小ネタ13 こんな未来もありかもね(非エロ)
番外編


よし、柔らかいスクランブルエッグにベーコンを焼いて、
サラダと、デザートのフルーツヨーグルト。
コーヒーも淹れたし、これであとはパンが焼けるのを待つだけだ。

「ふぁ・・・おぉ、いい匂い・・・・」

「親父、おはよう」

「はよぉ、さすが我が息子!って感じだな、美味そうな朝食だ」

「母さんも早く起こしてね、今日朝一で現場だーって言ってたから」

「へーい」

「・・・・・・・・・・」

「どした?」

「だらしないなぁ、ホントに・・・・ほら、テーブルに肘をつかない」

既にジャケット以外は着てるんだから気を付けてよね
たく、食べ方もだよ!こぼしたらどうすんの、
誰がクリーニングに持っていくと思ってるんだか・・・
なんてついつい小言が多くなり、目の前で父親がふてくされている。

「いいだろ、家でくらい」

「よくない、行儀くらいよくしてくれよ」

「へいへい」

全く毎日毎日そんな返事ばっかり、
外では「ダンディ」で通してるらしいけど家ではホントこんなんだから困るよなぁ・・・・

「あっ、あの子どうした?幼馴染の・・・・」

「なっ・・・・」

しかも息子に振る話題が女の子の話ってどうなんだ。
ホントでっかい子供みたいでめっちゃイヤ。

「あははははっ、赤くなった赤くなった」

「う、うるさいなぁ!!」

「小さい頃はあんなにモテモテだったのに、なんでこんな奥手になったんだだろうなぁ?」

「親父と一緒にしないでくれる?」

「折角俺そっくりのイケメンに生まれたんだからそれをいかせよな〜」

「親父はいかした結果、相手が母さんなわけ?」

「おぉ、言うようになったなぁ、さすが受験生♪」

「うっさい、受験生だと思うなら家事くらい手伝ってよ」

そうだよ、高校受験の息子に食事なんか作らせて。
家にあまりいない両親の代わりにキッチンに立っていたら
いつの間にやら、来年のお弁当も恐くないくらいに料理の腕が上がってしまった。

「はは、不肖の両親でごめんな〜」

「思ってないだろ、絶対」

朝からぎゃーぎゃーやりあってたらもう1人のでっかい子供みたいな人が起きてきた。

「おはよぉ〜・・・・・」

「おはよう、絵里子(ちゅっ)」

「はよ(ちゅっ)」

・・・・朝からやめてくれないか、息子の目の前で。

「朝一で現場だって?」

「うん、でもその前に会議だって、面倒よね」

「乗ってくか?車」

「んーん、公私混同はしない事にしてるの」

「偉いなぁ、絵里子は」

「あんたみたいにどこでも持ち込む人間とは違うんです」

「憎まれ口ばっかり叩きやがってこのこのー(むぎゅむぎゅ)」

「ちょっと重いんですけど」

「いいじゃんよ〜〜(よりむぎゅむぎゅ)」

「(ごっほん)行ってきます」

こんな両親は放っておいて登校するに限る。
そうだそうだ、ちょっと早いけど学校に行っちゃおう。

「おぉ、いってらっしゃい」

「いってらっしゃい、気を付けてね?・・あっ、そうだ、三者面談いつだっけ?」

「・・・・もう終わったけど?」

「えー!?いつ!?いつ!?!?」

「えー!?じゃないよ、なんで知らないんだよ」

「俺が行ったぞ?でもこれが全くの問題なし、いやぁさすが俺たちの子だね」

「マジで?恐いわぁ・・・本当にあんたの子なの?」

「この顔を見ろ、どうみても俺の子供だろ」

「なのに、この真面目さ。」

「結構毒舌だけどな(笑)」

「なによ、性格は私に似たって言いたいの?」

「いやいや、あははははっ」

「でも、女好きでもなく超一筋なのよ?モテるのに」

「バカ、お前、考えてみろよ、俺も超一筋だろうが」

「・・・・まぁ、あんまり否定はできないけど・・・・・・・・」

「絵里子ぉ〜!!(むぎゅむぎゅむぎゅむぎゅ)」

「ちょっと重いってば、重いー!!」」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

・・・・ばかばかしい結局ノロケかよ!?
もうホント、放っておいて出かけよう。


外に出ると黒塗りの車が止まっている。
車の横に立ち、後ろに乗せるべき人間を待っている男性に軽く会釈をすると「おはようございます」と挨拶をされた。

「あっ・・おはようございます・・・・」

そこは思春期、あまり大きな声で挨拶ができなくても許して貰えるだろう。


「おはようございます総監」

その男性が今度は俺の後ろに向って挨拶をした。
誰かは見なくたってわかる。

「あぁ、おはよう」

佇まいは重厚で、与えられたその地位に見合う人間。
開けられた後部座席に乗り込もうとする姿を思わず見送る
別にお見送りが習慣なわけじゃないんだけど、
「ほら、お仕事に行くお父さんとお母さんににバイバイしましょうね〜」などとされていたくせがちょっと残ってるのかもしれない。

にしても、これがあのさっきまでいちゃいちゃしていた片割れなんだからなぁ・・・
母親がたまにマスコミに取り上げられている様子も見るが、
歳をうまく重ね、その姿は息子ながらに美しいと思う。

どちらにせよ世間は騙されすぎているのだ。


「気を付けて行って来いよ」

「・・・・うん、行ってきます」

あー・・・大人ってやだやだ。

でもま、あの年になってもあんな夫婦でいたいなぁとは思う、うん。

・・・・・ん?実は俺って相当洗脳されてる?

まぁいいか、今日も空は青い、快晴なり快晴なり。






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