金田一一×七瀬美雪
「これでよし…っと、遅くなっちゃったな」 2月13日、明日はバレンタインデーである。 世の中の大多数の女性に漏れず七瀬美雪も明日のためのチョコを作っていた。 「美雪ー。いつまで台所使ってるのー?」 「あ、はーい。ごめんなさい。もう終わったからー。」 慌てて美雪はチョコを包みに包み、片付けを始める。 「去年までは義理チョコだったけど、今年こそは…」 美雪はこれまで内心では好意を寄せている幼馴染の金田一一に毎年チョコをあ げていたのだが気恥ずかしさもあって義理チョコと一目でわかるようなチョコ しかあげていなかった。 しかし「雪夜叉伝説殺人事件」で知り合った女優の速水玲香が積極的に一にア プローチを行っており、一もまんざらではなさそうな顔(もちろん一も内心で は美雪に好意を持っているのだが元来のスケベ心とやさしさにより玲香の誘い を断れないのであるが…)をしている。 こんな状況では「はじめちゃんを取られちゃう!」と危機感を抱いた美雪。今 年のバレンタインは一目で本命とわかるチョコを用意し、あわよくば自分の気 持ちを一に伝えようと思っているのである。 「あっ。いっけない。もうこんな時間。そろそろ寝なきゃ…」 美雪は一に渡す本命チョコを大事に鞄にしまうとベッドに潜りこみ眠りについた。 --- 翌日、登校途中 --- 「よう!一!今年もこの日が来たな!」 と、村上草太が一に声をかける。 「なんだよ。うるせぇーな。」 とは一。 一は普段の素行の悪さが災いしてバレンタインでは美雪の義理チョコ以外には全く と言って良いほどチョコを貰えていないのでこの日があまり好きではないのである。 「なんだよ。そんな事いうなよ。お前は七瀬さんからチョコを貰えるじゃないか。 七瀬さんのチョコを貰えるなんてうらやましい限りだぜ…。知ってるか?七瀬さん のチョコは義理チョコとは言え男子生徒からの羨望の的なんだぞ?」 「う…。確かにそれはそうなんだが…。 でも、俺は1度でいいからチョコに溢れたバレンタインを迎えてみたいんだよ!!」 と、贅沢な要望ではあるが、若さゆえの過ちなのだろうか。 「あ、はじめちゃん。村上君。おはよう!」 「おー。美雪。おはよう」 「七瀬さん。おはよう」 と、ここで美雪が2人に追いついてきた。 「2人して盛り上がってたけど何の話をしてたの?」 「い、いや…「この一の不届き者が「たまには七瀬さん以外のチョコが欲しい〜!」 と贅沢な悩みを言ってる所なんだよ。」」 「バッ、バカッ!草太おまえ…」 一の声を制して草太が言った。 「ふぅ〜ん。そうなんだ。はじめちゃんは私のチョコなんか要らないんだぁ… (ああ〜。何て話を振っちゃったのよ。私のバカバカ。余計チョコ渡しにくいじゃない…)」 「い、いやな…。美雪。そんな事はないぞ。義理でも何でも良いから是非是非チョコを…」 「「義理でも」?「何でも」?」 「げっ。いや…」 「ふーんだ。はじめちゃんなんて知らない!(あ〜。私のバカバカ…)」 すたすたと美雪は進んでいってしまう。 「美雪〜。待ってくれよ〜」 と一が追いかける。 それを笑いながら草太が追いかけるといういつもの光景が繰り返された。 --- 放課後(美雪サイド) --- 「はぁ…。どうしよう…。」 あの後結局チョコを渡す機会もなく、バレンタイン特有の浮ついた雰囲気の中では とても告白などできる状態でもないので美雪は一にチョコを渡す機会を失っていた。 夕暮れに染まる校庭を歩きながら美雪は一にどうやってチョコを渡そうかと考え込 んでいた。 「あっ。はじめちゃん!」 校門を見ると一が誰かを待っている様子で立っている。 「そうだ、はじめちゃんと一緒に帰って帰り道の公園とかで渡せば…」 と思い「はじめちゃ…」と声を掛けようと思ったその瞬間、校門の前に高級そうな 車が止まる。思わず近くの木のかげに隠れてしまった美雪だが、その車から降りて きた人影をみて息を飲んだ。 「玲香さん…」 車から降りてきたのは美雪のライバルである玲香だったのである。何かを会話して いるようだがここからでは玲香が邪魔になってしまい一の声は聞き取れない。 「…!」 「こんにちは金田一君!金田一君に会いに来たの!」 「…!…?…。」 「わぁ。嬉しい!私の事を待っていてくれたのね!」 「…!…。」 「さぁ、乗って乗って!」 と玲香の車に一は乗りこんでしまい、そのまま何処かへと走り去っていってしまった。 「そうかぁ…。はじめちゃんもやっぱり玲香さんの事を…。 そうだよね。何の取り柄も無い私何かより玲香さんの方が綺麗だし、性格も良いし…」 美雪は絶望感にさいなまされトボトボと帰り道を歩き始めた。 --- 放課後(一サイド) --- 「くっそー。草太の奴…。邪魔しやがって…。」 一は校門の所で美雪を待っていた。 「とりあえず、美雪と一緒に帰ってチョコを貰わねば今年は0個になってしまう…」 と(彼にとっては切実な)悩みを解決しようと美雪を待っていた。 と、そこへ一台の高級車がすべるように一の隣へ止まった。 「うわっと…!」 驚く一だが、その車から降りてきた人物をみてさらに驚いた。 「玲香ちゃん!」 「こんにちは!金田一君!金田一君に会いに来たの!」 「ええ!?俺に何か用?人を待っているんだけど…」 「わぁ。嬉しい!私の事を待っていてくれたのね!」 「い、いや!そういうわけじゃ…。」 「さぁ、乗って乗って!」 と、強引に車に乗せられてしまった…。特に美雪と約束をしていたわけでもない上 に押しに弱い一は女優である玲香が校門前にずっと居るのも人目に付くであろう、 と考えそのまま流されてしまった。 …。 ……。 ………。 そして場所は変わって高級そうなレストラン。 「うわ。すげー高そうなレストラン。良いのかい?こんな所」 「いいのよ。今日は貸し切りだから。」 と玲香。女優の考える事は凄いな…と暢気に一は考えていた。 「それでね。今日はバレンタインじゃない?だからコレを金田一君に渡したくて…」 と玲香が出した包みは高級チョコレートメーカーの品だった。 「うっわー。ありがとう!今年はやっとコレで義理チョコ1個目だよ!」 と一。 「(義理チョコ…。相変わらず金田一君は鈍いわね…って義理チョコ1個目?) アレ?金田一君。七瀬さんからは?」 「ん?美雪?今年はまだ貰ってないんだよ…。毎年義理チョコくれるのに今年は ちょっと色々あってね…」 「(義理チョコね…。七瀬さんの事だから恥ずかしがって本当に義理チョコしか あげてないのかも…。これはチャンス!チャンスよ!玲香!) ねぇ、金田一君…」 と、瞳をうるませて一を見つめる玲香。 「な、何だい…?玲香ちゃん…」 玲香の視線にドギマギして答える一。 「そのチョコね。義理じゃなくて本命チョコなの…。」 「ふーん、って、えええええええ〜〜〜〜〜〜!?」 と、大声を上げて驚く一。無理も無い。 「もうっ。大きい声出さないで。 …金田一君が七瀬さんを大事に思っている事は知っているわ。 でも、私もそれに負けない位金田一君の事が好きなの! ねぇ…答えを聞かせてくれる…?」 と玲香。一は… 「……。 (玲香ちゃんが俺の事を好きだなんて…。天にも昇る気持ちだぜ。 …でも俺はやっぱり美雪の事が…)」 と黙って考え込んでしまう。 「金田一君…」 「ゴメン。玲香ちゃん…。 君は大事な友達だけど、俺は。俺はやっぱり美雪の事が好きだ…。 子供の頃からずっと…。 だからゴメン!!」 と土下座せんばかりの勢いで謝る一。それを見て玲香は 「ふふふ…。金田一君と七瀬さんの間に入るのはやっぱり無理なのね。 でも言って良かった。スッキリしたわ。 金田一君。これからも良いお友達で居てくれる?」 「そ、それはもちろん!」 「そう。良かった…。じゃあこれからはお友達としてよろしくね。金田一君。 あと、七瀬さんの事は絶対幸せにしなさいよ!? じゃないと、許さないんだから!」 「ああ…!じっちゃんの名に掛けて!」 「じゃあ、はやく七瀬さんに会いに行ってあげて。 今日は女の子にとって特別な日なんだから…」 「解った。じゃあ行ってくるよ。レストランまで取ってもらったのに本当ゴメン!」 「いいのよ。私もスッキリしたから。七瀬さんを大事にしてあげてね。」 「ああ!」 と、一はレストランから出ていく。その姿を見送った玲香は… 「あーあ。失恋しちゃったなぁ…。七瀬さん。金田一君の事をよろしくね…」 と1人失恋の味をかみ締めていた。 --- 金田一宅 --- レストランから帰宅した一はまず七瀬家へ電話をした 「はい。七瀬です」 電話に出たのは美雪の母であった。 「あ、あの!俺!一です。美雪いますか?」 「あらあら。どうしたの一君。そんなに緊張して…。 そうねぇ…美雪はまだ帰って来てないのよ。普段ならもう帰ってきているのに… 心配だわ…。」 「え…?そうなんですか?解りましたちょっと探しに行ってみます」 「そう?悪いわね。美雪の事をよろしくね…」 電話を切った一は祖父譲りの第六感が何かを感じ取ったのだろうか、妙な胸騒ぎが する中急いで外出の準備をし、美雪を探しに外に出た。 --- 公園 --- 一方、校門で金田一と玲香が車で走り去っていったのを目撃した美雪は、1人失 意のまま帰宅していた。 「はぁ…。はじめちゃん…」 そのまま帰宅すると家族を心配させてしまうのではないか。と思えるほど気落ち していた美雪は帰宅途中にある大きな公園によってみた。 「本当だったらこの公園ではじめちゃんにチョコを渡してたのになぁ…」 気分転換に公園に寄ったにも関わらず考える事は一の事ばかりである。 「そういえばはじめちゃんと始めて会ったのもこの公園だったっけ…」 と、気が付けば一との思い出が走馬灯の様に駆け巡っていた。 ………。 ……。 …。 「やだ…。いつのまにかこんなに暗く…。」 ベンチに座り思い出に耽っていた美雪がふと辺りを見渡すと、周囲はすっかり 暗くなっていた。 「帰ろう…。お母さん心配してるだろうし。」 と帰宅しようと公園の中を外へ向かって歩き始めた。 「ちょっと怖いな…。大丈夫だよね…。」 この公園は大きいのが仇となり、暗くなってからはあまり治安の良くない公園と して有名であったのである。 急ぎ足で美雪は公園の中を歩くが、中々公園の外へ出られない。 と、そこへ黒い人影が向こうから歩いてくる (やだ…ちょっと怖いな…) 美雪がそう思うのも仕方が無い。その人影は全身黒尽くめの格好をしている上 に電灯の加減だろうか、顔も黒くて良く見えないのである。 不安になった美雪は道の反対側をあるこうと横断するが、その人影もしばらく すると美雪と同じ側を歩き始めた。 (え…。どうして…。怖いよ…。でも引き返したら家と全然逆方向だし…) 引き返すのも余計怖いと思った美雪はしょうがないのでその人影とすれ違う事 にした。だが、すれ違うまでもう少し。という所まで来て美雪は反対方向へ行 けば良かったと思った。 その人影の顔が黒くて良く見えないのは電灯の加減で暗いのではなく、真っ黒 な目指し帽を被っていた為であったからである。 「え…、や、やだ…」 美雪は恐怖のあまり立ち止まってしまうが、その間にも目指し帽の人影はどん どん美雪に近づいてくる。美雪が思わず後ずさりするとその人影は勢い良く駆 けて来た。 「い、いやっ…」 美雪が全力で駆け出そうとするまえにその目指し帽の人影は美雪の肩に手を掛けた! 「いやぁっ!!助けてっ!!はじめちゃ・・・・。むぐぅ…」 大声を上げかけた美雪の口を手で塞ぎ、暴れる美雪を引きずり倒し、草むらへ押し倒した。 「むぐぅ。むぐっ。むぐぐ。むぐ〜〜 (いやっ・・・。いやっ・・・。たすけて・・・。はじめちゃん・・・・)」 --- 同時刻(金田一サイド) --- 「はぁっ…。美雪の奴何処へ行ったんだ…?」 家を出た後、一は学校へ向かったが、既に美雪は帰宅済みであるとの事。どこか 途中で寄り道でもしてるのでは…。 と思ったが、真面目な美雪の事。一の様にゲームセンターや本屋での立ち読み等 をするわけもなく、美雪の友達も全員美雪とは別行動をしてる事が解った一は途 方にくれていた。 …とぼとぼと家への道を歩いていると視界に大きな公園が入ってきた。 「まさか…。この公園か?でも、こんな公園、遊ぶ物は何も無いし…」 美雪と一の男女差であろうか?一の様な人間にはロマンチストである美雪がこの 公園に入ったことは想像しにくかったが、胸騒ぎがする一は駄目元で公園に入っ ていった。 「ふぅ。しかし、この公園は本当広いな…。そういや美雪と始めて会ったのも この公園だっけ…」 と思い出に浸りながら公園の中を歩く一に聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「いやぁっ!!助けてっ!!はじめちゃ・・・・。」 「美雪っ!?」 --- 同時刻(美雪サイド) --- 「ふぐぅっ!ふぐっ!むぐぅ〜〜〜〜〜〜!」 「うるせぇ!おとなしくしろ!!」 めちゃくちゃに暴れる美雪だが暴漢の力にかなうわけも無く、徐々に服を脱がされ始 めていった。 「おおぅ。制服の上からでもわかっていたが、おっきいおっぱいだねぇ・・・」 「んぐぅーーーーーー!」 制服の上着を脱がされ、ベストとブラウスだけになった美雪の上半身にはたわわな乳 房が揺れていた。 「あー。もう我慢できねぇ。このままでいいか。」 と、スカートの中に手をつっこみ下着に両手を掛ける暴漢。下着に両手を掛けた事に より口から手が離れる。 「いやぁ〜〜〜〜!助けてっ。はじめちゃんっ!!怖いよっ!!!」 悲鳴をあげる美雪。 「おぅおぅ。彼氏の名前かい。残念だね。彼氏は来ないよ。 まぁ…。このまま威勢の良い鳴き声を上げてくれてもいいんだが人が来ると厄介だからな。」 と、暴漢は服の中に手を入れ 「おい!!お嬢ちゃん!!!ぶっ殺されたくなければ黙ってるんだな!!!」 とナイフをとりだし、美雪の顔のすぐ脇に付きたてる! 「ひっ…。あっ…、あぁ…」 アンモニア臭があたりに広がる。 「おぅおぅ。お漏らしかい…。はしたないでちゅね〜。 これで解っただろ。うるさくするとぶっ殺すぞ…。 まぁ、彼氏に助けを呼んでもそんなお漏らし姿を晒す嵌めになっちまうから 嫌われちゃうぜ?」 「うっ…うっ…。はじめちゃん…。」 力無く呟く美雪。 「おーし、やっと静かになったな。それでは頂き…」 「おい!!そこで何やってる!!!美雪!?」 --- 同時刻(一サイド) --- 「くそっ。何処だ!?何処に居る!?」 美雪の悲鳴を聞いたはじめだが、一瞬だけの悲鳴だったので大まかな方角しかわから ず、無駄に時間を費やしていた。 「考えろ、考えるんだ…。 お前は金田一耕介の孫だろうが…。こんな時に役に立たないで何が名探偵の孫だ…」 必死に頭を働かせる一。 自分の居た位置と悲鳴の方角から徐々に場所の当たりを付けて行く。 とその時すぐ近くで 「いやぁ〜〜〜〜!助けてっ。はじめちゃんっ!!怖いよっ!!!」 と悲鳴が聞こえた。 「こっちか!!」 走り始める一。 そして、一が目にしたのは今にも襲われそうな美雪の姿であった。 「あーあ。お嬢ちゃんがうるさいから変な奴が来ちまったじゃねぇか…」 「はっ、はじめちゃん!?たすけてぇっ!!」 「美雪っ!!」 「おぅ!?噂の彼氏かい?丁度良いおまえの彼女が目の前で犯されるのを見物してな!」 「美雪を離せっ!」 「おぃおぃ。コレがみえねぇのか!?ああん?まさか素手で殴りかかるほどアホでもねぇだろ?」 とナイフをちらつかせる暴漢。 「くっ。」 確かにその通りなので一瞬怯む一。 だが、ナイフを使い美雪を人質に取られればそれこを何も出来なくなってしまう…。 と一瞬で判断し、暴漢が油断しているうちに。と組みついていく。 「ちっ。この馬鹿がっ!」 「うぉぉぉぉぉ!」 「はじめちゃんっ!!」 3人の声が重なる。 暴漢と一が一つとなり、数回転転がる。 「ああっ。やっちまった…。いっとくが俺のせいじゃないからな…」 と何かにおびえる暴漢。一は何か腕に熱い感触があるのに気が付き腕を見ると暴漢 の持っていたナイフが腕に深く刺さっていた。 「いやぁぁぁ!!はじめちゃん!!!」 美雪が絶叫する。 「流石に人が来ちまうか…。くそっ。ナイフを返しやがれ!」 暴漢は一の腕に刺さったナイフを無理矢理抜き取るとそこから血が溢れる。 「ぐぁっ」 一は思わず悲鳴を上げるが、暴漢はそんな一に気をくれる事もなく、逃げ出していった。 「はじめちゃんっ。はじめちゃんっ。お願いっ!死なないで・・・!」 顔面蒼白になった美雪が駆け寄ってくる。 「大丈夫さ…。美雪。それより美雪こそ大丈夫か?何もされてないか?」 「うん。大丈夫だよ…。はじめちゃんのおかげだよ。ありがとう…」 「そうか…よかった…」 と安心したのに加え傷の痛みで気が遠くなる一。 視界が暗転する前に何か美雪が叫んでいたがそれを確認するまでもなく意識が闇に落ちた。 --- 病院 --- 「…ちゃん…、は…ちゃん…」 「(んんん…なんだかうるさいなぁ…)」 「は…ちゃん…、はじめちゃん…」 「(この声は美雪?俺はどうして…)」 「はじめちゃんっ!良かった…。本当に良かった…」 一が目をあけると目の前には泣き腫らした美雪の顔が合った… 「俺はどうして…、ここは?」 「よう。金田一目が醒めたか?」 野太い声が聞こえる。 「剣持のおっさん?どうしてここに?」 「何。あの後悲鳴を聞いた人から110番通報があってな。 犯人の野郎は駆けつけた警官によって逮捕され、お前は病院に運ばれた訳だ。 幸い、腕の怪我も刺さり所が良かったおかげで数針縫うだけで良かったんだぞ。 おっと、まだ腕はあんまり動かすなよ?縫合は終わってるし、麻酔が効いているから 痛くないだろうが、動かすと傷口が開くからな。 それより七瀬君に感謝しろよ? 一瞬たりともおまえの傍を離れなかったんだからな。 …ゴホンッ、お邪魔虫は退散するかな…」 と顔を何故か赤くして剣持は部屋から出ていった。 「はじめちゃん…。本当によかった…」 まだ美雪は泣いている。一はベッドに横たわり、美雪の頭を開いている方の手でなでな がら美雪に言った 「もう泣くなよ…。俺も無事だったんだしさ。美雪。本当に何もされてないよな?」 「うん…。はじめちゃんのおかげだよ。本当にありがとう…。」 目を潤ませながら美雪は答えた。 「…。」 「……。」 「………。」 「そ、そうだ。はじめちゃんに渡す物が…」 2人は黙って見つめあっていたが、気恥ずかしくなったのか美雪は足元に置いてあった鞄の 中から包みを取り出した。 「はい。どうぞ。チョコレートよ。」 「おお〜っ。やった!これで今年もチョコ0個は免れたぜ!ありがとう。美雪」 「えっ…?はじめちゃん0個って…?玲香さんには貰ってないの?」 「ぶっ!!み、美雪なんでその事を!?」 「うん…。今日の放課後…。見ちゃったんだ。玲香さんとはじめちゃんが車に乗っていくのを…。」 「……。(どうする…。いっそのこと本当の事を言っちまうか…?」 一が美雪に気持ちを告白しようかと考えこんでいる所に美雪はさらに続ける。 「そのチョコね。今まで見たいに義理チョコじゃないんだ。私の手作りの本命チョコよ。 ずーっと前から本命チョコを渡そうと思ってたんだけど…。 ずーっと前からはじめちゃんとは一緒に居たし、「幼馴染」って関係があったからなんだか恥ずかしくて…。 でも、今日…。はじめちゃんに助けてもらってやっと自分の気持ちに素直になれそうだから…。 もう。ただの幼馴染じゃ嫌。一人の女の子として私だけを見つめて欲しいから勇気をだして言うね。 好きです…。 世界中の誰よりもはじめちゃんの事が好きです…。」 「み、美雪…(こ、こんな事ってあって良いのか?美雪も俺の事を…?)」 一が驚いていると美雪は潤んだ目で微笑みながら続ける。 「えへへ。やっと素直に言えたよ。 ごめんね。はじめちゃんは玲香さんの事が好きなのは解ってるけど…。 私の気持ちをはじめちゃんに伝えたかったから…。 私は気持ちを伝えられただけで充分だよ。この事は聞かなかったことに…」 「いや!待てっ!待ってくれ美雪!!」 一は美雪の言葉をさえぎる。 「確かに、今日。放課後、玲香ちゃんに会った。 それで、玲香ちゃんに本命チョコをもらって告白されたんだ…。 でも、その時に頭に浮かんだ顔は美雪…。お前だったんだよ。 だから、俺は玲香ちゃんに 「ゴメン。俺は美雪が好きだ。」と言って断ったんだ。」 「本当…?はじめちゃん。本当なの…?」 「ああ…。俺は美雪、お前の事が小さい頃から今でもずーっと好きだ!」 「はじめちゃんっ!嬉しい…」 美雪は涙を流しながら一に抱きついた。 一もしっかりと美雪の事を抱きしめる。 「美雪…。」 「はじめちゃん…。んっ…」 2人は抱きついたまま見詰め合っていたがやがてどちらからともなく口付けをかわした。 「はじめちゃん…。はじめちゃん…。んぅっ。好きだよ…。」 「美雪…。俺もだ…」 お互いの名を呼びながら口付けをかわしつづける2人。 ふと、美雪が一に抱きつく力が急に強くなった。 「美雪?んっ…。」 「んんぅっ…。はじめちゃん…。 あのね…。本当に今日は怖かったの…。んっ…。 まだ震えが来る位…。だからもっと強く抱きしめて!!」 「ああ…!」 口付けを激しくかわしながら美雪を強く抱きしめる一。 「襲われてる間。ずっーっと、はじめちゃん助けて!!って思ってたんだ。 もう、はじめちゃんの事しか考えられない位…。んぁっ…。 今日は本当助けてくれてありがとう…。はじめちゃんは私の王子様だよ…。んっ…。」 長年思い続けていた相手に気持ちが通じた事、恐怖から開放された事により美雪の 理性のタガは外れてしまったのだろうか?普段からは考えられないほど積極的に一を抱擁し、 口付けをかわす。 「んはぁっ。ああ…。はじめちゃん…。んっ…」 「美雪…」 一方一の方は美雪が求めるままに抱擁と口付けを交わしているが、健康な高校生男子である。 美雪の情熱的な口付けと豊かな肉体の抱擁によりムラムラと体の一点に血液が充足してくる。 「んっ…?はじめちゃん…?またポッケに何かいれてるの?」 以前にも一のアレを勘違いしてしまったほどの天然である美雪。 今回も同様に一のふくらみを勘違いしてはからずも愛撫してしまう。 「うぉっ。いや、美雪…。それはだな…」 「なーに?はじめちゃん?」 「その、男の生理現象というかなんというか…」 「…?も、もしかして…!」 やっと事態に気が付いた美雪。顔がさらに真っ赤になる。 しかし、一もここまできたら男である。真面目な顔で美雪に問い掛ける。 「美雪…。あんな事があった直後にこういうのも変かもしれない…。 でも、俺はお前が欲しい…。」 「はじめちゃん…。うん…。良いよ…。まだ怖いけど、私をはじめちゃんの物にして…。 はじめちゃんの物にして全てを忘れさせて!!」 「美雪っ…。んっ」 「はじめちゃんっ!んんっ。」 再び熱い抱擁と口付けをかわす2人。 さらに一は美雪の体を愛撫していく。 美雪はまだ恐怖が残っているのか、少し体を緊張させながら抱擁をかわしている。 「美雪…。力を抜いて…」 「うん…。んぁっ!」 そして一の愛撫が美雪の豊満な胸に達した時、思わず声を上げてしまう美雪。 「(うわぁ…。すげー柔らかくて気持ち良い…)」 「んぁっ。はじめちゃん…。はじめちゃん…」 美雪の胸は大きいだけでなく感度も良いようだ。一が制服の上から愛撫するだけでも 電撃が走ったかのように体がビクンビクンと反応している。 「んぁっ。はじめちゃん…。キスして…。んぁっ」 「ああ。美雪…好きだよ…」 「ん…。私も…。んぁっ! (気持ち良い…。あの時とは違って凄い安心してられる…。はじめちゃん…)」 一の手がベスト、ブラウスの隙間から服の中へ入り、直接乳首を愛撫されると、美雪は 感極まって一に抱き着いてしまう。 「美雪?ゴメン。痛かったか?」 「ううん…。気持ち良すぎて…。んっ。」 美雪は答えの変わりに一の唇を吸った。 そして2人はそのまましばらくやさしく抱擁し会った。 「はじめちゃん…。 (こうしてるだけでも幸せ…。こんなに好きな人に抱かれるのが気持ち良いなんて…)」 「美雪…そろそろ…」 一が美雪に声をかけ、スカートに手をかける。 「うん、はじめちゃん。いいよ…。あっ!」 思わず美雪はスカートを抑え、一から離れてしまう。 「美雪!?どうした…?やっぱり駄目か?」 一もはじめての経験であり知識はAVビデオなどしかないので何か失敗したのか?と不安になり 美雪に声をかける。 「う、ううん…。駄目じゃない…。駄目じゃないの…。 で、でもね…。あの…。その…」 真っ赤になりながら美雪は続ける。 「はじめちゃんの事が心配でずーっと傍にいたからあの…。おトイレに行って無いの…」 美雪は襲われた時に恐怖のあまりに失禁してしまっていた。 よくみると制服のスカートも股の部分が濃くなって濡れている事が解る。 本来ならばトイレに行って下着を替えるべきだったのだが、一の安否を心配するあまり 片時も離れる事が無かった(手術中もドアの前に貼りついていた)ので下着もそのまま であった。 「なんだ…。そんな事か。美雪に汚い所なんてないよ。俺、美雪のだったら汚いなんて 思わないよ…」 と一は美雪を抱き寄せながら言う。 「はじめちゃん…。ありがとう…」 美雪も一に抱きつきながら答える。 「はじめちゃん…。んぁぁ…」 一はスカートを捲し上げ、まずは下着の上から美雪の秘所を愛撫する。 じゅぶっ…。にちゃっ… 「んぁぁ。恥ずかしいよっ…」 美雪の秘所は下着の上からでも、失禁のせいだけではなく、美雪自身からあふれ出た蜜で 充分に湿り、みだらな音を立てる。 「恥ずかしい事なんか無い。こんなに濡れてくれて嬉しいよ。美雪」 「だって、だって…。それははじめちゃんが相手だから…。んんっ…!」 愛撫されるたびに電流が走ったかのような快感が駆け巡り美雪は思わずはじめに抱きつく。 一はそんな美雪を可愛いと思いながら、スカートをたくし上げ、下着を脱がせた。 「はじめちゃん…。はじめちゃんっ…」 美雪が恥ずかしさの余り顔を抑えている間、一は美雪の股を開かせ、股の間に顔をうずめる 体勢になった。 「はじめちゃん何を…?やだっ。そんな汚いよっ!!」 「ぐえっ」 思わず美雪は恥ずかしさの余りに股を閉じてしまい、一の首がしまる。 「あっ…。ごめんなさい。はじめちゃん。でも…」 「大丈夫だよ。美雪に汚い所なんてない。俺に任せて…」 「う…うん…。でも恥ずかしい…」 一が美雪の股を開かせ、そうささやくと美雪も股の力を抜く。 「凄い綺麗だよ。美雪…」 一は改めて美雪の秘所を間近で眺めた。 美雪の秘所はぴっちりと貝が閉じており、豊かに茂った陰毛も一の興奮を誘う。 また、アンモニア臭に混じって美雪の女の匂いが一の鼻を襲うが一にはそれがどんな香水よりも 良い匂いに感じられた。 「ああ、恥ずかしいよ…」 美雪は顔を真っ赤にして呟く。その呟きを無視するように一は美雪の秘所を直接舌で愛撫し始めた。 「んぁぁぁっ!!!は、はじめちゃんっっ!!」 一が舌で美雪の秘所を愛撫する度に美雪が声をあげる。 秘所からは新たに蜜が溢れだし、部屋の中には濃密な女の匂いが立ちこめはじめた。 「あっ、あっ、あっ…。は、はじめちゃん。ま、またトイレに…」 まだ、尿意が残っていたのだろう。一の愛撫で秘所を刺激された美雪は思わず声を上げる。 「美雪。そのまま刺激に身を任せて。」 「そ、そんな。汚いよ…。はじめちゃんにかかっちゃう…」 「だから美雪に汚い所なんか無いよ。さあ…。力を抜いて…」 「そんな、駄目だよっ!あっ、あっ、あっ…。気持ち良い…。我慢できないよ…。 駄目っ。駄目っ、いっちゃう!出ちゃうよぅ!はじめちゃんっ…!」 ぷしゃぁぁぁぁっ…。 「で、出ちゃうっ!駄目っ!いくぅっ………!」 美雪の秘所から小水が吹き出ると同時に絶頂を迎える美雪。 一にも少し掛かってしまうが一には全く気にならなかった。 「あ、あ、あっ…。出ちゃった…。はじめちゃんにかかっちゃったよう…。 (でも何で?あの時とちがって気持ち良い…)」 「美雪。気にするなよ。俺も美雪がいってくれて嬉しい」 「はじめちゃん…。んっ…」 絶頂の余韻と放尿感による快楽のなか一と美雪は口付けをかわす。 「美雪…。そろそろ良いか?」 美雪の絶頂と放尿をみて興奮しきった一は美雪に問う。 「うん。良いよ…。私の始めてを貰って…。はじめちゃんの物にして…」 美雪が答える。 「ああ…。出来るだけやさしくするから…」 一は下着を脱ぐとカチカチに固くなった肉棒を美雪の充分に湿った秘所に当てる。 「うん…。はじめちゃん…。来て…」 ミチッ、ミチミチミチッ…。 キツイ音を立てながら一の肉棒が美雪の秘所に埋まっていく。 「んぐぅっ…」 美雪は一を心配させたくないとして、出来るだけ声を上げずに痛みに耐える。 「み、美雪っ…。大丈夫か!?」 「う、うん。大丈夫っ…。はじめちゃんの好きなように動いて…」 と口では言っているがどうみても痛そうな美雪を見て一は自分の興奮をなんとか 抑える事に成功した。 「美雪…。」 「はじめちゃん…。んっ…」 一は秘所に肉棒をさしたまま美雪と正常位の体勢で向き合いしばらく口付けをし合う事に より美雪をなれさせる事にした。 「はじめちゃん。ちょっとなれてきたから動いても良いよ?」 「ああ。解った」 しばらく経つと肉棒の太さにもなれたのだろう。 童貞だった一はずっと思ってきた美雪の始めての人になれたこと、美雪の大量の愛液、尿 による潤滑油、また美雪の締め付けの強さに今すぐでも果ててしまいそうだったが、なんとか こらえつつ慎重に腰を動かし始めた。 「あっ。あっ。あっ。痛いけどなんだか私…」 「み、美雪。お、俺、もう…」 「い、良いよ。今日は大丈夫な日だから…。はじめちゃんのはじめてを一杯膣内にちょうだい…」 美雪のその言葉だけでもいきそうになるが、必死にこらえ、腰を振るスピードをあげる一。 「あっ。あっ。あっ。私…。また…。」 「お、俺ももうっ…」 「来てっ!はじめちゃんっ!膣内に出してっ!」 「み、美雪っ…!」 「はじめちゃんっ…!」 どくっ。どくっ。どくっ。 一の精液が美雪の膣内に勢い良く放たれる。 我慢に我慢を重ねただけあって凄い勢いである。 「ああ…。あったかい…。はじめちゃんが膣内に一杯出てるのが解るよっ…。んぁぁっ。イクっ!!」 ピクッピクッピクッ! 美雪は一に抱きついたまま、膣内に感じる一の精液の充足感を感じる事によって2度目の絶頂を迎える。 「はじめちゃん…。私。はじめての人がはじめちゃんで良かった…」 「俺もだよ。美雪…。」 「んっ…」 「んっ…」 そして、2人は行為後の余韻に浸りながら口付けを交した。 こうして、金田一一と七瀬美雪の「幼馴染」という関係は終わりを告げ、「恋人同士」という関係が 新たに始まった。 〜FIN〜 --- 余談 --- 「くっそー。あいつらめ…。ここは病院だぞ!? 全く…。俺が人払いをしなかったらどうなっている事か…。 ふふっ。まぁ、良いか。あの2人は見ててヤキモキするからな…。これからも2人で頑張れよ…」 と部屋の前でぶつくさと文句とも祝いの言葉とも取れる独り言をいっている剣持警部が居たのはご愛嬌。 SS一覧に戻る メインページに戻る |