りせっと2
ニケ×ククリ


「……髪、解いた方がいいかな?」
「うん、おれが解いていい?」

栗色の髪、三つ編み、つるつるさらさら、いいにおい。端を結んでいるゴムを取り去ると、ウエーブの癖がついた長い髪の毛がほぐれていく。指を通すとうるうるしっとりした少し重い髪がするする指の内側を刺激する。

「三つ編みもいいけど…なんかいつもと違って新鮮だよな」
「やだ、えっち」

片方の三つ編みが完全にほぐれきって、ふんわりした髪がシーツの上に広がっているのを見たニケは自分の鼓動がますます早くなるような気がした。いかん、この調子じゃ脱がす前に死んじまう。

「ばぁか、いまからもっとえっちなことするんだよ」
「…うん…して」

両手を広げてほっこり頬を紅潮させたククリが笑う。
とっさに片手を口に当ててそっぽを向いたニケはぶるぶる肩を震わせて自分の中の闇色をした衝動と必死に戦った。やばいやばいやばいがばって行きそうだった今一瞬がばって行きそうになったおれ!
呼吸を何とか取り戻して肩を抱き、ベッドにククリをそっと押し倒す。広がっていた髪が、また一層流れるように広がって栗色の小川が出来る。
真っ黒のローブにささやかな二つの丘が出来ていて、よく目を凝らしてみると、その双丘は微かにどくどくと脈打っていた。

「胸、触っていい?」
「痛くしないで…ね」

了解を取り、震える指をくすぐるようにそっと胸に添える。柔らかくて、温かで、意外なほどよくへこんだ。まるで爆弾でも触るかのごとく静かに静かに指に力を入れると、奥にすこし硬い感触が生まれる。

「んっ…」
「ごっごめっ…!痛い?痛かった!?」
「だいじょうぶ、ちょっと、だけだから」

慌てふためくニケの様子が可笑しかったのか、ぷっと笑ってククリが照れたように言った。

「ククリのおっぱい、ちっさくてごめんね」

その声が申し訳なさそうでニケも笑う。

「将来性があっていいじゃん」

おれこそあんまし格好よくない細っこい身体で実は恥ずかしいんだぜ。耳元でそんな風に囁くニケの声がククリにはくすぐったくて嬉しくて、でもちょっと切なくて面白かった。
勇者さまが、あたしの身体を触ってる。
変な感じだけど気持ちよくってどこか落ち着く。心臓は痛いほどドキドキしてるのに、変なの。
指が動くたびに身体が無意識に跳ねちゃって、じっとしてらんない。やだ、こんなに気持ちいいなんて思わなかったから…どうしよう、明るくて恥ずかしい……

「あっやっ…んんっ」

一生懸命に跳ねる身体を押さえ込めようとする仕草が愛しくてたまらない。ニケの指が、手のひらが、もう自分の意識ではないどこかもっと深いところに突き動かされてるみたいに勝手に踊る。

「やわらかい」
「や!…んッ」

頭がボーっと定まらない。雲に浮いてるみたいだとニケのどこかが考えた時に、彼は彼女の声ではっと正気に返った。自分が引っ張っているものに気付いたのだ。

「ご…ごめんなさい!」

慌てて離した膨らみの突起から手を離したニケは風がおきるくらいに素早くがばっと起き上がった。
はぁはぁと甘い溜息を吐きながら、ククリはベッドの上でへたばって涙目で彼を見上げている。

「…ゆーしゃさまぁ…もっとゆっくり、して……」

ぴくぴく痙攣している手足の指をきゅっと握り締め、少し身体を縮めてククリがそう呟いたので、ニケは返事もそぞろにフラフラしながら彼女の身体をぎゅっと抱きしめた。

「?どーしたの、ゆーしゃさま」
「下手でごめんな」

八の字に眉を下げて本当に済まなさそうな顔をしてニケがそんな事を言うので、ククリは彼の肩を掴んで少し引き離した格好で言った。

「まだ二人ともレベル1だから、一緒に上手くなればいいよ」

かぁっと一瞬にして自分の頬が染まるのを、ニケは実感した。合わせ鏡みたいに目の前で染まってるククリもきっと同じように。

「けいけんち、いっしょにためよう」

どちらが先に言ったのかはお互い分からない。二人同時に口に出した言葉はバラバラに砕けて溶け合って、身体の中に染み込んで見えなくなった。
そして意を決した彼はもう一度彼女の胸に触れる。
震える突起は健気にも自己主張を始めていて、今やトレードマークになった黒いメケメケのローブを押し上げている。天空に来て、何でも洋服が手に入るようになってククリが一番最初に選んだのは地味で防御力もさほどない、真っ黒のローブだった。

『グルグルも使えなくなったし、またレベル1からやりなおしだね』

このローブ着てると一番最初に勇者さまに会った頃を思い出すの。そう言って笑う一番長く瞼に焼き付いているククリの形が、少しだけずれている事に彼は気付いた。

――――――背が高くなって、おっぱいがおっきくなってるのか。
だぶだぶで引きずるくらいに長かったローブの丈が少し短くなっている。身長は自分の方がぐんぐん大きくなっているものだから気付かなかったが、こうして見ると成長の具合がよく分かる。

「ククリ、最初に会った頃よりおっぱいおっきくなってるよ。」
「やっやだ…ゆうしゃさまったら何を言うの」
「だってほんとだもん。前はこんなに柔らかくなかった。」
「一体いつ触ったのよー!」
「おんぶとかしたことあるし」
「……えっち」
「触っただけでこんなになる方がえっちだね」

ニケが笑うと、ククリは顔を赤くしてゆーしゃさまが触るからよ、と言った。

「ククリはね、ゆーしゃさまが触った所全部熱くなるの。息が掛かったみみたぶも、キスしてくれた首筋も、触られたおっぱいも、みーんなゆーしゃさまじゃなきゃこんなにならない」

ゆーしゃさまに触られる度、ククリの身体が違うものになっちゃうみたい。ぞくぞくして気持ちいいの。だから、もっと触って……でも、やさしくしてね。
彼に身体を任せるように、ククリは静かに目を閉じて口をつぐんだ。

どくん、どくん、どくん、どくん

心臓が暴れる。頭が痛いくらい凄い勢いで血液が流れてる。目の前が白く瞬いているみたいだ。
手が滑る。胸を過ぎ、肋骨を辿り、お腹を撫でて、腰をなぞる。その度にヒクヒク動く彼女の瞼と睫毛が色を含んでいて興奮する。

「スカート、上げるから」

自分に言い聞かせるみたいに呟いたニケがローブを捲り上げると、白いかぼちゃぱんつが現れた。

「ごめんね、せくしー下着とか持ってないの」

顔を手で覆っているのか、くぐもった声がめくりあがったスカートの向こう側からしたので、ニケはいらないってそんなもん、と呆れ声で答えた。
そうだ、そんなものいらない。むしろおれはこっちの方が好きです。

【勇者は趣味がおっさんくさかった!】

人差し指を立てて、ゆっくりと太ももから伝わせ、ぱんつの端からピッタリ閉じられた左右の足の内側の付け根へ滑らせる。

「ああっ!やぁん、だめ、あっあっあっ」

……濡れてる……

綿の布の向こう側にある硬く尖った突起を探り当てる前に、ニケの指は湿潤なぬかるみに浅く侵入した。
くちゅ、という音に驚いて指を慌てて離したニケは、その指を擦り合わせて液体のぬるっとした感触を知った。……これが…アイエキ、てやつかな……
名前を認識し、ニケがもう一度一番湿っている場所を触るとククリの腰が急激に跳ね上がる!

「やああぁぁ!やだっそんなに触ったらあたし…あたし…」

泣きそうな声がする。色気の欠片もないはずの白いかぼちゃぱんつはぐっしょりと濡れていた。

「…ひっく、っく…」

すすり泣くみたいな吃音が覆われた指の隙間から見える濡れた唇から漏れていて、ニケはそれがひどく卑猥な気がした。

「…風呂、はいる?」
「……ん……」

蚊の鳴くようなか細い声で答えたククリがふらりと立ち上がると、そのおぼつかない足取りを支えるように隣に立ち、彼が誘導する。

「入っちゃったら…おれもっとひどいことするかもよ」

視線をちょっとだけずらして、もう一度ニケが確認する。もうこれ以上先に進んでしまったら、元に戻れないことを実感としてでなく感覚で知っているようだった。
もっと泣かせるかも……いや、たぶん絶対泣かせる。
ぼんやりそんなことに思いを巡らせていたら、目の前に風呂場のドアが現れた。ドアノブには既に少女の手が掛かっている。

「ねえ」
「……ん?」
「…ククリより、勇者さまが怖がってるみたい。あたしとするの、イヤ?」

真っ直ぐドアノブを見ながら、ククリが視線を動かさずにそんな事を言った。ニケには前半分の言葉の意味が真意が諮りかねたが、後半分には異論を唱える。

「したいよ――――――けど…すごく、ククリは痛いだろうし……でもとめられないと思うから」

俯き加減で、ニケはククリの顔を見ることも出来ない。

「ククリのために強くなってくれるんでしょ?」

その言葉にニケははっと顔を上げる。その顔をにやーっと笑いながら見つめるククリは、悪戯が成功したジュジュのような表情をしていた。

「いっぱい泣くけど勇者さまが一緒だから、不幸になってもいいの」

――――――――――――バカなおれ。バカだ。おおバカだ。こんなバカを思ってくれるククリも信用できないなんて。ええい、くそ。
きっとみつめた先には彼女の握っているドアノブ。そこに自分の手を掛け、力を込めて押し開ける。

「お湯が溜まるまでまだ時間かかりそうだね」
「ん、ん……」

シニヨン風に長い髪の毛が結い上げられていて、普段めったに目にしないククリの襟足にちらちら目線を走らせながら、ニケはうわの空で返事をする。

「やっぱりシャワーだけ浴びる?」
「えー、折角だから一緒に入ろーよー」
「……えっち。」

上目遣いで軽く睨んだククリが、蛇口とは別のパイプを使っているシャワーノズルを捻って湯船につけた。

「二ついっぺんだったら早いよね」

はっやくおっふろにはいりたいな〜とのんきに風呂桶に向かってしゃがんでいるククリの背中をじーっと見ていたニケは、無言でシャワーを湯船から引っ張り上げた。

「さっきドロドロになったから、おれが洗ってやるよ。お風呂に蓋して、そこに座って」
「えっや、やだぁ……自分で洗う!」
「ん、っつうか…洗わせて欲しい」

言うが早いか風呂に蓋をしてククリを風呂の縁に座らせたが、ククリは足を広げようとはしない。

「やだ、やだ、やだっ明るくてやだ!」
「電気消しても3時だし変わんないよ」
「やだぁ!そんな、足、開かせちゃだめー」

ぐっとニケが力を込めて閉じていた足をゆっくり開いていく。窓から柔らかく反射する太陽の光が反射してきらきらと粘液で光っている足の付け根は、すこし紅色に染まっていた。

「さっきおれが触ってこんなになったの?」
「やだぁ!見ちゃだめぇ!」
「洗うのに見ないわけにはいかないだろ。ほら、ククリ見て…ひくひく動いてる」

透明の粘液でぬるぬるとぬかるんでいるそこには、金色の産毛が少しだけ生えているだけであとは紅筆で刷いたような割れ目があるばかりだった。
ニケはそれをじっと見ていたが、ちらりと視線を上に向けても両手でしっかりと顔を覆うククリの見えない顔があるばかりで、つまらない。
おれは顔が見たいんだけど…………そーだ。

「きゃああああああ!!」

指が直接、スリットの中に埋もれてしまった。軽く押しただけのつもりだったのに、もう第一関節が見えない。
ビックリして引きつる顔よりも熱いくらいに感じる指先のぬめりが先に来て、ククリの抗議の絶叫にもニケは指を抜こうとなんかしなかった。

「すごい……指が、ぎゅって握られてるみたい」
「あっあっあ…っや!だめ!きたないよぉー!」

カクカクと震えているククリのひざ小僧の振動にも動揺せずに、ただ自分の指の埋まっている一点だけに全神経を集中させたニケは少しだけ指を引いてみる。

「…あぁーっ」

指の腹に全ての感覚を総動員させてニケはまた指を差し込んだ。

「ひたぁあい!」

くちゅ、ちゅく、ちゅっ……指をピストンさせるように動かすと、粘液がいやらしい音を上げた。その音がニケをひどく興奮させる。

「……溢れてくる……」
「いや!見ないで!くちゅくちゅしてるとこ見ないでぇー!」
「見ないから、手、どけて。顔、見たい」

片手でニケがククリの両手を掴んで引き下ろすと、真っ赤になってぽろぽろ涙を零しているくせに唇から桃色の舌をちらちら覗かせている彼女の顔が現れた。

「きもち、いい?」
「き、もち、いいよぉ……腰…とけそう……」

どうしよう、きもちいい、ゆーしゃさまの指がククリのあそこの中で動いてるのがわかる。あたしきっとすっごくえっちな顔してるんだわ、ゆーしゃさまがじっと見つめるから……ほっぺたが熱い……
せつない声が幾度も上がって風呂場のタイルに反射する。次第にニケは自分の指がどんどんより強く締め付けられているのに気付いた。ククリの表情がどんどんせつなさを増している。

「ダメぇ…もう、ゆーしゃさまぁ…くくり、くァっあっあっ」

嬌声が一瞬で悲鳴に変わったとき、ニケは“熱い”と思った。

「ああああぁあぁあぁーっ!」

指が熱い液体に押し出される。ククリが必死で彼の首にしがみついて身体をビクビクと強く痙攣させながらまだ声を上げていた。

「えっえっえっ!?」

彼は何が起こったのかを把握しきれず、慌てふためいてまだ跳ねが収まらないククリの身体を必死に支えた。
なに!?なに!?何が起こったんだ!?指が熱い、ククリの身体が倒れる、首が苦しい!頭の中にどんどんめちゃくちゃな情報が一気に流れ込んできてパニックになる。
ククリの中に埋まっていた手にはまだ熱い液体が落ちてきていてて、ようやく彼にはそれが何かわかった。においがしたのだ。
……ククリ、気持ちよくっておしっこしちゃったんだ……

呆然と理解が出来たニケは手を振り払うでもなく、身体を引き剥がすでもなく、そのままにしておいた。熱い液体はまだ止まらない。

「ごめんなさいごめんなさいくくり、くくり、とまらないの…ゆーしゃさまぁ、くくり、とまらないよぉ……ごめんなさい……」
「……いいよ、いっぱい、したらいいよ……」
「ごめんなさぁい…ごめんなさい…」

後半がもうすっかり涙声になっているククリがぎゅっと彼の身体を強く抱きしめるので、ニケはそれに負けまいと片手で彼女の肩を強く引き寄せた。
おしっこが足に掛かるとか、身体に掛かるとか、そんなことは考えずにただもうキラキラと輝く彼女の髪の毛に付いた水滴がとても綺麗だなぁとそんなことを思っている。
長い髪もいいけど、三つ編みもいいけど、こうやって肩とうなじが見えてる、ショートカットもいいなかぁ。きっとククリなら何でも似合うから、今度お願いしてみよう。
ぼんやりそんなことを思ってたら、ようやく手に振り落ちてくる液体が止まったようだった。その代わりにすすり泣くみたいなククリの声が聞こえてきたが。

「お風呂だし、大丈夫……ほら、湯船もいっぱいになったから入ろうぜ」
「……うん…うん…」








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