小ネタ60
番外編


「先生」
「なんだね?」
「どうして私だったんですか」
「ん?」
「全然、科学の事は分からないし、いつも先生にお願いばかりしています」
「では僕が君を好きにならなかった方が良いのかな」
「意地悪、違います。そんなのはもう嫌です」
「ならば、そういうことは聞いても無意味だろう。
それに僕がそのことを証明し始めたら、また君は怒り出すのではないか?」
「怒るなんて、しませんけど、理解できないかもしれませんね。
数式やいろんな理論の名前を出されてもわかりませんから」
「そんなことはしない。人間の心理状態まで、
僕はそんなふうに説明するほど、僕も偏屈ではないのだが」
「(え?そう?)す…すみません」

「では逆に尋ねてもいいかな」
「え、なに?」
「君は…、その…以前に付き合った男性がいるようだね」
「…いやだ、先生」
「いや、どのように聞いていいか、わからないが…その」
「(クスっ)そうですね。先生が私に興味を持って下さったのが、
ちょっとびっくりしました。
別に隠していたわけではありません。
改めてお話するのは恥ずかしいけれど……後悔するような事ではないです。
学生の時にその…大学の先生とおつき合いしたことがあります」
「先生?」
「はい、フランス語の準教授でした」
「準…教授?」
「はい、語学の指導教官で、クラス担任もされていました。
ちょっと冷たそうな感じで、でも、本当は親切で優しい方でした。
痩せ型だったけれど、がっしりしていて……
ああ、なんだか先生に似ているのかもしれません」

「(無言)」

「先生??」
「その…その、準、教授、が僕に似ていたという事は、今気が付いたのかね?」
「…そうですね。初めて先生にお目に掛った時に
なんだか懐かしいような気がした覚えがあります。
以前にお会いして事があるのかな?と少し思いました。
もしかしたら、湯川先生を見た時に、あの先生の事を…」

「(無言)」

「先生…??もしかして…妬いてます?」
「ここにはフライパンもオーブンもないが」
「いえ、そうじゃなくて…嫉妬してます?」
「嫉妬という感情は僕は理解できないが、不愉快な感じがする…なんだね」
「いいえ(くすくす)なんでも…」
「では、その準、その準、教授が君の初恋とか…」
「あ、いいえ。……初恋は…そう…小学生の時です」


「先生」
「なんだね?」
「どうして私だったんですか」
「ん?」
「全然、科学の事は分からないし、いつも先生にお願いばかりしてます」
「では僕が君を好きにならなかった方が良いのかな」
「・・・意地悪!!そんな事言ってません!」
「ならば、そういうことは聞いても無意味だろう。
それに僕がそのことを証明し始めたら、また君は怒り出すのではないか?」
「怒りません。先生がいっぱい書く数式や理論の名前が全然わからないから
・・・きっと理解できないけど」
「そんなことはしない。人間の心理状態まで、
僕はそんなふうに説明するほど、僕も偏屈ではないのだが」
「(え?そう?)す…すみません」

「では逆に尋ねてもいいかな」
「え、なに?」
「君は…、その…以前に付き合った男性がいるようだね」
「!!、いやだ、先生」
「いや、どのように聞いていいか、わからないが…その」
「(クスっ)そうですね。ちょっとびっくりしました。
先生が私の昔に興味があるのが。
別に隠すことじゃないんです。
改めてお話するとちょっと恥ずかしいけど
……後悔する事じゃないです。
学生の時にその…大学の先生とおつき合いしてました」
「先生?」
「はい、フランス語の准教授でした」
「准…教授?」
「はい、語学の指導教官で、クラス担任だったんです。
ちょっと冷たい感じで、でも、本当は親切で優しい人でした。
痩せ型だけど、がっしりしてて……
ああ、なんだか先生に似ているのかも…」

「(無言)」

「先生??」
「その…その、准、教授、が僕に似ていたという事は、今気が付いたのかね?」
「…そうですね。初めて先生に会った時に
なんだか懐かしい気がした覚えがあります。
以前に会った事があるのかな?とちょっと思いました。
もしかしたら、湯川先生を見た時に、あの先生の事を…」

「(無言)」

「先生…??もしかして…妬いてます?」
「ここにはフライパンもオーブンもないが」
「いえ、そうじゃなくて…嫉妬してます?」
「嫉妬という感情は僕は理解できないが、不愉快な感じがする…なんだね」
「いいえ(くすくす)なんでも…」
「では、その准、その准、教授が君の初恋とか…」
「あ、いいえ。……初恋は…そう…小学生の時です」

「これ以上言いたくなのならば聞かないが」
「あ、いえ…ずっと思い出さなかった事だから。
妹が病気で長い間入院してたから、私、おばあちゃんの家で暮らしてたんです。
その時お隣の大学生のお兄さんが多分…いえ、やっぱり初恋です」
「…大学生」
「はい、そうです。背が高くて、ちょっと意地悪だったけど、
勉強を教えてくれて、本当は優しかった。
両親に会えなくて、寂しい時海や夕日を眺めてると
手を繋いで一緒にいてくれました。
理科がすごく得意なお兄ちゃんで、
大学で物理学を勉強してるって言ってました。
あぁ…湯川先生みたいですね」

「…その人とは?」
「さあ…妹が良くなってまた、両親と暮らす事になって
そのとき、お兄ちゃんにちゃんと挨拶しないままでした。、
次の年におばあちゃんの家に行ったら
お兄ちゃんはもう、いませんでした。
下宿が変わったって。
もう会えないのかな、と思ったら淋しくて…
その晩少し泣きました…だから、あれが初恋かなぁ…って」

「…その人の名前は?」

…その人の名前は?」
「ええ確か…学お兄ちゃん………??
え、え、え??あ、あれ??
いえ、あの、ゆ、ゆ、湯川先生、先生の、あのあの…」
「ようやく気がついたのか」
「じゃ、じゃあ、じゃあ、先生??」
「ああそうだ」
「い、いいいついつ、気がついたんですか」
「最初からだ」
「今の話の最初から?」
「いや。君が初めて研究室に来た時だ」
「えーえーえーーっ!!じゃ…じゃあ、どうして、教えてくれなかったんですか!!」
「一つ。君は全く覚えてないかもしれないからだ。
子供の記憶力は、特に辛い時の記憶は思い出さない場合がある。
その後、どうなったのかも聞いていないからだ」
「先生…やっぱり優しいんですね(くすん)」

「…二つ。話したとして、君が覚えていなかったら
僕はバカみたいじゃないか(ぽっ)」
「え…(てれてれ)えへへへ…やだな、もう(すりすり)」
「…じゃ、私の初恋って湯川先生だったんですね」
「光栄だな(ぎゅむっ)」
「うふ(ぎゅむっ)」

しばらくいちゃいちゃ
「ねえ、せんせい…覚えています?」
「なに?」
「どうしても、家に帰りたくて、両親に会いたくて…
私が一人で電車に乗った時、一緒に行ってくれましたね」
「そんなこともあったな」
「でも、家には誰もいなくて…妹の入院してる病院まで行ったら、
母がとても疲れているのを見た時声をかけられなくて………
お兄、先生は肩に手を置いて『帰ろう』って。
…そのまま、何も言わずに帰りました。
帰りの電車でずっと泣いてる私をずっと抱いてくれた…」
「…今なら、危険な趣味の大学生に勘違いされるな」
「(くすくす)本当ですね(笑い)でも、とても嬉しかったんです。
子供に合わせて遊んでくれるお兄ちゃんじゃなかったけど。
いつも真剣に相手をしてくれました。優しかった」

「(ごろごろ)」
「…あれ、先生でも子供が苦手ですよね」
「あの頃は…自分もまだ子供だった。今では『さっぱり分からない』」
「くふふふ」
「何だ」
「いーえっ、何でも有りません」

(ギュムっ……………ねえ、ずっとずっと、そしてこれからも、大好きです。
せんせ…お兄ちゃん…まなぶさん)






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