ようこそ、プレイルームへ(テレンス×ミドラー+デーボ)
第三部 スターダストクルセイダース


「あら、テレンスじゃないの」
「おや、これはミドラーさん」

相変わらず丁寧な物腰で目の前の踊り娘のような女性に会釈を返した。

「DIO様は?」
「DIO様は今、休んでいらっしゃいます、誰も通すわけにはいきません…」
「あ、っそ!」

ミドラーはテレンスの横をすりぬけDIOの部屋へ向かおうとした。
甘い香りがテレンスの鼻を突く。
テレンスがミドラーの華奢な手を引いた。

「ここを通すわけには参りませんよ、ミドラーさん。」

丁寧だが、そこにははっきりと拒絶の意思が示されている。
ミドラーはくるっと振り向いた。
見事な大きさの胸は、男の心情など全くお構いなしに星型の薄布でわずかに
隠されていて、わずかにその動作だけでも豊かに揺れる。
一瞬でも目を奪われたテレンスはそれを悟られたくなくて握る手に力を込めた。

「とにかくダメと言ったらダメです!」
「手を離しな、テレンス」

敵意を感じたミドラーのほうも紅色のルージュがぬられた唇からは似つかわしくないほど言葉が荒くなった。
それからミドラーは表情を変えると妖艶に微笑んだ。

「お願いよ…テレンス、ね?」

長くて美しい脚を密着させた。
ズボン越しに感じるミドラーの足の柔らかさと温もりを
なんとか理性の力で振り払うテレンス。

「どうしても、と言うなら私を倒してからにしてもらいましょうか。」
「勝負ッ!?一体何の勝負よッ!」

ミドラーの長い睫が揺れて視線が険しくなった。
テレンスは薄笑いを浮かべた。

「そうですね…なんでもいいですが、
麻雀などいかがですか…?フフフ…」

ミドラーの美貌に挑発するような視線を送るテレンス。
ミドラーも負けてはいない。
細い指をテレンスの唇に絡ませた。

「覚悟できてるんだろうねェっ!」

DIOの館の中の一室。
8畳ほどの部屋に全自動の麻雀卓が備えられている。
なかなか立派な作りだ。

「ようこそ、プレイルームへ」
「こんな部屋があったの…」

ミドラーがキョロキョロと部屋を見回した。

「うッ…!?」

部屋の一箇所に目がとまりうめき声が漏れた。
そう、彼の自慢の、悪趣味な人形だ。
どれもこれも悲しげな表情を浮かべて、低いうなり声をあげている。

「魂を…賭けるんだったわね?」
「いえいえ…」

ミドラーもまた選び抜かれたスタンド使いの一人であり、
近いうちに来るジョースターたちとの戦いに必要な戦力だ。
テレンスが勝手にその命を奪うわけにはいかないのだ。

「そこまでは、求めませんよ。そのかわりに…衣服をかける、などはいかがでしょう?フフフ…」
「衣服ッ!?」
「つまりこういうことです。
負けたほうが一枚づつ脱いでいく。もう脱ぐものがなくなるか、
あるいは脱ぐ意思がなくなって降参の意思を表したときに勝負は付きます。」
「いいわッ!あんたが負けたら道はあけてもらうわよッ!」
「そのかわりミドラーさんが負けたら大人しく帰ってもらいますよ。」
「上等だわッ!かかってきなッ!」

むきだしの肩をいからせてミドラーは声をあげた。
それを制するテレンスはあくまで冷静だ。

「二人で麻雀というのも味気ないでしょう…
もうお一人参加してもらいましょうか。」

パチン、とテレンスは指を弾いた。

「何をかっこつけて…ブーーーッ!!」

ミドラーは口元の薄布をめくり上げて用意されていた紅茶を一口喉に
ながしこんだところで思い切り吹き出してしまった。
なんと冷蔵庫が指の音ともにいきなり開きだして一人の全身傷だらけの
大男が地を這うように出てきたからだ。

「あ、あんたッ!」

ミドラーも知っている、裏社会での大物殺し屋だ。

「デーボさん、お待たせしました。さぁ、三人でゲームを始めましょうか。」

三人は睨みあった。
緊迫した空気があたりに立ち込める。

「ゲヘへへへへ…」
「フンッ、まとめて消化してやるよッ!」
「フフフ…面白い…」

衣服をかけた麻雀ゲームが今幕を開けた。






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