続・聖夜の奇跡
野立信次郎×大澤絵里子


最寄の駅から野立のマンションへ向かう途中、酒とつまみを買うためにコンビニに寄った。
万が一のことを考えて、「アレ」を買っておこうと余計な意識が働く。
レジが混んでいるからと適当な理由をつけ、絵里子を店の外で待たせることにした。
思春期の男子学生のように周囲の目を気にしながら目的のブツを購入し、かばんの奥にしまいこむ。
店から出ると、待っているはずの絵里子の姿が見えない。
「変な奴らにからまれたか?」という考えが頭をよぎったが、絵里子に限ってありえない心配だ。
夜の繁華街を照らすのは街灯の明かりだけで、少し目を凝らすと3件先の店先に絵里子がいた。
なにやらショーウィンドウを覗き込んでいる。

「絵里子」

「わっ!ちょっと、おどかさないでよね」

「何見てんだ?」

「べっ、別にアンタに関係ないでしょ」

絵里子が顔の前で手を振る。
顔が赤い。何かをごまかしているのは見え見えだ。
野立が覗き込もうとすると、絵里子は強引に野立の手を引いて店から遠ざかろうとする。

「いてーな。相変わらずの怪力だな」

「うっさいわね。寒いんだからさっさと行くわよ」

「はぁ・・・。お互いまともなクリスマスを過ごせるのは何年先になるんだろうな」

「どういう意味よ」

「もう少しおしとやかにならないと、男にモテねーよって意味」

「なんですって!アンタの野立会だってうまくいったためしがないじゃない」

ふてくされた絵里子を見ながら、野立は心の中でため息をついた。
・・・また絵里子を怒らせてしまった。

俺はなぜこんなことを言ってしまうんだ。いいんだよ、男にモテなくても。
たとえ恋人同士になれないとしても、来年も再来年もこうやっていっしょに過ごせれば。

なんとなく気まずい空気が流れる。
先に口を開いたのは絵里子だった。

「・・・ねぇ」

「何だよ」

「もし・・・、もしもよ。来年のクリスマスもお互いフリーだったら、またこうしていっしょに過ごしてくれる?」

最後は聞き取れないくらいの小声だった。
見ると、絵里子は耳まで赤くしてうつむいている。
その姿から、野立ははじめて絵里子の言葉の意味を理解した。

「そうだな。それも悪くないけど、俺はこのままフリーでいるつもりはない」

「わ、私だって、別にフリーでいたいってわけじゃないのよ。
でも、一人で過ごすよりは・・・その・・・野立といると楽しいし・・・」

今更、自分が言った言葉で恥ずかしがる絵里子が微笑ましい。

「絵里子」

「何よ」

「お前といっしょにクリスマスを過ごすには、俺もお前もフリーじゃないといけないのか?」

「そ、そりゃそうでしょ。どっちかに恋人がいたら駄目に決まってるじゃない」

「じゃあ、こうしよう。俺が絵里子の恋人になってやる」

「はぁ?」

「二人とも、フリーのままではいたくないと思っている。
それから、俺もお前と過ごすクリスマスはなかなか楽しいと思っている。
・・・完全に利害が一致してると思わないか?」

「な、何言ってんのよ。そんなに簡単にこんな大事なこと、冗談もいいかげんにしなさいよ!」

「・・・冗談でこんなこと言わねーよ!」

野立にとっては精一杯の告白のつもりだったのだが、まったく絵里子に理解してもらえないような気がして、つい語尾が荒くなってしまった。
しまった、と思いつつ絵里子を見ると、驚きと怯えの混じった複雑な表情のまま固まっている。

「すまない。でも、本当に冗談じゃないんだ」

「・・・じゃあ、もっと・・・もっと他に言い方があると思う」

絵里子がじっとこちらを見つめてくる。
いつもの自信にあふれた表情と打って変わって、期待と、ほんの少し不安の混じった瞳。
野立の言葉の意味が理解できないほど絵里子は鈍感ではないだろう。
ただ、お互いの気持ちを推し量って共に過ごすような、そんな恋愛には疲れてしまった。
早く心の安寧を手に入れるためには、確証が欲しいのだ。

真面目くさって告白するのは、なんとなく自分らしくないように思えて嫌だった。
しかしそんなところで意地を張って、ようやく手に届くところまで近づいた幸せを逃すほど、野立は愚かではない。
野立は絵里子の頬に手を伸ばし、そっと触れた。

「絵里子、好きだ」

その一言に、すべての気持ちをこめて。
指先からも愛しさが伝わるように、その白い肌を撫でる。
絵里子はうれしそうに目を細め、自分の手を重ねた。

「私も、あなたが好きよ」

潤んだ瞳で見つめられ、野立は体の奥底から愛しさがこみ上げてくるのを感じた。
少しだけ背をかがめて、そっとキスをする。
先ほどとは違い、角度を変えながら繰り返し唇を重ねていく。
その先に進みたくて舌でなぞると、少しだけ唇が開いた。
そこにねじ込むように舌先を入れる。
唾液が少し甘いのは、最後に飲んだ紅茶のせいだろうか。
絵里子の舌を追いかけ、くちゃくちゃと音を立てながら激しく絡ませる。
そのまま貪るように舌を絡ませていると「・・・んっ」と絵里子が艶っぽい声を出し始めた。
野立の首に回した両手をせわしなく動かし、後ろ髪をつかむ。

「キスだけで感じてるのか?」

ようやく唇を離し意地悪に尋ねると、絵里子は荒い息のまま、首を振った。
顔が赤く、肩も震えている。
まだ意地を張っている絵里子が愛おしくなり、ぎゅっと抱きしめた。
抱きしめながら両手で絵里子の体をまさぐる。
ヒップラインをなぞると、「・・・あぁっ」と絵里子が悶えた。
こうやって感じやすい場所を探りだし、執拗に責めていく。

「・・・あっ、やめて。もう・・・、立っていられない」

がくがくと体を震わせながら、絵里子が哀願する。

「感じてないんだろ?」

そう言いながら、野立はパンツスーツのズボンに手を差し込み、
ショーツの上から絵里子の一番敏感な場所に触れる。

「きゃっ!」

絵里子の体が跳ね、ぎゅっとしがみついてくる。
そこはショーツの上からでもわかるくらい濡れていた。

「すげー濡れてる」

「いやっ、言わないで」

潤んだ瞳で見つめられ、野立の下半身も熱を持つ。
厚手のコートを着込んでいるから、触らなければわからないだろうが。
野立は手を引き抜き、震える絵里子の肩を抱いた。

「続きはマンションで、な」

わざと耳に息を吹きかけながらささやくと、絵里子はそれだけで感じてしまったのか身をよじらせた。
足元がおぼつかない絵里子を支えながら、野立のマンションに向かう。
もちろんその間も、わざと耳元に息を吹きかけたり、スーツの上から絵里子の下半身に触れたりしながらだったので、
いつもは5分の道のりなのだが、その倍以上の時間をかけてようやくマンションについた。

玄関のドアを開け、絵里子を招き入れる。
絵里子は、はぁはぁと荒い息を吐き、もう一人では立っていられない様子だった。
ドアを閉めて鍵をかける野立の背中にしがみついてくる。

「おねがい、はやく・・・」

「はやく?」

「はやく・・・、野立がほしいの」

野立は振り返ると絵里子を抱き上げ、そのままベッドルームへ向かった。

部屋の明かりをつける余裕はなかったが、カーテンを空けたままの窓から差し込む人工的な光のおかげで、絵里子の姿ははっきりと見える。
ベッドの縁に下ろし、コートなどを剥ぎ取るように脱がす。
キャミソールもブラジャーもはずし、絵里子を包むのはすでに意味をなさなくなった白いショーツだけになった。
野立は自分も衣服を脱ぎ去った。
そして、キスをしながら押し倒すようにベッドに倒れこむ。
激しく胸を揉みしだき、音を立てながらその頂を吸う。

「あっ、あっ、だめっ、そんな激しいのぉ」

シーツをきつく掴み、絵里子が身悶えた。
せわしなく足を擦りあわせる。
もう少しこの体を堪能したいが、さっきからずっとお預けをくらっていた野立も限界だった。
片手で胸の頂をいじりながら、もう片方の手でショーツを下ろす。
ひくひくと震えながら蜜をあふれ出すそこに、そっと中指を入れていく。

つぷっと音がして、もう十分に潤っている絵里子の下半身は、すんなりと野立の指を受け入れた。
びくっと絵里子の体が跳ねた。
ねっとりと内側の壁を擦るように動かし、蜜をつけた親指を小さな芽に擦りつける。
強く押しつぶすと、再び絵里子の体が跳ねた

「・・・もう、イッちゃう」

絵里子はやめてほしかったようだが、野立は入れる指を増やし、さらに激しく内壁を擦る。
顔を近づけ、ぷっくりと膨らんだ赤い芽に吸い付く。

「あっ、それだめなのっ、ああっ!」

ぎゅうっと指が締め付けられ、その直後、奥からどくどくと蜜があふれてきた。
絵里子は「あっ、あっ」と声を上げながら、ひくひくと痙攣している。
感じすぎたのか、頬には涙の筋ができている。
野立は自分も下着を脱ぎ去ると、すばやくゴムを取り出した。
袋を開けて準備をしようとすると、絵里子が片手でそれを制した。
「いいのか?」と視線で尋ねると、絵里子は荒い息を整えながら答える。

「大丈夫、ピル・・・のんでるから・・・」

野立はひとつうなずくと、硬くなったモノを絵里子の下半身に押し付けた。
それだけで絵里子の奥から蜜があふれ出すのがわかる。
少し先を擦って蜜をまとわりつかせた後、野立は一気に絵里子を貫いた。

「あっ・・・」

中は先ほどの余韻が残っているのか、まだひくひくと震えていた。
野立は絵里子の腰を掴むと、激しく打ち付ける。

「だめっ・・・感じすぎちゃうのっ」

そんなことにはかまわずに、野立は腰を動かし続ける。
ぐちゃぐちゃという卑猥な音と、お互いの呼吸だけが部屋に響き渡った。
絵里子は髪を振り乱しながら、必死に野立の腕にしがみついてくる。
急に愛しさがこみ上げてきて、野立はむさぼるように絵里子の唇に吸い付いた。
びちゃびちゃと音を立てて、激しく舌を絡ませる。
互いの唾液が混ざり顔を汚すが気にする余裕はない。

「・・・野立、もう、ダメなの・・・あっ、イッちゃいそう」

絵里子の中がぎゅっと締め付けてくる。

「俺もだ・・・、いっしょにイクぞ、絵里子っ」

「うんっ、来て、ああああっ!!!」

大きく腰を引いて思いきり打ち付けると、絵里子は悲鳴のような声を上げて達した。
搾り取るように内壁が収縮し、野立は絵里子の体内にすべてを吐き出した。

「後片付けは俺がやっておくから、お前はこのまま休め」

そう言って優しくキスをすると、絵里子はふっと微笑んで瞳を閉じた。

翌朝、野立が目を覚ますと、隣には安らかな寝息を立てる絵里子の姿が。
時計を見るともう11時だったが、今日は二人とも非番なので問題ない。

「まだ起きるなよ、絵里子」

額にキスを落として、野立は身支度を整えた。

「おはよう」

絵里子が目覚めたのはそれから1時間後。
キッチンで食事を作っていた野立は振り向かずに答える。
足音が遠ざかった。顔を洗いにいったのだろう。
と、ばたばたと足音を響かせて、絵里子が戻ってくる。

「ちょっと、ちょっと野立!どうしたのコレ」

慌てふためいて戻ってきた絵里子がつまんでいるのは、胸元のネックレス。
先程、部屋を抜け出した野立が買いに行ったものだ。

「ん?気に入らなかったか?」

「いや、気に入ってるんだけど、いや、そうじゃなくて」

「クリスマスプレゼントにしては安物だな。今度もっといいものを買ってやるよ」

そこでようやく絵里子はすべてを理解したようだ。
頬を赤らめながら近づいてくると、ぎゅっと野立に抱きついた。
消え入りそうな声で「ありがとう」とつぶやく。

「ごめんね、私何にも用意してないや」

「いいよ、俺はもう絵里子からプレゼントもらったから」

「何を?」

「教えない」

これから恋人として過ごすであろう二人の時間。
野立がずっと手に入れたくてたまらなかったものだ。
後で二人で買い物に出かけよう。まだクリスマスの余韻の残る街を、恋人として歩こう。
ただそれを口にするのは恥ずかしくて、野立は絵里子を抱きしめ唇をふさいだ。






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