ペリちゃんイジメ一日目 |
ジュエルペット
ひたすらペリちゃんが涙する内容だからそういうのが嫌な人は注意
とにかくひたすらペリちゃんにひどいことする内容なんだ……
ペリドットが目を覚ますとそこは闇の中だった。
「う〜ん……ここは何処デスかー……」
眠たい目をこすりながら体を起こそうとして違和感に気付いた。
手足に何かが繋がれていた。
「誰デスかー！私にイタズラしたのはー！？」
しかし返事は帰ってこない。
「またタータデスね！分かってるんデスよ！」
彼女の声だけが闇の中に響き渡る。
徐々にペリドットは不安になってきた。
「もうジョークはおしまい、ジ・エンドデース。だから早く外してください！」
その時ドアが開く音がした。
それと同時にまぶしい光がペリドットの目を襲った。
「うぅ……まぶしいデース……」
徐々に目が慣れてきて視界が安定する。
「やぁ、目が覚めたかい」
目の前には何かの作業着を身に付けた男が立っていた。
周りを見回すと机とその上に置かれているもの（ペリドットには何か分からない）とイス、そして彼女をつなぐ鎖以外何もない殺風景な部屋だった。
「ユ、ユーは誰ですか……？」
恐る恐る訊いてみる。
もう彼女に普段の様な元気は残っていなかった。
「私は特殊工作員のシンジだ、よろしくね」
男がにこやかな笑みを浮かペリドットに握手を求めてきた。
ペリドットは訳が分からず警戒した目つきでシンジを睨みつけた。
「おいおい、そんな怖い目で見ないでくれよ、別にひどいことをするわけじゃないんだから」
「じゃあ、これを外してください」
ペリドットが鎖で繋がれた手足を示して言った。
「すまないね、それは無理なんだ」
「どうしてデスか……？」
「仕事のルールでね」
「仕事……？」
「実は君には私の仕事に強力してもらいたいんだ」
「だから仕事って何なんデスか！？」
訳が分からないイラつきと恐怖からペリドットは声を荒げた。
「そう怒鳴るなよ、そんなに知りたいなら説明してやる。実は我が国ではジュエルペットの力をもっと有効的に使いたいと思っているんだ」
「今の私たちじゃ駄目なんデスか……？」
ペリドットが悲しげに言った。
「そう言う意味じゃないよ。ただジュエルペット達が人間の命令をなんでも聞くようになればとね」
「それって私たちの自由を奪うってことですか！？そんなのひどいデース！」
「君の様な反抗的なペットを調教するのが私たちの仕事でね」
男が不気味な笑みを浮かべた。
ペリドットは体中に鳥肌が立つのを感じた。
「調教」という言葉が何を意味するのかは分からなかったが恐ろしいことであるのは確かだ。
「調教ってな、何をするんデスか……？」
「説明するより実際にやった方が早いだろうから早速仕事を始めようか」
シンジは突然立ち上がるとペリドットの目の前にしゃがんだ。
「これから私のことはシンジ様と呼べ」
「どうして……」
次の瞬間シンジの平手がペリドットの頬に打ち付けられた。
初めて人間に殴られペリドットは強いショックを受けた。
痛みとショックから自然と頬を涙が伝った。
「口答えは許さん、以後気を付けろ」
「ひどいデス……」
つい口から言葉が漏れてしまった。
二度目の平手打ちが飛ぶ。
「口答えは許さん、三度目は言わないぞ」
ペリドットは嗚咽を漏らし泣いていた。
「分かったのか？」
「うぅ……ひっく……」
「分かったのか！」
シンジは立ち上がると拳をテーブルに叩きつけた。
ペリドットは「ひっ」と悲鳴を漏らすと後ずさった。
しかし鎖に阻まれ途中で止まってしまう。
「分かったのかと聞いている、返事は！」
「わ……わか……ぐす……分かりました……」
ペリドットは嗚咽を必死にこらえ言った。
「誰に対して言っているのだ」
「わ……分かりました……シンジ様……」
「それでよし」
シンジはペリドットの頭を乱暴になでた。
普段ならそれでもうれしいが今は恐怖以外の感情は湧いてこない。
「それでは次の段階に進もうか」
シンジは立ち上がると何かが入ったカゴをペリドットの前に置いた。
その中に入っているのは……。
「それではこの中にいるゴキブリを潰してみろ」
「……ハイ……」
また平手打ちを食らわされるのは嫌だったのでペリドットは恐る恐るカゴを開けた。
中では黒い“それ”がかさこそと動きまわって来た。
見ているだけで気持ち悪くなる。
さらにそれを潰せと言うのだ。
「ど、道具がありません……」
「道具ぅ……？」
シンジはくっくっくとバカにしたように笑った。
しかしすぐに真顔に戻って言う。
「バカ者。道具など必要ない」
「え……まさか……それって……」
ゴキブリを素手で潰す、女の子にとってこれほどの悪夢はないだろう。
ペリドットは身震いした。
「素手に決まってるだろ、分かったら早くしろ」
「でも……」
今度はシンジはペリドットの小さな体に対して蹴りを放った。
「きゃう……」
体が吹っ飛び、しかし鎖に引っ張られ地面に倒れる。
「口答えはするなよ」
ペリドットは蹴られた痛みでうずくまっている。
「分かったのか！」
「お願いします……せめてグローブ（手袋）だけでも……」
涙目で志願するペリドットを忌々しそうに睨みつけるとシンジは再び蹴りを放った。
「うぐっ……」
彼女の小さな体はすでにボロボロだった。
顔じゅうを涙と鼻水が伝っている。
いつの間にか鼻血も出ていた。
悲惨な光景だ。
「分かったのか？」
ペリドットは答えず嗚咽を漏らしていた。
シンジは舌打ちをすると足を持ち上げた。
それを見たペリドットは恐怖に歪んだ顔で叫んだ。
「分かりました！やりますからもう乱暴しないでください！」
「いいだろう」
シンジは不気味な笑みを浮かべると腕組をしペリドットの行動を監視した。
「ぐすっ……うぅ……」
涙や鼻水と鼻血が一つになった液体を床に落としながらペリドットはカゴの近くまで這って行った。
恐る恐るカゴの中を覗き込む。
その中を黒い物体が埋め尽くしていた。
それを見てペリドットは「ひっ」という小さな悲鳴を上げた。
「これをオール……全部デスか……？」
ペリドットの言葉を聞くとシンジはハァ……とため息を漏らした。
「ああっ、嘘デス、全部デスよね、当然デース……！」
あわててペリドットは言った。
ゴキブリを素手で潰すなんて地獄だ。
だけど暴力を振るわれるよりはマシ。
ペリドットはそう思い始めていた。
恐る恐るカゴの中に手を入れる。
中の生物達が手の上を動き回る。
「うぅ……」
吐き気を必死に抑えた。
本当ならすぐに手を引き抜き、女の子のお約束である悲鳴を上げたい。
だが出来ない。
それをすればまたシンジに暴力を振るわれるだろうから。
一匹を手の中におさめた。
手の中でかさこそと動きまわる。
その感触がとても気持ち悪くついペリドットは悲鳴を上げて後ずさった。
その際にゴキブリを手から離してしまった。
彼女の手に収まっていたモノは勢いをつけて部屋のどこかに飛んで行ってしまった。
ペリドットはあわててシンジの顔を見た。
その視線に気付いたシンジはやさしく微笑み返した。
え……？
訳が分からなかった。
そのにこやかな笑みを崩さずシンジはカゴに歩み寄った。
「見てな、こうやるんだよ」
カゴに手を突っ込んだ。
そして何匹も一気に取り出し握り潰す。
何かの液体が飛び散りペリドットの顔にも掛った。
しかしそれをぬぐうほどの余裕は今の彼女にはなかった。
次に何をされるのか分からなかった。
「ほら、見てごらん、これが潰されたゴキブリだよ」
シンジはペリドットの目の前に手を差し出した。
その上にはゴキブリの死骸が……。
思わず目をそむけてしまう。
「ホラ、しっかり見ろよ！」
シンジが手を顔に押し付けてきた。
死骸で顔中が塞がれる。
鼻を突く死臭で窒息してしまいそうだ。
「うぐぅ……」
息が出来ずペリドットは苦しそうに顔をそらした。
「くくっ……」
シンジが不気味に笑った。
「それじゃあ次のステップに……」
その時彼の付けている腕時計が鳴った。
「ちっ……時間か」
忌々しそうに舌打ちをするとペリドットの近くに歩み寄った。
「よかったじゃねえか」
そう言ってペリドットの手錠を外した。
「え……？」
「明日まで自由だ」
明日まで……それはつまり明日以降もこの恐ろしい調教が行われるということ。
「覚悟しとけよ、明日のは今日ほど甘くねえぞ」
ペリドットは悲しそうにうつむいた。
いったいいつまでこの地獄は続くのだろうか。
もしかすると永遠に……そんなの嫌だ。
「プリーズ……もう許してください……」
ペリドットは涙をボロボロとこぼし必死に訴えた。
「逃がしてくれるならなんでもします……だからお願いデース……！」
「このゴキブリを全部食ったらいいぜ」
「え……」
潰すだけでも最悪なのに、それを食べろと言うのだ。
「聞こえなかったか？低能なお前にも分かるようにもう一度言ってやる」
シンジはペリドットの耳を持ち上げた。
強引に持ち上げられているため耳が痛む。
しかし彼女に悲鳴を上げる余裕などない。
「明日、俺が来るまでにこのゴキブリを全部食べておけ、そしたら逃がしてやる」
そう言うとシンジはペリドットの耳を解放した。
乱暴に解放されペリドットの体は床に打ちつけられた。
「じゃあな」
そう言うとシンジは部屋から退出した。
後には涙を流しうずくまるペリドットが残されるだけだ。
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