クラブでナイト
野立信次郎×大澤絵里子


「こんなところ一緒に来るのなんて初めてだよね」

「だな」

「でもなんであいつ等まで連れてきたの?」

「ん〜?」


今日の仕事終わり、野立が絵里子を連れてきたのはいわゆるクラブと呼ばれるようなお店だった。
女の子がお酌をしてくれるようなお店の方ではない、若者が集うイメージのクラブだ。

若者がどんな店を訪れるのかはわからないが、想像よりずっと大人しく、バーを大きくしたような店。
選曲も昔の洋楽が多く、体を揺らしている面子も少し高めの年齢だろう。
中には若者もいるが、落ち着いて飲んでいる者が多い。

ただ、音楽のボリュームだけは結構大きいので、口を寄せないと聞こえないことも多く、
自然と体が密着し、野立がわざわざ連れてきた対策室の部下たちにはあまり見せたくない恰好になる。
置かれたカップルシートのようなソファに座りお酒を飲むが
話す度に密着する体、自然と野立の右腕が絵里子の腰に回り引き寄せる。

「ちょっと、見られるから辞めてよ」

「大丈夫だって、暗いし、あいつらは自分たちの事で手ぇいっぱいだ」

周りを見渡しても確かにこちらを気にする人間はいない。
山村は女の子に近づいては逃げられているし、
花形は物珍しそうにあちこち見て回っている。
岩井はなぜか女の子とわいわいしているが、広げている雑誌を見る限りどうやら話題はお弁当についてらしい。
片桐と木元は絵里子たちが座っているような二人掛けのソファーに座っているが、
間にもう1人入れそうな程端と端に座っている。
あれで会話などできるのだろうか?

「なんか木元と片桐変よね、最近」

「ん?あぁ、そうな」

しゃべる間も野立の左手が絵里子の頬を首筋を撫でいく
くすぐったさに絵里子が身をよじると嬉しそうに触れるか触れないかのキスを頬にした。

「ちょっと・・・・」

「誰も見てないよ」

「でも、んっ・・・・・」

仕事場では決して着ないロングニットの緩い袖口から野立の指が侵入し、肌をさする。
侵入した指はそのままニットの下に着たキャミソールの上から胸の辺りを一周させ
それから声の漏れた絵里子に満足したかのようにダンスに誘った。

「踊るか」

「え?踊れないよ、私」

「いいんだよ適当で」

野立が立ち上がり、戸惑う絵里子を立たせた。
重い足取りで数歩だけ進んだ絵里子の細い体をぎゅっと後ろから抱きしめると体を揺らす。
昔のチークタイムのような状態といえば早いだろうが、こんなのでいいのだろうか?

70年代80年代の懐かしい洋楽が広いフロアでも2人の世界にしてくれる。
絵里子も最初は部下たちの存在が気になってしょうがなかったが、
全く気にもしない野立の様子や、こちらに関心のない部下たちに安心していた。

実は久しぶりの触れ合いで、こんな風に抱きしめられるのを望んでいたのかもしれない。
とんでもなく忙しかったというよりも、お互いの時間が合わず、
たまたまそんな風に抱き合う事がなかっただけなのだが、
どちらかというと触れ合うことが好きな野立が隣におらず、
自分の肌に触れてくる熱がない事の寂しさを少しだけ感じていたのだろう。

絵里子は自分の首に顔をうずめている男の顔が見たくなり、体を離し向き合った。
一瞬驚いたような野立だったが、ふっと微笑むと絵里子の腰に腕を回し胸から下だけを密着させる
決して触れてはいけないと言われているかのように、ほんの数センチだけ離れた唇がもどかしい。

大人としてこんな公共の場でキスをする気はない。
でもあと少しで届く唇がお互いを求めている。

「2階の個室を予約してあるんだ・・・・」

見つめあったまま野立の腕が絵里子の肩に回され、予約したという個室へとなだれ込む。
唇だけが合わさるキスをしながら、野立が上着を脱ぎ、絵里子も自らロングニットを脱いだ。

「ここじゃ・・・・ダメ・・・・・・」

ソファに押し倒され、抗議の声を上げるがその実自分から腕を首に回してしまう絵里子が
野立からネクタイを剥ぎ取り、ボタンを1つ2つと外していく。

「わかってる、触るだけだから・・・・」

そう言いながらキャミソールの上から肌をくまなくさすり、お腹の辺りに顔をうずめる野立。
細く柔らかい細腰を味わいながら、胸に手をかけようとしたそんな男を制し、体を引き上げさせると絵里子は自らキスをした。

「野立は嘘つきだもん」

絵里子の入院先の病院では「キスだけだから」などと言いながら
付き合うきっかけとなった初エッチに持ち込んだし、
少し前には、仕事終わりに誰もいないからと対策室で最後までしてしまった事もあった
そのせいで部下たちにはバレるし、散々だったと文句を言う絵里子の口を唇で塞ぎ
野立はでも今日は本当だと笑う。

「なんせスペシャルゲストがいるからな」

「え?」

絵里子から視線を外さなかった男がここで初めて壁の方を向いた。

「片桐、入ってこいよ」

「・・・・え・・・・・・?」

壁は何枚もの鏡が張られていて、その横の扉から入ってきたのはなんと片桐と木元だった。

「・・・・・えぇ!?」

「わるい、色々相談受けちゃってさ」

「ちょ、ちょっと!!!」

野立に文句をいい募ろうとした絵里子に片桐と木元が頭を下げる

「すいません、BOSS」

「すいません」

「あっ・・・・う・・・・・・・・・」

「この2人がさ・・・いや、2人っていうか片桐がさ、俺に相談をもちかけてきたわけよ
「慣れてない女の子とのエッチがうまくいきません、どうしたらいいですか?」って」

「・・・いや、そんな言い方は・・・・・・・」

「わかってるわかってる、でも真意はそうだろ?
で、探ってみたらマミリンも悩んでるみたいだったから、じゃぁ俺たちで一肌脱ごうって思ってさ」

「一肌って・・・・」

その言葉に思わず自分の恰好を思い出し、乱れたキャミを直し放り投げたロングニットも着なおした。
頭はまだ全然ついていかないが、すごく嫌な予感がする

「だから隣の部屋・・あぁ、この部屋の隣ってマジックミラーになってる覗き放題の部屋があるんだけどな?
そこに来ててもらったのさ」

マジックミラーってと絶句する。
という事は全部見られてたんじゃないのよ、ふざけんじゃないわよと。
部下の手前今は責めることはしないが、後で覚えておけよと思いながら深刻そうに佇む2人に目をやる。

まず2人が付き合っていた事も知らなかったし、
だからってなぜそんなに深刻そうな顔でここにいるのかもわからない。
にも関わらず3人にはなにやら打ち合わせがしてあったのか絵里子に構わず先に進む。

「マミリンここにおいで」

野立が手招きすると、意外にも大人しくソファに座った野立の脚の間に収まる木元。
それにつられるようにふらふらっと近づいた片桐のソコはもう見てわかる程主張していた。

野立が普段通り色気のない服の上から木元の上半身をさすり始める。
木元も絵里子たちの絡みを見ていて少しは感じていたのだろうか?頬が紅潮し、触られる事も拒否してはいない。

「片桐、下半身をくまなく愛撫してやれ、優しくな?」

慌てるなよ?と笑いながら指示を出す野立が少し憎い
木元に嫉妬しているわけではないが、こんな話は聞いていない。

それでも指だけで愛撫を重ね、慣れてから1枚ずつゆっくりとまとった衣服を脱がせていく野立の様子から目が離せない。
時折、艶を持った瞳で絵里子の方を向いては視線を戻す。

すっかり服が剥ぎ取られた木元はもう十分とろけていて、口からこぼれる吐息が色っぽい。
片桐が愛撫する下半身からはぴちゃぴちゃと水音が聞こえ、十分濡れていることがわかった。

「片桐、持ってきたか?」

「え?」

「アレだよ」

「アレ?ですか?」

「・・・・生でするつもりか?」

「あっ・・・すいません・・・・・・」

避妊具の用意がなかったのだろう、
そんな片桐にしょうがないなと笑うと自分の上着のポケットから新しい箱を取り出し
「それ、やる」と着けるように促した。
片桐が不器用に装着する間も野立の指だけの愛撫は止まらない。
悩ましげに息を吐く木元に慎重に、しかし大胆に腕・腋・手首に背中など様々な処に触れ、なぞる。

「・・・・の、だてさんの熱いですね・・・・・」

「そうだよ、片桐もマミリンにしながらすっごい興奮してる、
それくらいマミリンは魅力的だ、だからもっと自信持っていいんだよ」

俺に体預けて?と、耳元で囁き、片桐が挿入しやすいように腰を上げさせてやる
思わず逃げようとする木元の体をがしっと固定し、
頭を撫でて落ち着かせる。

ぐぐぐっと片桐が腰を推し進める様が見えて、思わず絵里子は自分の初めての頃を思い出し痛くなる。
「いっ・・・・」
相当濡れていたがそれでも痛みは相当なものなのだろう、木元の目に涙が浮かんだ。
それでもなんとか片桐のものが収まると、二人とも黙ったまま動かない。

「・・・よかったな片桐」

動かないが、それでも何とか繋がった2人にほっとしたような野立が声をかけた。

「え?」

「第一関門は突破しただろう?」

「・・・・あっ、はい・・・・・・・・・」

「ここからは2人で勉強しながら進め、いつでも相談にはのるから」

「あ、あの・・・・・・」

「今日はいかせようとか考えるな、最初は難しいと思うぞ」

「・・・そうですよね・・・・・・」

「よし、絵里子、邪魔者は消えようか」

唐突に自分の名前が呼ばれびっくりする絵里子。
ここからも結構重要なんじゃないかと思うのだが、野立は木元から体を離した。

「じゃぁな」

野立がまだ呆然としている絵里子の手を取り、歩き出すと消えるような声で2人が礼を言う。
笑いながら「今度は俺ともしよーねマミリン」と絵里子とつないでない方の手を振った。



外に出るのかと思ったが、片桐と木元がいたであろう隣の部屋に連れて行かれ、後ろからぎゅっと抱きしめられた。
木元も言っていたが、体に触れた野立のモノが服の上からでもわかる程熱くたぎっている。

「木元を触りながら興奮しちゃった?」

意地悪く言いながら向き合うと、予想通りニヤっと笑った男の顔。

「それもあるけど、超我慢してたんだぜ、俺」

向き合ったまま抱き合い、唇を求めて近づき
絡みあった舌が唾液を吸い上げていく。

「もう、あの2人の事は放っておいてしちゃおうかと思った」

でも約束したし、2人とも相当悩んでたしな
と自嘲気味に語る男が少し拗ねているようで可愛く見える

確かに普段だったら絵里子が真剣に嫌がらない限りあのまま続けていただろうし、
個室という事で絵里子もその気がなかったわけじゃない。

「だから、ここでな?」

と手に持っていた上着を放り投げ、絵里子のロングニットとキャミを一気に脱がす。

「・・・ここでするの・・・・・・?」

「もう我慢きかない」

「でも、片桐達が目に入るし、声も・・・・」

マジックミラーにしているところから見てもこの部屋は覗くためにあるのだろう、
隣の部屋の全面が見え、しかもどこからか2人の声が聞こえてくる。

それでもキスは辞めずに壁際まで2人で進むと、野立が
マジックミラーにブラインドをかけ、スピーカーだったのかスイッチを切り、あちらの部屋の音を遮断する。
すると先ほどの部屋よりすこし狭い空間で2人きりに。

安心したような絵里子のブラが外され、ふるんとふくらみが揺れる。
手に収まるそのふくらみを立ったまま揉まれて、口に含まれた
コリっと歯で噛まれると絵里子の声が上がる。

こんな処で裸になどなりたくないが、服を汚すわけにもいかない。
邪魔なホワイトパンプスを自ら放り脱ぎ、
履いていたサルエルパンツとベルト替わりに差し色として着けていたスカーフを引き抜かれる。
乱暴に放り出された服たちがパサリと音を立てた。

野立の手が絵里子の股間に伸びて、少し乱暴にまさぐり、
ショーツの中に入り込むといきなりつぷっと中に収められた。

「あっ!」

「もう濡れてる」

「だって・・・・・・」

クイっと指を曲げられて、より声が上がり水音が響く。
他の指が外側のつぼみを刺激したと思ったら意地悪く離れて焦らす。
滴る粘液が長い指を伝い、床に落ちた。

「ね・・・下着よごれちゃう・・・・・・」

その声ににやりと笑うと今まで指で攻めていた股間に顔を埋める野立。

「ホントだ、こんなに濡れてたら汚れるよな」

「や・・だ、そんな風に言わないで・・・・」

野立が顔を上げ、絵里子の目を見ながらゆっくりと下着を下ろしていく。
絵里子を見つめるその目が普段よりも攻撃的で色っぽい。
脱がされたショーツも床に放り投げられた。

その落ちる様に気を取られた瞬間に絵里子のそこに刺激が走る
脱ぐために開かれた脚の間に頭が割り込み、ソコを舌で刺激されていた。

「あっ・・・・・」

舌で中も外も刺激され、手はお尻や太ももから足首までを撫でまわされる。
様々な処で起こる快感に腰が砕け、埋められた頭にしがみついて耐えた。

「もう・・・ダメ・・・・・・・」

脚ががくがくし、立っていられない。
そんな絵里子の様子に、またいやらしく笑った野立が絵里子の腰辺りを押し、
軽く突き飛ばすように、後ろにあったソファに座らせる。
男はその間にワイシャツもズボンも脱ぎ去って下着1枚になっていた。
まだ下着に包まれているが、固くそそり立っていたそれは見るだけで絵里子の奥を疼かせる。

わざとらしくソレを太ももにこすり付けながらキスをする野立は
片桐に渡した避妊具の箱から1つ持ってきたのだろう、袋を破き、全てを剥ぎ取った自分のモノに着けようとした。
しかし

「やだ、そのままして・・・・」

絵里子がきゅっとソレを握って懇願するものだから野立が低く呻く
この避妊具が避妊の意味ではなく、後始末の観念からだという事はピルを飲んでいる絵里子も承知の上だ
それでも相手の熱を直に感じたい、その快感が肌にしみついていてそんなゴム越しでは満足できない。

「野立のが欲しいの」

熱っぽく懇願され、緩くしごかれると用意したそれを無視し、絵里子に覆いかぶさってきた。
ソファとの段差を使い、一気に貫く。
その性急さにぐぅっと苦しそうな絵里子の声が漏れた。

抱き合い、キスをしながら腰を振る。
ソファには2人の体液が混じったものが滴り、床にも零れ落ちる。

腰を一旦止めた野立が、絵里子の中から自身を引き抜くと体を反転させ絵里子にソファを掴ませた。
バックの体勢で、お尻のあたりを撫で、また一気に貫く。
動きやすい体制で奥まで一気に刺された絵里子が嬌声を上げると更に強く強く抜き差しされた。

ずぷずぷっという濡れた音と、パンパンパンとリズミカルに響く体と体がぶつかる音が響く。
絵里子の腰に回されていた手が前に向かい、揺れる胸をこねくりまわす。

「あっ、うっ!・・・も、もういっちゃ・・・・」

絵里子がうわ言のような声で限界を告げる。

「中で、中で出して!!」

後の事を考え、外で出そうと傍にあったティッシュBOXを引き寄せた野立の様子を背中に感じたのか
先手を打つように絵里子が懇願し、それに応えるように腰を早く打ち付けるようにする野立。
ひねるように、最奥を求め突かれ絵里子の子宮がズンズンを響く。

「イクっ、あぁっ!!!」

打ち付けられる力強さに痙攣するかのように体をしならせ絵里子が達する。
その様子を確認してから絵里子の背中に抱き着くように一番奥で野立が放出した。

ビクビクビクっと絵里子の中のモノが波打ち、液体で満たされていくことがわかる。
野立は全て吐き出すとだらっと力を抜いた。

それからすぐに2人でソファに倒れ込む。
にゅるんと中に収まってたモノが抜け、絵里子の下から液体が零れ落ちた。
その様子に目をやりながら嬉しそうに野立が笑う。

「やらしいな・・・・・」

「・・・何言ってんの、あんたが出したんでしょ?」

「もう、すんげぇ出ちゃった」

2人の体液が混じったものは絵里子の太ももまで達し、それでもまだコポコポっと小さな音を立て溢れている。

「しばらく動けないな、折角ホテル取ったのに」

「・・・・ホテル?」

「久しぶりじゃん?一緒に過ごすのなんて。だから近くにいいホテル取ったんだよ」

そういうところが野立らしいが、結局こんなところでしてしまうのも自分たちらしいと言えるだろう。

「だったらそこに片桐達呼べばよかったじゃない」

「やだよ、2人っきりがいい」

「・・・・バカね」

あんな事をしでかしておいて、子供みたいにすねる野立を可愛いと思ってしまう。
汗と体液でぐちょぐちょになったまま野立の胸にもたれると片手でぎゅっと抱きしめられた。

「絵里子だって2人きりがよかったんだろう?服まで着替えてきてさ」

仕事場では見せない服装に、野立が喜んでいたのはわかっていた。
雑誌に出てくるようなスタイルで細身の体を覆い、ひざ下の出るパンツに高いヒールで足首の細さを見せて。
自分でも浮かれているなと思いつつ、でも頑張ったのだ。
普段の自分より少し甘めの恰好で、でもそれをどれだけ自分に似合わせるか、何度も鏡の前で試したりして。

「それなのにあいつらなんか連れてきて、酷いじゃない」

仕事を定時で切り上げて、家でシャワーを浴び、着替えて、化粧までし直して。
それでタクシーでこの店についたら部下たちまでうろうろしていてびっくりした。
なんでよ!と恨み言が口から出かかった。
しかし、いくら付き合っていることがバレたからと言ってもそんな姿は見せたくはない。
冷静さを装い、店に入ったのだが結果はこれだ。

「だって、ほら部下の2人が悩んでて相談受けちゃったし、
時間ある時に他のメンバーも連れてくるって言っちゃったからもうまとて済ませちゃえーって」

ぽりぽりと頬をかきながら言い訳をする野立。
ただ、誤算だったのはあの2人を迎えるまえにしたくなっちゃった事だよなぁなどと呟いている。

「ホントよ、こんな処でしちゃって、どうすんのよ後片付け」

「ま、ここの個室代ってその代金も含まれてるから大丈夫なんだけど」

どうやら完全にその為の部屋らしい。
ベッドが置いていないのは泊まる為の設備ではないからなのか、それとも気分を盛り上げる為なのか。

「慣れてるのね」

その様子に少し嫌味を込めて言うと、肩をすくめる男。

「知り合いの店なんだよ、使った事なんかない」

「ホントかしら」

「2人もどうしようか迷ってるみたいだな」

「え?」

いつの間にかブラインドが上げられ向こうの様子がわかる
ソファに座ったままではスピーカーのスイッチはいじれないのだろう、声は聞こえない。
しかし、慣れない作業に2人が右往左往しているのが見えた。

「あの2人付き合ってたのね」

「おう、なんか怪しいなぁとは思ってたんだけど、そうみたいでさ
ただ、経験の浅い2人だからもう全然上手くいかなかったみたいで、相談受けちまって」

「それでこれ?」

「俺も悩んだんだけどさ、絵里子のいないところでするわけにはいかないし」

じゃぁ、少し煽るくらいの事をして、その気にさせたらいいかなとは思ったんだけど、
煽る方が本気になっちゃって、もう止めるのが苦しかったと笑う男。

「ラブホテルとかでしちゃえばよかったのに、3人で」

「・・・・なんだよー結構気ぃ使ったんだぞ?絵里子の前以外では触れないとかさぁ」

「よく言うわ、あんな避妊具まで用意したくせに」

「あれなぁ、俺も最近買わないから何買っていいか迷った」

コンビニのシールが貼ってあったから、こちらに向かう途中に寄ったのだろう、
そんな風に買う中年の男を店員がどう見ていたのか、思う浮かべると少し笑える。

「だったら話してくれればよかったのに」

「話したらこんな事できなかっただろう?」

「まぁ、そうだけさ」

でも話してよねと鼻をつまむと唇をつき出し、またすねた顔をする。
今日の野立はなんだか可愛いなと思うが、それも欲目かもしれない。

「男だって心まで満たされるエッチがしたいんですぅ、
もう性欲だけでするのなんていらないの、俺は」

だからちゅぅしよう、ちゅうと言いながら、啄ばむようなキスをしてくる。
そのキスが愛おしくて思わず頭を撫でた。

「ホテルでシャンパン飲んで、もう1回しような」

気持ちよさそうにしていた男がまた目に少し獣の色を取りもどす。

「これだけ出したのに?」

「全然足りない」

「もう・・・・・」

頬に吸い付く男を離そうとするが、結構力強く吸い付いていて離れない。

「やだ、変な処に跡なんかつけないでよ?」

「大丈夫だよ、ここには残らない」

「あんたの大丈夫はあてにならないからなぁ・・・・」

ホテルに向かう前に何度も何度もキスをする。
前戯なのか後戯なのか、わからないような触れ合いがいつまでも続いていた。






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