのだ。
あいつが死んだせいでかなりの人間が悲しんでいたのをあいつは気付いたのかな?葬式の際、剣持警部も玲香ちゃんなんて泣き崩れていたし、明智警視はらしくないと皮肉交じりで悲しんでいたわ…何故かあたしだけ涙を流さずに実感が湧かなかった…
本当ならあたしが一番悲しまなきゃいけなかった筈なのにただ普通に寝てるようにしか見えなかったのだ。
墓を見て「金田一一」の名前を記した墓を目にした途端…死ぬ一年前の過去を走馬灯のようにフラッシュバックをしてしまう。なぜ、もっとあの時に気付くべきだったのではないかと後悔する美雪であった。

「こういうことならもっと前にあたしに病気を告白してもらいたかったわ…はじめちゃんの馬鹿…」

大学から家に帰る途中、偶然はじめちゃんを見かけてしまう。気になったあたしははじめちゃんになぜ病院に行ったのか問いかけたが何も答えてくれない。
はじめちゃんがあたしに気を遣っているようだったけどそれが余計にあたしを困らせているのも知らないで…

「ねぇ、もう隠し事は無しにしようよ。もうあたしとはじめちゃんは幼馴染の関係じゃないんだし恋人でしょ?」

すると、はじめちゃんはあたしに言い聞かせるように場所を考えずに抱擁し始める。あたしの頬にはじめちゃんの涙が伝わっていく。

「ごめん。美雪…俺には時間の猶予が無いんだ…あえてお前を悲しませたくなかったんだが俺…白血病で俺の命が持って半年なんだ…」

その衝撃的な発言にあたしも涙が止まらなくなってしまう。まだこれからもはじめちゃんと一緒に居たいのに引き裂く運命を呪ってしまう。
だから、そのはじめちゃんが死ぬ前にあたしが出来る事なら何でもしようと決意を固めた。

「ねぇはじめちゃん、あたしの部屋に行ってはじめちゃんとしたいの。お願い!」






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