幼馴染から恋人に卒業する日
金田一一×七瀬美雪


あたしは一体、いつから本気ではじめちゃんの事を愛してしまったのだろうか?
友達から見れば優等生と思われているあたしが落ちこぼれのはじめちゃんの事を好きだと認めてくれる人だっていなかったのに…
実際、好きな人間が多くてあたしに好意を持っていた人には悪いけど丁重に断りを入れるのが常識だったしね。
その中には草太君も入っていた。実際、あたしが車に刎ねられた事件の日は本当は草太君に丁重に謝って断りたかっただけなの。

「ごめんね、草太くんがあたしの事を好きなのは嬉しいんだけど本当は…」

あたしが泣いているのに気付いた草太君は決して責めるわけでもなく、ホッとした顔であたしに真実を述べた。

「好きなんだろ?金田一の事が…解かるよ。俺も踏ん切りが出来てけじめをつけたかっただけだし…俺に付け入る隙が無いのも見えてたし…」

どうやら、草太君はあたしにその事だけを伝えたかったらしい。
あたしとはじめちゃんの信頼性は自分には持っていないと言うのが草太君の諦めた原因だったようね。
そして、草太君はあたしにありがたいエールを送ってくれた。

「あいつ…口下手だから思い切って七瀬さんから告白したほうがいいよ。それにあいつ…辛い事を一人で何もかも背負う事が多いしね。」

確かに言えるわ。はじめちゃんは本当に辛い事に関すると甘える事の出来ない不器用な面があるのは事実だし…
草太くんと別れた後、あたしの真意を言う為にはじめちゃんの家に訪問した。
丁度、グッドタイミングだったらしくはじめちゃんもいて必死な目で訴えて勉強を教えてくれと頼みをしてきた。
あたしもはじめちゃんに勉強を教えるのは日常茶飯事だったので喜んで取り掛かる事になる。

2時間後、あたしが教えたお陰で少しは勉強に身が入ったはじめちゃんでも疲れて休憩が欲しいと催促してきた。
あたしはそれを了承した途端、はじめちゃんに告白したいのだが、緊張のせいか自分の心臓がドキドキしてしまう。

「(駄目よ。ちゃんとあたしがはじめちゃんに告白しないと。冷静になるのよ美雪)」

あたしはスウーっと深呼吸をした後、はじめちゃんに自分でも解かるほど真っ赤な顔ではじめちゃんに本音を告げる。

「はじめちゃん、あたしねはじめちゃんの事が大好きなの。だから、付き合って下さい。もう幼馴染の関係を卒業したいの。」

明らかに慌てて動揺してるはじめちゃん。そして、頭を下げる。

「美雪…ごめんな…」

ひょっとして、あたし振られたの?そのせいで目が潤んできた。でも、はじめちゃんは言い続ける。

「本当のことを言うとお前に言わせて俺が告白できなかったことをずっと後悔していたんだ。俺が言わなきゃいけないのに…」

え?って事ははじめちゃんもあたしの事が好きだったの?誤解してあたしが泣いているのを見てはじめちゃんは本音を語る。
「何で泣いてるんだ美雪?俺がお前を振るわけないだろ。昔から大好きだったんだしさ。ただ、そこまでお前を追い詰めていたんなら、言う勇気の無い俺のせいだな。」
「(首を横に振って)そんな事無いわ!ありがとうはじめちゃん。」

あたしは素直に嬉しくてはじめちゃんに思いっきり抱きついてしまう。
そして、あたしの方からはじめちゃんの唇にキスをする。
明らかに動揺するはじめちゃんだが決して嫌がる様子もなく、あたしの舌と唾液がはじめちゃんの口の中に流し込む。
互いに念願だったファーストキス。素直に嬉しくて真っ赤になるあたしとはじめちゃん…

「やっぱり、はじめちゃんが一番良い。これから恋人関係になろうね。」
「俺も美雪が最高の彼女だよ。浮気とかするなよ。」
「(ムッとした顔をして)失礼しちゃう。それってはじめちゃんじゃないの?」

バカップルと言われようがそんな事はどうでもいいわ。あたしたちの本当の恋人関係はここからスタートする。






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