恋の病
野立信次郎×大澤絵里子


「あ〜、やばい、酔ってきたかも〜」

絵里子の肩に頭を乗せ、笑いながら呟いた。俺の家で二人で飲み始めてから随分と経つ。最早、今現在の時刻すら分からない。

「ちょっと、重い。普通さ、逆なんじゃないの?」
「逆って〜?」
「女が男の肩に凭れて、飲みすぎちゃった〜、とか」

どうしてあんたが私に凭れてくるのよ、と絵里子は不満そうな声で言った。

「そんな細かい事気にすんなよ」

そう言いながら顔を上げて絵里子をジッと見つめると、彼女は居心地の悪そうな顔で俺から目を逸らした。そしてまた、チラリと俺に一瞥をくれる。

「何よ」
「俺、酔ってる」
「そう。そりゃよかったわね」
「絵里子が美女に見える……相当酔ってんなぁ〜」
「いや、実際美女だから」

いつものような自信満々なその返しに、思わず笑ってしまった。

「そうだな。絵里子は美人だ」

言いながら彼女の頬に手を当てて、逸らした顔を俺へと向けさせる。彼女は少し困った顔で俺に笑いかけてきた。

「なぁによ、ホントに酔ったの?」

その困ったような笑顔にもそそられる。いつもなら我慢できるはずなのに、今夜の俺はアクションを起こしてしまった。
頬に触れた手で、絵里子の顔を引き寄せ、そのまま彼女の唇に口付ける。いつも違う女を相手にしている時の俺じゃ考えられないような、唇を合わせるだけの超ソフトなキス。唇を離して目を開ければ、絵里子は目を開けたまま固まっていた。

「おい。キスしてる時ぐらい、目閉じろよ」

俺がそう言った瞬間、絵里子の男並みにでかい手が横から飛んできた。それを避けようと頭を下げたものの、彼女の手は俺の左のこめかみ辺りに直撃。軽い脳震盪を起こしかねない程の衝撃に、視界がグラリと揺れた。

「イッテェ〜……何、すんだよ」
「それはこっちのセリフよ!酔ってるからって人にキスするなんて……最低な男っていうのは知ってたけど、ここまでだとは思わなかったわ!」

怒りを露わにしながら、絵里子が立ち上がった。このまま帰らせてなるものか、と彼女の腕を掴んで引くと、その軽すぎる身体は見事俺の膝の上に乗った。横向きで俺の膝の上に乗る絵里子を両腕で挟むようにして、ギュッと抱き締めた。

「離してよ!帰るんだから!」
「イヤだ」
「離せって言ってんのよ!」
「イヤだ」
「この、クソ男!」

腕の中で暴れ出す絵里子。だが、どんなに彼女が男勝りでも所詮女。男の俺に、力で適うわけがない。
一頻り暴れた後、体力が尽きたのか絵里子は大人しくなった。

「何がしたいのよ、あんた」

溜息を吐くかのように言葉を吐き出して、俺の頭を叩く。その力は、さっきと違って随分と加減されていた。

「絵里子と、一緒に居たいだけだ」
「それが酔って人にキスした男の言う言葉?ねぇ?」
「酔ってないよ」
「酔ってる奴はみんなそう言うのよ」
「酒には酔ってないよ」
「意味分かんないし」
「絵里子に酔ってる」

俺の言葉に、彼女は唖然とした表情で俺を見つめる。

「15年ぐらい酔いっぱなしなんだけど、どうしたらいいと思う?」
「またリアルな数字出すわね、あんた」
「出会ってからの三年間は、でかい女、って印象しか――」
「でかいって言うな!」
「なぁ、どうしたらいいと思う?」

もう一度、同じ質問を投げかける。まぁ、酔いを醒ませって言われても、醒ませないんだけど。なんせ、15年だし。

「し、知らないわよ。っていうか……本気?」
「冗談で言わねぇよ」
「ですよねぇ〜……」

引き攣った笑みを浮かべながら彼女は一度俺から顔を逸らし、手で額を抑えながら頭の中を整理している。待つ事、数十秒。彼女は息を吐きながら、また俺へと顔を戻した。

「あのね、言い難いんだけど、私あんたの事一度もそういう風に見た事ないっていうか……恋人として付き合う、とか、付き合わない、とか?そういう問題じゃないと思うのね、もうここまで付き合いが長いと」

そうじゃないかな、とは思ってたけど、実際言葉にされると辛い。絵里子を抱き締める腕にも力が入る。

「なぁ」
「ん?何?」
「泣いてもいいか?」
「あぁ、うん、泣いて……え?泣くの?」

お得意の二度見で、その驚きを表す彼女の首筋に顔を埋めた。あぁ、ホントに泣きそうだ。女に振られたぐらいで泣けるなんて何年振りだ?しかも、よりによって相手は絵里子だぞ。
そのままの体勢で動かないでいると、彼女の手が俺の頭に絡んできて軽く抱き締められた。

「私も酔ってるかもね」
「ん?」
「野立が可愛く思えてきた」
「可愛いって言われても嬉しくない」
「だって可愛いんだもん」

顔を上げれば、絵里子は本当に嬉しそうな顔をして笑っている。どこまで俺を惚れさせりゃ気が済むんだ。その笑顔に胸キュンだよ。……って死語か、これ。

「なぁ、絵里子」
「ん〜?」

俺の髪の毛を指で梳き流しながら余裕の表情を見せる絵里子。だけど、俺の言葉でその余裕もすぐになくなった。

「俺の恋人になれよ」
「な、何でよ」
「俺がお前の事好きだから」
「だから、私はあんたの事そういう目で見た事ないって言ってるじゃない」
「いいよ、それでも」
「はぁ?意味分かんない」
「15年間も片想いしてたんだ。そんな一途な俺にご褒美をくれ」
「ご褒美って……」

困った顔。そしてこの煮え切らない言葉。18年の付き合いだ、絵里子の性格は熟知してる。このまま押せば、確実に落とせる。

「言っとくけど、浮気なんてしない。形だけでも恋人になれば、お前も俺を好きになるよ」
「どっから来るのよ、その自信」

困った顔にもそそられるなんて、恋の病はかなり重症のようだ。キスしたくて堪らない。さっきの子供のようなキスでいいから、彼女の唇に触れたい。
その一心で、彼女の唇に自身の唇を寄せていくと、寸前で絵里子が目を閉じるのが分かった。チュ、とリップ音を鳴らしキスをする。もう一度、もう一度、と欲求のままにキスを続けて、結局10回ぐらいキスをした。
ソフトキスを繰り返した後は、その先へ進みたい、という欲求が生まれる。唇を離し顔を突き合わせると、絵里子が目を開けた。

「舌、挿れていい?」

俺の言葉に、絵里子は耳まで真っ赤にして俺の頬を軽く叩く。

「あ、あんた、いつも女の子にそんな事聞いてるの?」
「いや、今初めて聞いた」
「でしょうね」
「絵里子の嫌がる事はしないって決めてるんだ。恋人だから」
「もう恋人気分なわけ?誰もあんたの恋人になるなんて言ってないんだけど?」
「舌挿れてキスしたい」

絵里子の言葉を無視して、希望を述べる。あくまでも、これは俺の希望であって、絵里子が嫌がるようならしないつもりだ。

「ダメ?」
「そんな事、聞かれたの初めてなんだけど」
「ダメなのか?」
「ダメ……っていうか」
「絵里子の舌、舐めたい」
「こ、言葉にしなくていいから!」
「じゃぁ……さっきと同じキスでいい」

そう言って、また唇で絵里子の唇に触れる。触れた後は唇を離したけど、試しにもう一度口付けて少しだけ舌で彼女の唇をなぞってみた。
すると、OKのサインなのか絵里子の唇が少しだけ緩んだ。開いた唇の隙間から舌を挿れ、彼女の舌を捕まえる。絵里子も俺の舌に合わせて舌を動かしている。
角度を変えて、持ち合わせているテクニックを全て出し切る様にキスを交わす。絡み合う互いの唾液が卑猥な水音を奏でて、それがさらに俺を興奮させていく。
貪るように絵里子の口内を味わうような口付けを終えた俺は、唇を離した。長い口付けのせいか、高揚感のせいか、俺達二人の息は荒い。

「ヤバい……」

その一言だけを呟いて、俺は彼女の首筋に顔を埋めた。

「何?どうしたの?」
「イきそう」
「は?」
「もう、限界かも」
「キスしかしてないじゃない」
「キスだけでイきそうなんだよ」
「それって、男としてどうなの?」
「男はみんな、情けない生き物なの」
「あんただけじゃない?情けないの」

絵里子の辛辣な言葉は聞こえていない事にして。そのままの体勢で数分、気分が落ち着くのを待つ。キスだけでイくという醜態を晒したくはない。
気分が落ち着いた所で顔を上げると、絵里子の顔が目の前にあった。もう一度、彼女に口付けながらまた自分の希望を口にする。

「なぁ……」
「ん、何?」
「絵里子に触りたい」
「もう触ってるじゃない」

抱き締めている、という意味で彼女は答えたんだろう。声に照れがない。だけど、そういう事じゃないんだよ。

「そうじゃなくて、胸とか……」

彼女の下半身に視線を向けると、彼女の手から無理やり顔を上げさせられた。

「ど、どこ見てんのよ」
「触りたい」
「だから、いちいち言葉にしなくてもいいでしょ」
「言葉にしないと伝わらないだろ。現にお前は、俺の気持ちにも気付いてなかった」

それから、少しの間絵里子は黙り込んだ。何かを考える様に一点を見つめたまま。そんな彼女の頬に口付けながら、再度質問を投げてみる。

「なぁ、ダメか?」
「分かった」
「ん?何が?」
「今夜は……あんたの、好きにしていい」
「え?」

正直、幻聴かと思った。自分の都合のいいように、耳が勝手に彼女の言葉を作り上げてるんじゃないかと思った。
だけど、絵里子の顔は真っ赤に染まって、それが絵里子の言葉が現実のものだと教えてくれる。

「い、いいのか?」
「女に、二言はないわよ。その代わり」
「その代わり?」
「いちいち、してもいいか、なんて聞くの止めてよね」
「でも、さ」
「あんたがしたい事に、私は従うから……」

照れながら言う彼女の言葉に、酷く感動した。嬉しすぎて涙が出そうな程に。

「そんな事言うと、道具とか使っちゃうぞ?」
「ありえないから!」

即答する絵里子に笑いながら、冗談だよ、と告げて彼女のシャツの中に手を入れる。余計な肉が付いていない引き締まった腹と、肌触りのいい背中を撫でると、くすぐったいのか絵里子の身体がピクリと震えた。

「正面向いて」
「は?」
「膝、跨いで座れよ」
「あぁ……そういう事ね」

納得したような表情で、彼女は俺の肩に手を置いて膝を跨いで座り直す。絵里子の背中に回した左手を上へと伸ばし、ブラジャーのホックを外した。それと同時に、右手も上へ伸ばし彼女の胸に直接触れる。
掌を収縮させる度に、固さを帯びてくる乳首を人差し指で弄れば絵里子の唇から甘い声が漏れた。

「ん……」

恥ずかしいのか、絵里子は俺の首筋に顔を埋めた。耳まで真っ赤にさせたその表情が見たくて堪らない俺は、手の動きを止めて彼女の耳元で囁く。

「キスしたい。顔上げろよ」
「しなくていい」
「俺のしたい事に従うって言ったじゃんか」

女に二言はないとも言った、と言えば絵里子は渋々顔を上げた。そこで、ジッと彼女を見つめる。この女が俺の恋人かぁ、と長い長い片想いの時間が走馬灯のように頭を過ぎった。

「……キス、したいんじゃなかったの?」
「嘘だよ。絵里子の顔が、見たかっただけだ」
「バ、バカじゃないの」
「照れんなよ」
「照れてないから!」

真っ赤な顔でまだ反論しようとする絵里子にキスをして、その言葉を遮った。彼女の上唇を唇で挟んで、同時に胸を揉みしだく。唇を少し離して今度は唇全体を覆うように口付けた。
背中から腰へと下ろした左手をさらに下ろしていき、絵里子の膝に触れる。珍しく今夜はスカートを穿いている彼女。それなのに、飲んでいる間も俺の隣で脚を組み変えたりするもんだから、俺の視線は彼女の脚へと集中していた。
我ながら、中学生か、と突っ込みたくなるような集中力だったが、鈍感な彼女はその視線にも気付いていなかっただろう。
膝を撫で、腿を撫で、少しずつその手を上げていく。スカートの位置まで到達すれば、手の動きと一緒にスカートの裾も上へ。

キスを続けている俺達の間に、なんの言葉もないが、絵里子は嫌がる素振りも見せない。その証拠に、さっきまで俺の肩に置かれてあった彼女の手は、いつの間にか俺の首に絡められていた。
スカートを上げ、手を脚の間に移動させた。下着越しに彼女の中心に触れれば、絵里子がピクリと身体を震わせる。
そこでようやくキスを中断し、彼女の唇から頬、耳元へと唇を移動させた。

「下着、汚れるから脱がすぞ」

そんな大義名分を立てて、絵里子の下着に手を掛ける。それを膝辺りまで下ろして、片脚を下着から抜いた。もう片方に下着が引っかかった状態だが、それをいちいち脱がしてやれる程余裕なんてない。
15年も想い続けた女とセックスしようとしてんだ。下着なんてどうだっていいだろ?
邪魔するものが無くなった所で、再び絵里子の中心へと手を伸ばす。割れ目を指でなぞれば、中から染み出る愛液で指が滑る。割れ目の中に指を進めて窪みに触れれば、ほんの少しだけ水音が聞こえた。

「あっ……」

身体を震わせて、一瞬だけ甘い嬌声を上げる絵里子。そして、俺の襟足に手を伸ばし髪の毛を掴んだ。もっと聞きたい、とその一心で窪みに触れた指を上下にスライドさせても、彼女は唇を固く閉ざして俺に声を聞かせてくれない。

「声、聞かせてくれよ」

興奮のあまり乱れた呼吸を整えながら、彼女の耳元で囁く。だが、彼女の答えは俺の願いを否定するものだった。

「……や、ッ……だ」
「何で?俺は、お前の声が聞きたい」

絵里子の耳に軽く歯を立てて刺激を与えれば、俺の髪の毛を掴む彼女の手に力が入る。その反応に、耳が弱いという事に気付いた。

「絵里子」
「ヤ……耳、ッ……ヤダ、野、立」

そう言うと絵里子は、耳を庇うようにして俺の首筋に顔を埋めた。

「気持ちいいくせに」

上下にスライドさせていた指を、ゆっくりと彼女の中へ沈めていく。奥へと指が進むにつれて、俺にしがみつく彼女の腕にきつく抱き締められる。だが、あくまでも声は出さないつもりらしい。
人差し指と中指の2本を根元まで飲み込んでいても、彼女は口を固く閉ざしたまま開こうとはしない。
ここまで強情だと、何としてでも声を聞きたくなってくる。内壁に指を這わせて、ゆっくりとピストンする。最初は浅く、そして徐々にストロークを深くしていくと、彼女の唇から微かに吐息以外の音が漏れてきた。

「ハァ……ッ……ぁっ……ゃ……」

ピストンの動きに合わせ、緩急をつけて胸を揉む。乳首を指で抓めば、両方からの刺激に絵里子も我慢出来なくなってきたのだろう。
耳を澄まさなければ聞こえなかった彼女の甘い嬌声が、次第に大きくなってきた。

「んんッ、あぁ……ぁ……」

絵里子の愛液が、俺の指を伝って掌へと落ちる。親指にその愛液を絡めて、少し上にある突起に塗り付けた。その親指の動作にも敏感に反応し、彼女は身体を震わせる。
右手は乳首を弄りながら、左手で彼女の中を掻き回し突起を刺激する。その両手の動きに激しさを増していけば、それに比例するように絵里子の喘ぎも激しさを増していく。

「あっ、ヤっ、だ、野立っ、ダメ、ダ、あぁっ!」

その声と同時に、絵里子の身体が大きく痙攣し俺の指もギュッと締め付けられた。

疲れ果てたのか、俺の肩に首筋に顔を埋めたまま絵里子は荒れた息を整えている。

「絵里子」

両手を彼女の背中に回してギュッと抱き締めると、何、と返事が返ってきた。

「大丈夫か?」
「……うん」
「気持ち良かっただろ?」
「……バカ」

呆れたような笑い声で言われて、俺まで笑みが零れる。絵里子は俺の首から肩に手を置いて、少し距離を取った。

「どうした?」
「あんたは……いいの?」
「ん?あぁ、挿れてほしいのか?」
「バッ!バカ……」

目を見開いて顔を真っ赤にする絵里子の手を取り、ズボンの中でパンパンに膨張している俺のモノへ触れさせた。

「ちょ、バカ、止め――」
「こんなになっても、我慢してる俺って偉いだろ?」
「……我慢する意味が分かんない」
「今ならまだ、一線は越えてないわけだし、絵里子が望むなら元の関係に――ただの同期に戻れるだろ?」

ここまでしておいて、言うセリフじゃないって事は重々承知だ。だけど、今まで酒を飲んでたんだ。
もしかしたらこいつは酔っていて、酒の勢いだけでこれまでの行為を許してくれていたのかもしれない。
このまま一線を越えて、明日もし、絵里子が覚えていなかったら?気まずい雰囲気になるのは目に見えてるし、最悪、元の関係にも戻れなくなるかもしれない。
そんな臆病風に吹かれた。
そんな事を考える程に、絵里子の事が大事なんだと、改めて気付かされたけど。

「バカ……もう、何したって元に戻れないわよ」

掴んでいた俺の手から離れて、彼女はそう呟いた。その言葉が心に突き刺さる。

「……まぁ、そうだな」
「戻れないんだから……進むしかないでしょう」
「……ん?」
「何?ただの同期に戻りたいの?」
「え?」
「前みたいな関係に、戻りたいのかって聞いてるの」
「……お前が、前の関係に戻りたいって言うなら」
「私が、じゃなくて、あんたがどうしたいのか聞いてるのよ」

そんな事聞かれても、俺の答えは決まってる。

「俺は……さっきから言ってるだろう。お前の恋人になりたいんだよ」
「だったら、いいんじゃない。恋人になってみるのも」
「……マジ?」
「冗談でこんな事言わないわよ」

そりゃそうだ。絵里子はこんな質の悪い冗談なんて言わない。って事は……。頭の中を整理すると、じわじわと喜びが込み上げてきた。
その喜びをどう表現していいか分からずに、とりあえず絵里子を抱き締める。

「わっ、ちょ、苦しい」
「我慢しろ、嬉しいんだ」
「私は苦しい」
「絵里子」
「何よ」
「愛してる」

俺が言うと、彼女は少し笑いながら、バカ、と呟いた。だけどその後、でも、と言葉を続ける。

「私も、少しだけ愛してる……かも」
「かもってなんだよ。しかも少しだけって」
「だって……」
「まぁ、いいや。恋人になったんだから、文句はない」
「そう」
「だからさ、続き、しようぜ」

絵里子の耳元に唇を寄せて、囁いた。

「今度は、お互い裸になって、な?」
「……変態」






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