チョコレート
野立信次郎×大澤絵里子


「おはようございます」

朝。
いつものように、出勤した絵里子は警視庁のセキュリティーをくぐり抜けた。

「よ〜ぉ」

背後から聞き覚えのある声。
振り返ると、先に出勤した野立が壁に寄りかかり、絵里子の大好物でもあるM&M'sを口に放っていた。

「何してんのよ、こんなとこで」

挨拶もなしに、絵里子は怪訝な顔で返した。

「待ち伏せ、ってやつ?」
「あんたほんとに暇ね」
「なぁ、1コやるよ、これ」
「いいわよ、いらな、────」

間髪入れず、野立は絵里子を壁に押し付け、短いキスをした。それと同時に、ポンとチョコレート1粒が絵里子の口内に放り込まれる。

「何、すんのよ!」
「野立様からの口移しだ。ありがたく受け取れよ〜」

そう言い残し、手をヒラヒラ振りながら去っていった。

「誰がよ!」

チョコレートをもぐもぐしながらも、絵里子はその背に向かって叫んだ。


“なんなのよ、朝っぱらから変な奴…”

そう思いつつ、対策室に着いた。

「おはよう!」
「おはようございます」
「うぃーっす」
「あ、おはようございます」

先に着いていた片桐、岩井、山村が口々に返す。
花形は鞄だけはあるので、今はどこかに行ってしまったらしい。木元は遅刻はしなくなったとはいえ、やはりギリギリ出勤なのは変わらず、まだいない。
絵里子は席に着き、荷物をかけ、デスクに着こうとした。
しかしその瞬間、足元がおぼつかなくなり、その場に崩れ落ちた。

ガタンッ!という音がし、驚いた3人は絵里子の方を向き、駆け寄る。

「ボス、どうしました?」
「大丈夫か?」

絵里子は何か答えようとしたが、顔がボーっと熱くなってしまい、何も答えられない。

「立てますか?」

片桐が絵里子の顔を覗き込む。彼の整った顔が目の前に来て、不覚にもどうにかなりそうになる。

「だ、いじょうぶ……」

慌ててそれを振り切り、危なっかしい足取りで半ば這うように対策室を出ていった。

「なんやねん、あいつ」
「熱でもあるんですかね?風邪ひいたのかな」
「更年期か?」
「いやぁ、いくらなんでもそれは…」
「…」

3人は絵里子が去っていった扉の方をしばらく見ていた。

絵里子は、廊下をふらふら壁づたいに歩いていた。顔は火照り、興奮した気分が治まらず、息も少し荒い。

「どうしたの…私…」

すると、黒いスーツの男が目の前に立ちはだかった。
顔を上げると、

「野立…」
「そろそろかなと思って」

それだけ言い、野立は絵里子の肩を抱き、支えてやりながら歩き始めた。
また、不覚にも野立の整った横顔、匂い、体温に興奮…欲情してしまう。

“何で…こんな男に…”


気が付けば、参事官補佐室に連れてこられ、ソファに座らされていた。

「あんた…いったい、何のつもり…?」
「何が?」

とぼける野立。

「チョコに、何か入れたでしょ…?」
「そんな馬鹿な」
「ふざけないで。」

息も絶え絶えに、絵里子は野立を睨み付けるが、頬は赤く上気し、目は潤んでいるので全く迫力を持たない。
そんな絵里子の顔を見て、野立も我慢が出来なくなってきた。

「んんっ…」

足をすり合わせ始める絵里子。そろそろそちらの方も限界のようだ。
自分ではどうにも出来ないもどかしさに、絵里子は体をくねらせてしまう。

「どうした、絵里子?」

敢えて指一本触れずに、耳元でそう囁く。

「んっ…」

野立の低い声だけでビクリとしてしまう。

「何とかしてよ…、あんたのせいなんだから…」
「何とかって?」

焦らす野立。

「あぁ、…すごい、疼いちゃって、どうしようも、ないの……
お願い…」

薬が回り、潤んだ目で絵里子は懇願する。
野立はたまらず絵里子に口づけた。

「ん…んう…っ」
「はぁ……」

ぎゅっとお互いを抱きしめ、舌を絡め合い、何度も何度も角度を変えて貪り合う。ちゅ、っと舌が触れ合う音がする度に絵里子はゾクリときて、更に下半身がじわっと濡れていく。
野立は絵里子のブラウスの下から手を入れ、ブラのホックを外し、ピンと張りきった乳房を揉みしだく。

「あ…、あ…ん…っ」
「こっちはどうかな?」

スカート、ストッキングと脱がせていき、ショーツだけになっていたが、既に色が変わるほどびしょびしょに濡れていた。

「すっげ…思ったよりすごいよ、絵里子」

胸を揉んでいた片方の手をショーツに移し、その上から指でグリグリと刺激する。

「あん、やぁ…言わないで…恥ずかしい…」

下を弄る手はそのまま、今度は口で乳房を愛撫し、舌で乳首を転がす。不意に吸い上げると、絵里子はうぅん、とくぐもった声を漏らし、秘部を潤していく。

そのうちにだんだんじれてきた。ショーツの上からではもう物足りない。

「野立、もう…、私…っ」
「なんだよ?」
「直接…」
「え?」

構わず焦らす野立に耐えきれず、絵里子は野立の手を掴み、ショーツの中へ突っ込んだ。

「あぁん!……」
「おいおい、大胆だなぁ」

薬の勢いで、絵里子がいつになく積極的なのが嬉しい。野立はショーツも脱がしてしまい、指を秘部に差し入れ、ぐちゃぐちゃにかき回した。
「あぁ、あ、あ、あん…」

野立の背中に回る絵里子の手が力強くなり、下から愛液を吹き出しながら喘ぐ。

「3本も入ったよ」
「あぁ…やぁ………んあっ、あ、あぁ」
「一回イクか」

野立の指が絵里子の中で暴れまくる。

「あ、や、ちょっとまっ、てっ、あん、やぁあ───────」

ぶしゃっと愛液が放たれ、絵里子はイった。



「あ…ぁ…んぅ…」

イったばかりの絵里子に容赦なく、野立は垂れ流れている愛液を舐め取りつつ、秘部を舌で刺激している。
ヒクヒクと生き物のようにうごめく。もう欲しい、野立が。

「野立、はやく…、もう、私…限界…」
「ばか、俺はもうとっくに限界我慢してる」
「じゃあさっさと入れて」
「やだよ。勿体無い。」

そう言うと歯を立て強く吸い上げる。

「あんっ!」
「FBI帰りの元エリート女室長が、こんな股広げて濡らして…
やらしー」

野立は舐めるのを止め、絵里子の全身をまじまじと見つめる。
ブラウスがはだけ、そそり立った乳房があらわになり、M字に開ききった足、その中心からはダラダラいやらしい液体が絶えず溢れ出ている。
赤い頬、汗ばんで、トロンとした目、口を半開きにしつつ、続きをねだる表情。

「んん……っ」

変わり果てた絵里子の姿に、野立の下半身はすぐにでも絵里子へ突撃したいと主張しているが、必死に抑える。

「続きは自分でしろよ」
「…!?」

絵里子の目が見開かれる。

「じゃなきゃ入れない」
「そん…な…」
「気持ちよくなりたいんだろ?」
「っ……」

いつもの自分なら野立を蹴り飛ばしてるのに、既に欲望のままに感じきっている体はもうどうしようもなかった。

自分の濡れそぼる部分へ手を伸ばす。よりによってこいつに自慰行為を見せることになるなんて…
悔しさで顔を歪ませる。

「あ…あ…んぅ…う…ん」

しかし、それとは裏腹にクリトリスをなぞる指は早くなり、より快感を求めてしまう。気がつけば片方の手は自分の乳首をつまみ上げながら揉んでいた。
ついに指を中に突っ込み、激しく動かす。

「ああ、あ、あぁ、あ」

全身をビクンビクン揺らし、目をつぶり思いきり喘ぐ絵里子に野立は見とれる。いつもはあんなに気が強いのに、今は自分の前でただ快楽を求める雌と化している。

「絵里子の手、やらしい汁でびちょびちょだ」
「あっ、やん、やぁ、」

言葉攻めにも感じてしまう。
野立はとうとう耐えきれなくなり、絵里子を何とかソファから下ろし、四つん這いにさせる。
慌ただしくベルトを外し、スーツのズボンとパンツを下ろし、一気に挿入した。

「ああんっ!」
「熱っ…」

やっと…。そう思い、絵里子は背中を反らし顔をあげ換気の喘ぎを発した。
野立は自身を締め上げる肉壁、熱く煮えたぎる愛液に包まれて危うくすぐにイきそうになる。気が遠くなるほどの気持ちよさにしばらく動かずそのまま浸っていたが、

「動いてよ…っ、野立…」
「あぁ…、すまんすまん」

勢いよく腰を振り始めた。

「あっ、あ、あ、ああ、」

野立の責めに絵里子は頭を振り乱し喘ぎまくる。
ぷしゃぷしゃ愛液と先走りの液が混じり合ったものが飛び散り、乳房が激しく揺れる。
野立はただひたすらに絵里子の中を突き上げる。最高に気持ち良い。絵里子、やっぱりお前はすごいよ、と心の中で呟いた。
パンパン、ピシャピシャと繋がっている音が激しく響く。

「ああ、あん、あぁ、のだてぇ、気持ちいいよっ、もっと、…もっとぉ…!ああぁ!」
「俺もっ、…お前の中、すげぇいい…」
「あぁ、もう、だめぇっ、イクっ!いっちゃう!!」
「俺も、もう……っ、、出るっ」

野立のモノの膨らみ、絵里子の締め付けが最高潮になり、

「あ、ああぁ───────────!!!」

思いきり中に、溜まりに溜まった液体が放たれた。



ぐったり横向きに床に倒れ込み、絵里子は気を失っている。
野立は白く透き通った絵里子の肩や背中についばむようなキスを落とす。

「ごめんな、絵里子。俺だけを見て、俺を激しく求めるお前が見たかったんだ。
こんなに夢中になれる女は、君だけだよ」

そう呟くと、優しい笑みを浮かべ、絵里子の頬をそっと撫でた。






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