雪が帰った後-2
高野誠一×雨宮蛍


高野は手枕で横になった。蛍はにっこり微笑むとおやすみなさい、と
呟いて目を閉じた。
しばらくすると規則正しい寝息が聞こえてきたので高野は部屋を
出なければと思ったが、蛍の寝顔を見ていると愛しい思いの方が勝って
しまい、離れ難くなってしまった。
更に時間が経ち、手枕をしていた腕が痺れてきたので身体の向きを
変えようと蛍に背を向けた。

「…ううん…」

蛍が高野を後ろからぎゅっと抱きしめてきた。

「雨宮?」

びっくりして振り返ったみたが、蛍は眠っていた。

(抱き枕と間違えてるな…)

再び横になって高野はあることに気付いた。

(背中に当たっているのは…)

マシュマロのような柔らかい物が背中に当たっている。

(落ち着け、落ち着くんだ。こんなシチュエーションは別に初めての
ことじゃないだろう。しかも相手は病み上がりだ。抱き枕と勘違いして
しがみついてるだけなんだ。病人相手に変な気を起こしたアホ宮じゃ
あるまいし、私は一体何を考えてるんだ)

必死に打ち消そうとする理性とは裏腹に、高野の脳裏には帰宅して
からの蛍の様子がまざまざと甦ってきた。

雨に濡れた髪…荒い息づかい…指に吸い付くような白い肌…
熱い身体…。

身体に巻き付けられた腕を解いて蛍の方に身体を向けると、彼女の
身体は仰向けになった。月明かりに照らされた蛍の顔を見ていると、
もう抑えきれないほどの切なさが込み上げてきた。

「雨宮…本当に私でいいのか…?」

高野は蛍に口づけた。昼間にしたような激しさは欠片もなく、
こわれものに触れるかのように優しくキスをした。

「ぶちょお…」

唇を離すと蛍はぱっちりと目を開けていた。

「起きてたのか!」
「いえ…なんかぶちょおにちゅーされる夢みて、すごくどきどきして

目が覚めたらぶちょおが…」

「いや…その…」

蛍の手が高野の頬を愛おしむように包んだ。

「もう一度して下さい」

二人は再び唇を重ねた。わずかに開いた唇の隙間から高野は舌を滑り
込ませた。昼間は気付かなかったが、おずおずと舌をからませてくる
蛍に微かな違和感を
感じた。高野は慣れた手つきで蛍の服を脱がせた。

「恥ずかしいです…」
「暗くてよく見えないから安心しろ」

そうは言ったものの、蛍の部屋には満月の光がまっすぐ差し込んで
いて、彼女の身体を照らしていた。月明かりに彩られた蛍はこの上なく妖しく美しく、まるでこの世の者ではないかのような錯覚を覚えた。

(綺麗だ…)

高野の唇が蛍の首筋をなぞった。その手は触れるか触れないかの
ような、まるで羽毛でなでられるような感触で蛍の身体を撫でた。
くすぐったさと快感が入り交じったような不思議な感覚に蛍は
酔いしれた。
まだ肝心な部分には触れられてもいないのに、二つの蕾は色づいて
固くなり、身体の芯が熱くなってくるのを感じた。

「あっ…ぶちょお…へんな感じ…」
「もう少し素直な表現をしてもらいたいね」

高野は柔らかなふくらみを撫で、その頂きに舌を這わせた。

「いやぁ…あぁっ…」

高野の手は次第に下の方へと移動し、敏感な部分に触れた。熱い蜜で
満たされた花弁は指の刺激に耐えきれず、シーツを濡らすほどに
あふれさせた。

「結構敏感なんだな。意外だ」

高野は蛍の耳許で囁いた。

「あん…もう…ヒドイですよ…」

憎らしいほどに余裕たっぷりな高野に蛍は腹が立ってきたがすぐに
押し寄せる快楽の波にその思考は押し流されてしまった。
気がつくと高野の頭は蛍の足の間に移動していた。止める間もなく
その中心の最も敏感な部分に高野の舌が滑り込んだ。

「やめて下さい…!そんな汚い…お風呂にも入ってないのにっ…!」

更に強く押し寄せる快感に蛍は気を失いそうだったが、かろうじて
意識を保って高野に懇願した。

「汚くなんかない。それに本当にやめちゃっていいの?」

ニヤリと笑う高野に組み敷かれ、快楽の虜にされた蛍にはもうなす
術がなく、こう答えるのが精一杯だった。

「ぶちょおのイジワル…大キライ…」
「それはどうも。準備ができたようだな。いくぞ」

高野は蛍の中に侵入した。

「…痛い…!」
「大丈夫か?すまない。少し急ぎすぎたか」
「そうじゃないんです…だって…あの…」

蛍は言い淀んだ。

「すごく…久しぶりだから…」

高野はさっき感じた違和感の理由がわかった。

(そうか、あのぎこちない感じは久しぶりだったからか。手嶋とは
殆ど何もなかったのか…)

手嶋と身体の関係がなかったのだとわかると、高野はほっとすると
同時に自分が彼に嫉妬していたことを自覚して少し驚いた。

「痛みがやわらぐまでこうしているから」

自分の感情を悟られまいと高野は蛍を抱きしめ、手嶋の痕跡を拭い去る
かのように何度もキスをした。
ふと目を開けると蛍の目から涙が滲んでいた。

「まだ痛むか?やめようか?」
「違います。やめないで下さい。私嬉しいんです。ぶちょおとひとつに
なれたんだなあって。もっとぶちょおを私の中に感じていたいんです。
だからこのままでいて下さい。もう殆ど痛くないですから」
「そうか。じゃ、動くぞ。辛かったら言え」
「はい」

高野はゆっくり腰を動かした。蛍の身体から強張りが消え、高野の
動きに合わせてまた切なく甘い声を漏らし始めた。

「ぶちょお…もうダメです…離さないで…」

蛍は身体が溶けてしまいそうな、意識がどこかへ飛んで行ってしまう
ような感覚に襲われた。高野の息が荒くなり、やがて蛍の身体の上に
崩れ落ちた。

月は天高く昇ったようで、蛍の部屋の中は先ほどより随分暗くなって
いた。

「あの…」

蛍は高野の腕の中にいた。

「ん?」
「私、ぶちょおがいいんです」
「急に何だ?」
「さっきの質問の答え。私でいいのかって聞いたでしょ?」
「寝てたんじゃなかったのか!」
「ぶちょおが私に背中向けた時に目が覚めました。どっか
行っちゃうんじゃないかと思って咄嗟に抱きついちゃいました」

いたずらっぽく蛍が笑った。

「なんて奴だ…!騙したな?」

高野は自分の顔がかっと熱くなるのを感じた。

(部屋の中が暗くて助かった…)

「ぶちょお、顔真っ赤ですよ。うふふ」
「暗いんだから見えるわけないだろっ」
「やっぱり赤いんだ」
「貴様…!」

高野は起き上がって蛍をまた組み敷いた。

「ぶちょお…大好きです…」

蛍の腕がするりと伸びて高野の首にからみついてキスをした。
このままずっと二人きりの甘い時間が続くよう願いながら…






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