秘密のぷれぜんと(非エロ)
野立信次郎×大澤絵里子


「大丈夫かなぁ〜!ドキドキするっ!!あっ、山村さん、どうです?ドアから見えますか?」

「うん、見えないよ大丈夫。片桐君、BOSSの机からはどう?」

「・・・見えないと思う・・・・・・」

「なんや片桐、男らしくずばっと断言せぇ」

「そろそろケーキスタンバイしておきますね」

今日、定時を過ぎた夕方、
対策室のメンバーは机や段ボールを使い、バリケードのようなものをこっそり作っていた。
というのも、今日はこの対策室の室長・大澤絵里子の誕生日だからだ。

もちろん、このバリケード自体が絵里子への誕生日プレゼントではない。
お祝いのサプライズパーティーの為に準備したのがこのバリケードなのだ。

簡単に言えば、上司に呼ばれて出て行った絵里子が帰ってきたらもう誰もいない。
あら、誰もいないのね、帰ったのかしら?
って思わせたところで「はっぴばーすでーとぅゆー」
と驚かせる作戦だ。

そんな幼稚な作戦がサプライズになるかどうかは別として、
男前で頼りになる上司への、可愛い部下たちからのささやかなるお礼の時間なのだろう。


と、そこへ件の上司が帰ってきた。
カツカツという音が聞こえ、慌てて隠れる部下5名
山村が隠れそこねそうになり、岩井が間一髪で引っ張り込んでやる。

「あら、誰もいないのね」

いつの間に帰ったのかしら、などと首をかしげている様子が手に取るようにわかる。
すぐ帰ってくると言っておいたのだし、
誰か1人くらい残って報告くらいしなさいよね・・・・
と少し不服そうに呟いているが、
まぁ、急ぎの仕事もないしいいかと納得している。

そろそろいいだろうと、部下5名が無言で目を合わせる。


(((((せーーーの))))))


「絵里子」

まさに今飛び出そうとしていたメンバーがその声でビクっと止まる。
対策室に入ってきたのは、自分たちのそして絵里子の上司でもある野立だ。

「あれ、どうしたの?」

「さっきの、護衛の件なんだけど」

「え?まだなにかあった?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「野立?」

「・・・ん?あぁ悪い、そうなんだ。ちょっと確認しておきたいんだよ」

別に悪いことをしてるわけではないのだが、タイミングを逸してしまい息を殺す5人
しかも聞こえてくるのが真剣な仕事の話なものだから
なんだか自分たちのサプライズが場違いに思えてくる。

「ってところだな、でかいサミットだからあいつらにも気を引き締めるように言っておいて。」

「了解。」

「なぁ、絵里子」

「なに?んっ・・・・・・・・」

隠れている5人に今までと違った緊張が走る、
なんだ「んっ・・・・」って、
なんだこの無言の間は!!といういたたまれない気持ちが生まれた。

「・・・・・・もう、あんたってホント急なんだから」

「もう仕事は終わりだからさ」

「だからって・・・あっ、ちょっと、ダメ。」

なんですか、その甘い「ダメ」は。
それは「もっとして」って意味なんじゃ・・・・・
と気が気ではなくなる5人。

「おいで」

「きゃっ!ちょっと・・・・」

ドサっという音がして、対策室のソファに人が落とされたような音がする。
おおかた野立が絵里子を抱え上げ、ソファに2人の体を預けたかなにかしたんだろう。

「ね・・・・ダメよ」

「少しだけ、な?」

「もう・・・ん・・・・・・・・」

聞いたこともないような上司の吐息が聞こえ、おそらくキスをしているであろう音が聞こえる。

「やっ、脱がさないで・・・・」

「大丈夫だよ」

何が大丈夫なんですか!?
と突っ込みたいが声が出せない。

「ん・・・・ダメ・・・・・・・・」

「絵里子の固くなってきたよ」

「触られたら感じてなくてもなっちゃうのよ・・・・・・」

「感じてないのに、脚までモジモジしちゃうのか?」

「や・・・言わないで・・・・・・・・・」

もじもじってー!?
と思うがやっぱり声は出せない。

「ね・・・キスだけにして・・・・・?」

「しょうがないな・・・・・」

いやいやいやいや、キスだけでも相当ですよ!?
抗議したい事だらけの部下5人。
しかしそんな5人にはお構いなしの上司2人がいる。


「んっ・・・・・・え・・・?なに?」

「大人しくしてろ、留め具ができない」

「どうしたの?」

「プレゼント」

今度はエロいプレゼントか!?と思ったが、絵里子の様子が違う、何かあったのだろうか。


「わぁ、綺麗なネックレス。ダイヤだ。」

「似合うよ」

「ホントに?ありがとう」

野立の少し得意そうな声に、絵里子の嬉しい中にも華やいだ声から察するに相当の値段のものなのだろう。
さすがキャリア、しかも同期の中でも出世頭と言われる男だ。

「あれ?もう1つ??」

「あぁ、それは遊びみたいなもんだな」

「ピンクゴールドじゃない、綺麗ね」

「絵里子にはちょっと可愛すぎるけどな」

「ちょっと、自分で選んだんじゃないの?」

「うん、ダイヤはともかく、そのネックレスは恥ずかしかった、選ぶの」

「えぇ?どういう事?」

「秘密」

「もう・・・・あれ?この彫られてる模様ってなんだろ?」

「なんだと思う?」

得意そうな野立の声がする。
なにやら特別な模様が彫られているようだ。

「ん〜・・・鶴の顔??」

「・・・・おい、よりによってツルの顔かよ」

「だってそうとしか見えないもん」

「まぁいいや、お礼は?」

「えぇ?普通そういうの請求する?・・・・でも、ありがとう」

「違うってぇ、そういうんじゃなくて」

「なによ?」

「お礼はこうだろ?」

また無言。
部下5人はもうやめてくれと叫びたいやら、こうなると少し慣れてきた事もあって見たいやら。
シュルという音がして、どうやら野立のネクタイが外されたらしい。
どちらが外したのかはわからないが、またえらく色っぽい音だった。

「・・・え?あんたもネックレスしてるの?」

ボタンも1、2個外したのだろうか?絵里子が野立に身に着けていたものを見つけたようだ。

「あれ、これってお揃いなの?」

「はは、言っただろう?「遊び」だって」

「・・・・・やだっ、ちょっとこれって」

「だから「恥ずかしかった」んだって、選ぶの」

「えー・・・・これつけるの?」

「2つ合わさらなきゃ意味わかんないんだからいいだろ?
俺はワイシャツで見えないし、絵里子のだけ見てたら「ツルの顔」の模様にしか見えないだろうし」

「でも2つ合わさるとさ・・・・」

「俺とお前がお揃いだって知ってなきゃ、それがペアネックレスだって知ってても
「あれ、大澤さん誰かとお付き合いなさってるんですか?」って言われるだけだって」

「・・・・あいつらは知ってるのに?」

「あいつらは平気だろ、こういうのに疎そうだし」

「・・・・ふふ、なんかくすぐったいね、こういうの」

「ま、40過ぎてやることじゃねぇけどな」

「ホント、こんなの初めてした」

「俺も」

「うそぉ?」

「ねだられた事はあるけどな」

「しなかったんだ」

「買ってはあげたよ?つけなかったけど」

「ひどい男」

「しょうがないだろ、俺は・・・ん・・・・・・・」

今度は絵里子からキスをしたらしい。
会話は途切れ、唇が合わさる音しか聞こえてこない。

「・・・・・ね、帰ろう?」

「あぁ、美味いもんでも食いに行こうな」

「どこ連れて行ってくれるの?」

「・・・内緒。」

「ふふ、楽しみにしてる」

「まぁ、とりあえずおめでとうだな」

「なによ、とりあえずって」

そんな会話の途中でもキスの音が聞こえてくる。
あぁ、もう「見たい」なんてチラっとも思わないから、早く帰ってくれと願わずにはいられない。
そんな5人の願いが聞こえたかのように絵里子が帰りの支度をはじめた。

「これでよし、あいつらも帰っちゃったし電気消しておくわ」

電気と空調が切られ、しんとする室内。

「あっ、俺携帯ソファに落としたみたい、先出てて」

「わかった、そこにある?なくしたりしてない?」

「あぁ、さっきまであったから」

「ならよかった。そこにいるね」

絵里子が出ていき、野立がそこに残ったようだ
後は野立が帰るだけ、緊張がやっとほぐれてきた。
しかし、

「・・・・ケーキでも用意してたのか?」

(((((!!!???)))))

「悪いなぁ、有象無象の輩達。」

隠れていた5人の答えを聞くこともなく、バタンと扉を閉めて出ていく野立。
帰ってくる気配がない事を確認してそろ〜っと出てくる5人。

「し、知っててやってたんかあの人」

「なんて大胆なんですかね、野立さんって」

「ふ、深すぎるね・・・・・・・」

「その深さはどうかと思いますけど」

「そうだな・・・・・・・」


次の日、絵里子の胸元に光るピンクゴールとダイヤのネックレスを見つけ
そのピンクゴールドのネックレスに彫られた図柄が、
対になるであろうものと組み合わせると「ハートマーク」になることを発見したメンバーたち。
その事実に慣れ、絵里子と野立が話している様子を普通に見る事ができるようになるまで相当の時間を要したという。






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