したくなったから
野立信次郎×大澤絵里子


頭の芯がくらくらする。


「んっ……」



参事官室。
時折漏れるくぐもった声。
弾けるような水音。
この部屋には似つかわしくない音が響く。



野立からの口づけを受けながら、絵里子はぼんやりとしてくる意識を繋ぎ止めていた。
受けながら、というのは語弊がある。
自分からも必死に舌を絡ませているのだから。

部屋に入るなり、壁に体を押し付けられ、キスをされている。
半ば条件反射で受けていたつもりが、
結局今は自分も酔いしれていた。

角度を変え、互いの唇を幾度となく求め合う。

浮遊感。
幸福。
目眩。
官能。

彼の舌が自分のそれに触れるたびに感じる。

ようやく唇が離れた。絵里子は小さく息を切らす。

「何なの突然」

それには答えず、野立は絵里子の頬から首筋を大事そうに撫でる。
絵里子はその手にそっと自分の手を添える。

「したくなったからした」

大人に叱られた子どものように、野立はぽつりと言う。

「そう」

「せっかく帰って来たのに、
お前、あいつらとばっかりいるしさ」

拗ねたように言う彼に絵里子は苦笑いを浮かべる。

「あの子達にやきもち焼いたの?」

「…そんなんじゃねーよ
ただ…なんつーか、片桐はカッコいいしさ」

「何それ」

「髭面でイケメンで冷静で頭が切れる。
俺とかぶる」

「髭面以外ぜんっぜんかぶってないから」

「俺の側にいろ」

野立は絵里子の瞳を切なげに見つめる。
絵里子も視線を逸らせない。

「せっかく日本(ここ)にいるんだからさ」

「…そんなに寂しかった?」

「お前、すぐどっか行っちゃうから。
ここにいるときぐらい、一緒にいてくれよ」

「どーしたの。急に甘えんぼさんになっちゃって。」

そう言いつつ、絵里子は
野立の頭を胸に抱きかかえ、撫で始めた。

「普通逆だよね、これ」

「絵里子の胸気持ちいいからこれでいいよ」

「隠れ巨乳をなめないでよ?」

野立は絵里子のジャケットを脱がそうとする。
その手を絵里子はガシッと掴み、押し止めた。

「はいストップ。調子に乗らない!」

「なんでだよ」

「こういうところではしたくない」

「最後までしようなんて思ってないさ」

「嘘ね。何度前科があると思ってるの?」

「我慢できねー」

「ガキかあんたは…。…しょうがない、座って」

絵里子は側にあったイスに野立を座らせ、スラックスのチャックを下ろした。

「これで今は我慢しなさい」

「絵里子っ、むしろそっちの方が大胆……っ!」

イチモツを口に含まれ、野立は背中を反らせた。






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