婚約
道明寺司×牧野つくし


「ちょっと、あ、あんまり見ないでよ!」
「あ?何でだよ」
「なんか、緊張するし・・・・・・」
「なんでそんなに離れて座ってんだよ!」
「あっ・・・あたしの勝手なのでしょーが!」
「・・・お前、めちゃくちゃしどろもどろじゃねーかよ!
 お前の緊張はうつるんだよ!」
「あー!あたしのせいにして!あんただって最初から緊張してるっつーの!」

ここは道明寺家。あたしは魔女にも認めてもらい、結婚の了承も得ていた。
今は大学に通いながら毎日先輩や家庭教師達に嫁入り修行を受けている。
礼儀作法、歩き方、メイク等TOJの時並みに仕込まれる毎日。
先日道明寺があたしの家に来て結婚の挨拶した時、家族みんなで

「今すぐにでも、つくしを捧げます!」・・・なんて言うから、
道明寺も調子に乗って、

「今日から一緒に暮らします」・・・って事に。

そんなこんなで今日から道明寺と一緒に暮らすことになった。さっきの食事の時から
時は普通に会話してたくせに、あたしがパジャマ姿で部屋に入ってから
なんかソワソワしだして、こっちをチラチラ見てくる。

・・・っつーか、なんでいきなり道明寺と同じ部屋なの?!?!

『あんたたち婚約してんだから問題ないだろ!』

と先輩に無理やり同じ部屋に
させられたし。

・・・あたしたち、本当に婚約したんだよなぁ。なんかイマイチ
実感沸かない。

ふいに、道明寺が結婚の挨拶に来たときのことを思い出した。

「ぶっ!!」
「!?何いきなり笑ってんだよ」
「あんたが、パパに『結婚してください』って言ったこと。ぶはっ!」
「てめっ あ、あれは噛んだっつってんだろーが!」
「あれはねぇ、噛んだって言わないの。根本的に意味が違うし!」
「うるせえ!・・・ひっ必死だったんだよ・・・」

照れた表情の道明寺を見て、素直に言葉がこぼれた。

「ありがと。うれしかったよ。本当に」
「・・・おう」
「毎日大変だけど、私も頑張んなきゃね〜」
「お前・・・俺に宣戦布告したよな。幸せにするって」
「まーね!」

道明寺の肩をポンっと軽くグーでパンチする。

「今すぐに・・・俺様を幸せにしろ」
「え?」

その瞬間道明寺がつくしに軽く口付けをした。そしてまっすぐにつくしの
大きな瞳を見つめた。

「もっと、幸せになりてー・・・」
「えっ、道明寺っ ちょっと」

つくしをひょいと抱き上げベットに連れて行く。つくしの髪、額、頬に触れ、
男の表情で見つめる。

「牧野・・・」

「あ、あのね、道明寺、あたし心の準備がっ!」

ジタバタ抵抗するつくし。ベットの上で仰向けになってるつくしに道明寺が再びキスを
しようとする。『何かで誤魔化さなきゃ』と頭をフル回転させる。

「あんたさ、け、怪我治るの早いよね〜!」
「・・・あ?」
「ついこの間退院したばっかなのにさ、もうピンピンしてるもんね!さっすが
 いつも良いもの食べて栄養とってるだけあるよね!うん、本っ当早い!」
「・・・・・」

道明寺が黙り込む。

「ん?どしたの・・・?」
「あん時は、本当に悪かったな」
「え?」
「せっかくお前を迎えに行って、守ってやろーと思ったのに、逆に不安に
 させちまった」
「道明寺・・・」

つくしの後を追い漁村まで迎えに行った道明寺。進を守ろうと下敷きになり
大怪我をし、つくしの事だけを忘れてしまったあの出来事―。

「もう、いいんだってば!全部思い出してくれたじゃん。あたしのこと」

道明寺の胸をポンっと軽く叩く。

「昔の事グチグチ言いたかねーけど、あの雨の日お前が出て行っちまった
 後・・・俺に・・・穴が開いちまった感じだった。
 お前を迎えに行ってその穴を埋めようと思ってたのに、お前を忘れて
 もっと穴がでっかくなっちまった」

つくしの手を握る力がギュっと強くなる。

「あんな思い、二度としたくねえ。」

―私も二度とあんな思いしたくない。道明寺に嘘をついて出て行った時、壊れてしまいそう
だった心。そしてまたこの屋敷に来たとき、『もう、いい』と土星のネックレスを
投げつけた時、完全に壊れてしまった心。
道明寺の屋敷には、いつも後一歩を踏み出せない自分、気持ちを押し殺してた自分が居た。
でも今はもう違う。これからはこの屋敷で自分に正直になっていい。

「道明寺、宣戦布告したでしょ。幸せにするって!だから、もうあんな思い
 二度とするわけないでしょ!穴が開かないくらい、頑丈になるんだから!」

笑顔で言うつくし。

「・・・おう」

ふっと道明寺からも笑みがこぼれる。

自分を道明寺でいっぱいにしたい。すなおにそう思えた―。

こんな風に思うのは初めてかもしれない―。

つくしは道明寺の襟元をつかんで引き寄せ、自分からキスをした。
少しびっくりした表情の道明寺だったが、すぐに両手でつくしを抱きしめ、
そして今までした事のない位・・・深く、長いキスをした。

「お前の事しか、考えらんねー」

―道明寺もあたしを求めてる。お互い同じ事を考えてるのがわかる。
後悔はしない。

道明寺はつくしの上半身だけを起こし、力強く抱きしめた。
そして胸元のボタンに手をかけはずしていった。つくしは恥ずかしさと緊張で道明寺の顔が見れず
うつむく。
肌が露になり道明寺の手が肩に触れた。そして少し荒々しく、やさしく、頬に、瞼に、唇にキスをする。
首、肩、腕に、そしてブラのホックをはずし、柔らかい部分にもキスを―。

「ちょ、ど、道明寺っ」

つくしは何度も繰り返される体中へのキスに、くすぐったいような、痺れるような感覚だった。

「犬・・・みたい」

恥ずかしくてたまらなくてついそんな言葉が出てしまう。

「本当、犬みてーだな俺」

少し息遣いが荒くなった道明寺がつくしを再びベットに倒す。

「でも、止まんねーんだよ。お前の体全部、俺ん中に入れたい気分」
「んっ・・・」

体中に道明寺の息遣いを感じる。腰へ、太腿へ・・・

そしてつくしの体の中で一番やわらかく、熱いところに。






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ