雨ふりホリデイ(守りたいもの 続編)
野立信次郎×大澤絵里子


カーテン越しの、ほの暗い光で目が覚めた。
ベッドサイドの時計を見ると、もう昼の12時を回っている。
そのわりに外が暗いような気がして耳を澄ますと、雨音が聞こえてきた。

「雨かぁ・・・」

絵里子はまたベッドに潜りこむ。
今日は久しぶりに野立と休みが重なったので、そろそろ買い換えたいと思っていたソファを見に行こうかと話していた。
が、昼過ぎまでウダウダと寝ていて雨が降っているとなると、なんだか面倒になってくる。

「野立、雨だよ。どうする?」

絵里子の動く気配で目が覚めたらしい野立に声をかけると、背後から長い腕が巻き付いてきた。

「・・・めんどくせぇ・・・。今日はよそうぜ」
「うん・・・私もめんどくさい」

そう答えながら、また瞼はとろんと重くなり、絵里子は枕に吸い込まれていく。
昨夜は二人とも残業で遅く、寝たのは明け方近かった。
たまには何もしない堕落した休日というのも、許されるだろう。

そのまま再び夢の中へと堕ちかかったとき、何か胸元にモゾモゾと違和感を感じた。
しばらく「・・・これは何・・・?この感じは…?」
と、夢うつつで意識を泳がせていた絵里子は、ようやくその感触が何なのか思い当たる。

「・・・あんた何してんの?」
「・・・ん?絵里子のおっぱい触ってんの・・・」
「あんたね・・・」

寝ぼけたようなわざとらしい顔演技で「ムニャムニャ」とか言いつつ、野立が後ろから、やわやわと絵里子の胸を撫で回している。
まだ眠い絵里子は野立の手を払いのけようとするものの、なんとなく力が入らない。

「・・・ちょっと、ねえ、昨日シャワー浴びながら、あんたさんざん触ってたじゃない・・・」

疲労困憊のくせに、一緒にシャワーを浴びてるうちに、

「洗ってやるよ♪」

とか言いながら、泡まみれの体をさんざんいやらしくいじられたのを思い出し、
絵里子の体の奥がくすぶった。

「だってあのあと続きしようと思ったのに、疲れすぎてて寝ちまったもん。
だから、もう1回やり直しー」
「やり直しーって、あんた、あっ」

野立の両手が、絶妙なソフトタッチで絵里子の胸を揉んでくるので、絵里子も変な気分になってくる。
昨夜はシャワーのときの勢いのまま、抱き合うつもりでベッドに入ってしまったために
(しかし二人とも睡魔に負けて沈没)、朝っぱらからベッドで素っ裸なのもマズイ。

「・・・絵里子のおっぱい、柔らかくて気持ちいいなー」

野立がわざと絵里子の耳元で囁きながら、胸をむにゅむにゅと掌で転がす。
乳房を柔らかく揉み上げながら、ときどき指の腹で乳首をクリクリと攻め立ててくるので、
絵里子は「ぁン・・・」と声を漏らしてしまった。

「なんだよ、絵里子。感じちゃったのか」
「・・・バカ!そんなんじゃ・・・あっ」

突然横から半分覆いかぶさるようにして、野立が乳房にしゃぶりついてくる。

「ね・・・ちょっと、ダメってば・・・」
「何がダメなんだよ、こんなに反応しやがって」

ねっとりと掌で揉みしだきながら、野立が絵里子の乳首をぴちゃぴちゃと音をたてて舐める。
唇で挟み込んでキュッと引っ張り、舌先でチロチロと転がされると、
絵里子は先っぽが痛いくらいに尖って熱をもってくるのを実感した。
するとまた、指先でいやらしくこね回され、下からすくうように揉まれる。

「あん、もう、バカ・・・!」

最初はじゃれていた野立が、だんだん本気になっているのが分かる。
絵里子の太ももに、意思を持ったように固くなりつつあるモノが時々当たる。
絵里子の息も、自分の意思とは裏腹に、どんどん荒くなってきた。

こういうときの野立は強引だ。

「なぁ、昨日の分までたくさんしようぜ」

絵里子の耳を舌で舐めながら、野立の右手が絵里子の股の間に伸びてくる。
温かい指が絵里子の感じやすい突起と割れ目をソロリと撫でると、
絵里子は思わず「・・・んん!」と身をくねらせた。
指が柔らかな窪みの中へと、そっと差し込まれる。

「すげーな。もう中がトロトロだぞ。あ、出てきた」

野立が低い声で囁きながら、中指と薬指で絵里子の秘部をくちゅくちゅと、こねくり回す。

「や・・・っ」

絵里子はのけぞった。

そもそも、昨夜あれだけ愛撫しあって期待が盛り上がったまま中断したのだから、
いじられればアッという間に体に火がつくのも当たり前だった。
あふれてくる蜜をなすりつけるように、野立の指が絵里子の小さな芽を撫で、
襞の内側を執拗に優しく攻める。
絵里子はたまらなくなって、気づいたら自分から野立の頭を掻き抱いていた。
野立が愛撫の手を止めないまま、絵里子に優しくくちづける。
生暖かい唇と舌が深く絡みあって、絵里子の子宮がキュウッと疼いた。

ここまできたら、絵里子も抵抗する気力などどこかに吹っ飛んでしまい、
自らも激しく野立の唇をむさぼっていた。
野立の親指が小さな突起をくにくにと愛でながら、中指が内側の粘膜をかき回す。
ヒクッと絵里子が身を震わせると、野立は首筋に吸い付きながら絵里子の腰を抱き寄せ、
固い棒のように屹立した野立自身を、絵里子の股の間にこすりつけた。

「・・・ねえ、あんたすごく、やらしい・・・」
「人のこと言えるか、絵里子。こんなにぐちゅぐちゅになって」

野立が絵里子の入口に当てがったモノを上下に動かすと、
たらたらと蜜が溢れ出して野立のモノにからみつく。
シーツ、取り替えたばっかりなのに・・・頭の隅でチラッと後悔するものの、絵里子はもはや引き返すこともできずに喘いでいた。

野立が絵里子の両方の乳首を指で押しつぶして、くにゅくにゅと遊ばせる。
そうしながら、野立が絵里子の秘所にゆっくりこすりつけていると、
柔らかく濡れそぼった秘所がヌルヌルと開いていき、自然に野立を受け入れてしまった。

「すげぇな、絵里子。勝手に入ったぞ」

絵里子の中を、掘り起こすようにうねらせながら、野立がゆっくりと絵里子を突く。

「ああぁ・・・すごい、それ。あ、あん・・・」

頭がフワーッとするような物憂げな快感に襲われ、絵里子は必死に野立にすがりついた。
もっと、もっとして。もっとたくさん。
気づけば、うわごとのように野立にねだっている自分がいて、不意に恥ずかしくなる。
が、野立はそんな絵里子にますます欲情しているようで、感じている絵里子の顔を一心に見つめながら、
わざと速度を変えて腰を動かし、熱い息を漏らしている。

「絵里子、まだイクなよ。今日はたっぷりするからな」
「うそ・・・。待って、変になっちゃう・・・!」

そのとき、突然絵里子と野立の携帯がほぼ同時にメール着信音を響かせた。

「え?・・・両方鳴ってる?」

二人の携帯が同時になるということは、何かしら緊急の用件の可能性がある。
不満顔で動きを止めた野立の下から腕を伸ばして、絵里子はベッドサイドテーブルの携帯を手に取った。
木元からのメールだった。

『ボスと野立さんへ
 お休みの日にすみません。一応お知らせしたほうがいいかと思いまして。
 もしテレビを見られる環境でしたら、今すぐBS○チャンネルの○○という番組を見てください。
 今、対策室でもみんなで見てるところです・・・。』

野立も絵里子の携帯画面を覗き込み、しばし二人は押し黙った。
なんとなく、嫌な予感がするのは何故だろう。
野立がしぶしぶ体を離すと、絵里子はリモコンでベッドルームのテレビをつけた。

「平日の昼間のBSなんて、一体何の番組かしら」

けだるい体でブランケットにくるまりながら、二人並んでベッドに座ってテレビに見入る。

ローカル番組のような安っぽいスタジオに、オタク風の男女が数人と、司会役の地味なアナウンサーが映っていた。

「あ、これ、前に見たことあるぞ。ネットユーザーが集まって、オタク談義するマイナーな番組」

野立が髭を触りながら、眉をひそめて言う。
なんであんたがこんなの見てんのよ、と絵里子が吹き出して野立の腹を肘でつついていると、
画面のアナウンサーがにこやかに声を張り上げた。

『それではご紹介します!ネットユーザーが選ぶ、第4回ブロガー小説大賞受賞者、山村啓輔さんです!』

「うわっ!!」

絵里子と野立は、あんぐりと口を開けて画面に釘付けになった。
頭髪の寂しい薄幸そうな中年男が、満面の笑みでどアップで映っている。
何やら、似合わない蝶ネクタイまでつけて、花束を手に頬を赤らめている。

『山村さんは、本業は公務員でいらっしゃるとのことですが、
今回の受賞作はまったくの趣味で書かれたものですか?』
『はい〜。本業で何やってるかは、事情があって詳しくは語れないんですけどね〜。
ま、常に危険と隣り合わせながら、社会秩序のために全力投球!っていうかぁ。
なので、小説はまったくの趣味で、ブログにずっと書き続けてたんですぅ。
あ、でもボク、10代の頃は山登りが趣味の一方で、
実は密かに文芸部所属だったんですよ〜。
で、小説とかポエムを書くのが得意だったんで、その辺が今に生かされてるって言うのかなぁ〜』

「ちょっと、なんなのよこれは。何か途轍もなく嫌な予感がするんだけど・・・」
「確実に、悪い予感がするよ、俺も」

テレビ画面では、山村のブログが紹介され、横に並んだオタク出演者たちが、
山村の小説についてあれこれ意見を交わしている。

『やはり、山村さんの今回の受賞は、既存の枠に囚われない個性的な文章が、
我々目の肥えたネットユーザーに受けたんじゃないかと思いますねぇ』
『そうそう、サスペンス要素もありながら、基本は官能ラブロマンスっていうのが、
王道っぽいようなんだけど、切り口がユニークなんですよねぇ』
出演者たちに囲まれて、山村がテレまくりながら、カメラ目線でスマイルを送っている。
「・・・官能ラブロマンス?」絵里子の肌が粟立った。

『受賞作の一番のテーマは何でしょう?』
『やっぱり〜、普段は男まさりでやり手の女探偵が、
腐れ縁でもある探偵所所長と恋の駆け引きを繰り広げるところですかねぇ。
アクションも交えた事件の描写はパワフルに、そのぶん、ロマンスのシーンでは、
思いっきり激しいラブシーンなんかも入れちゃったりして。
ボク、ラブシーンの描写には自信があるんですよ〜。えへへへ』
「やばいぞ。おい、これやばいぞ」野立が掌で顔を覆う。

『ボク、今まで何度か大手の文学新人賞応募したんですけど、
やっぱりボクの作品は斬新すぎたみたいで、なかなか認めてもらえなくて。
でもブロガーの人達になら、ボクの個性を分かってもらえるんじゃないかなぁって
前々から思ってたんで、ほんと今回の受賞は嬉しいです!』
『聞くところによると、主人公二人にはモデルがいるとか・・・?』
『あー、あはははは。ま、モデルというか、
インスピレーションを与えてくれる人物は、ごくごく身近にいますねぇ。うふふふふ』
『それなら、ネタには困りませんね!ところで賞金は何に使いたいですか?』
『そ、それはえっと、高級育毛剤でも奮発しちゃおうかなって・・・』

スタジオがワハハと笑いに包まれた。

絵里子と野立は、二人羽織のようにブランケットにくるまりながら、
青ざめた顔でリビングに移動した。
野立のデスク上のノートパソコンを、ソファに持ってきて起動させる。
先ほどの番組で紹介されていた山村のブログ、『ムームーの独り言』にアクセスすると、
そこには、何章にも分かれて書かれた自作の小説がアップされていた。
タイトルは『じゃじゃ馬探偵エミコにおかませ』。

「・・・・・」

絵里子と野立はしばし固まったまま動けない。

「い、行け、絵里子。いつもの度胸はどうした」
「ちょっ、こ、これは・・・尋常じゃない勇気がいるわよっ!あんたがやってよ!」

しばらく互いに押し付けあったあと、絵里子が引きつった顔で、恐る恐るマウスに手を伸ばした。
『第5章 ノザキの甘い誘惑』をクリックする。

《・・・「さすがだな、エミコ。いい仕事ぶりだった」ノザキがワインで祝杯をあげながらニヒルに微笑むと、
「あーら、私の実力はこんなもんじゃないわ」と、エミコがタイトスカートの脚を大きく組みなおした。
黒い紐のパンティがチラリと覗き、ノザキの眼差しがナイフのようにギラリと光る。
「おまえのその負けん気の強さがたまらないぜ!」ノザキがエミコの肩を抱き、乱暴に胸のボタンを引きちぎった。
「相変らず、強引なオトコね、ノザキ!」エミコの息が荒くなり、二人は激しく唇を求め合う。
ノザキの手がエミコの小さな胸をまさぐり、エミコもまたノザキのズボンのファスナーに手を伸ばした。
「ああ、エミコ。おまえのキスは最高だな!」
「ノザキ、あんたに抱かれると、私もうメロメロよ!」・・・》

「もう、いい!もうーいいから!!」

声に出して読み上げていた野立を絵里子が必死で遮った。
二人は無言でノートパソコンの電源を切ると、
がっくりと肩を落としてブランケットを引き摺りながらベッドに戻っていった。

「・・・ブログは即刻閉鎖させよう」
「早急に山村さんを締め上げるわ」
「いや、俺が直接、厳罰を与える。養毛剤をすべて取り上げてやる」
「だいたい、好き勝手書いて、なんなのよアレ」
「どこが小説大賞だ。ただのオッサンの妄想日記だろ」
「『ノザキはエミコの小さな胸をどーのこーの』って・・・
ホンモノ見たこともないくせに、なんで小さいって分かるのよっ!!」
「おまえ・・・怒りの対象そこかよ・・・」
「大事なことでしょぉお!?」
「っていうかホンモノ見るまでもないだろ。
おまえが間違っても巨乳じゃないのは、大抵の人間にバレてるぞ」
「う、うるさいっっ!!」

「・・・ま、俺は好きだけどな。絵里子の胸」

野立はニヤッと笑みを浮かべると、ブランケットをいきなり剥いで、絵里子を後ろから抱きすくめた。

「小さめで可愛くて、柔らかくてさ」

そう言うと、絵里子の胸のふくらみを掌で包み込む。

「感度もいいしな」

すくい上げるように優しく掴みながら、親指で蕾をまるくゆっくり転がすと、絵里子が

「そんなこと、言ってる場合じゃ・・・」

と身をよじらせる。

野立は構わず白くて柔かな絵里子の胸をいじりながら、首筋にチュッと唇を当てた。
絵里子の体が少しずつ脱力していき、尻のあたりに当たる野立のモノに意識が集中してしまう。
むくっと、起き上がるようなその気配に、絵里子は「あっ」と思わず声を上げてしまった。

「ほらな。もう感じてる」

野立の指の刺激に、絵里子が両脚をもぞもぞとくねらせた。

「・・・バカ・・・いじめないでよ・・・」
「それに、絵里子の味がする」

野立が絵里子を押し倒し、乳房に唇を押し付けた。
ピンと立った蕾を口に含んで舌で転がしながら味わう。

「絵里子の甘い味がする。好きなんだ、これ」

じわじわとくる気持ちよさに、怒りが徐々に溶けていく。
気づいたら絵里子は、野立の体にぎゅっと抱きついていた。

「めんどくさいことは明日だ明日。とりあえず続きしよーぜ」

野立が絵里子の脚の間に、手を伸ばしてきた。

「絵里子の体は素直だよな」

野立がニヤニヤしながら、蜜に濡れた指先を、絵里子の目の前に突きつける。

外の雨は、いつのまにか本降りになっていた。

・・・山村は明日とっちめればいいわよね。

どうせ外には出られない。今日はくたくたになるまで素直になるか。
絵里子は観念して、野立の頭を引き寄せてキスした。

「・・・私も野立の味が好きよ」

ちょっと照れながらそう言うと、野立は満足そうな顔で絵里子を見下ろした。






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